こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
Ver.1.11.6からクリスタに追加されたゆがみツールは、描いた後の絵を修正するのに便利です。
修正したい箇所をペンツールなどと同じようになぞるだけで、形や大きさを手軽に調整することができます。
また、Ver.2.0からは複数のレイヤーにまとめて適用できるようになり、より使い勝手が良くなりました。
本記事では、そんなゆがみツールの使い方や活用例を解説していきます。
クリスタのゆがみツールでできること
基本的には、例えば目の大きさや形といったパーツ単位での調整をしたい時に使います。
一から描き直さなくてもサッと調整できるのが非常に便利ですね。
また、ゆがみツールは以下のように表情の差分を作るのにも使えます。
もちろん、物体の形に合わせて模様や柄を入れるのにも有用です。
炎のような揺らめくエフェクトを作りたい場合にもゆがみツールが役立ちます。
このように、基本は描いた後の絵を修正するツールですが、発想次第で様々な活用ができる優秀なツールなので、使い方を覚えておいて損はありません。
1つ注意しておきたいのが、ゆがみツールが使えるのはラスターレイヤー・選択範囲のストック・レイヤーマスクの3種類ということです。
ベクターレイヤーや3D素材などはラスタライズを行い、ラスターレイヤーに変換しましょう。
ゆがみ(変形)との違い
(紛らわしい話ですが)ゆがみツールとは別に、ゆがみという変形操作があるので軽く触れておきましょう。
こちらはハンドルと呼ばれる白い正方形を操作してガイド線に沿った変形を行います。
選択範囲全体に影響するため、ゆがみツールのように細かい調整は苦手ですが、パースに合わせて形を調整したい時などにはこちらの方が使いやすいです。
ゆがみツールの場所
・PC版 / iPad版の場合
ツールパレットから、以下のアイコンを探しましょう。これがゆがみツールです。
もしツールパレットにゆがみツールのアイコンが見つからなかった場合は、色混ぜツールを選択してみてください。
サブツールグループにゆがみツールが入っているはずなので、選択して切り替えましょう。
このように、デフォルトだと色混ぜツール選択中はアイコンが見えなくなってしまうため、使用頻度が高いようなら別の場所に移動させたり、クイックアクセスに登録したりといった対策をおすすめします。
・スマホ版の場合
おそらくですが、スマホ版のクリスタはゆがみツールに対応していません。少なくとも私の環境にはなかったです。
念のため設定を探してみましたが、ゆがみツールに該当する項目は確認できませんでした。
↓PC版
PC版だと色混ぜの中にゆがみの項目が存在しています。
↓スマホ版
しかし、スマホ版だとご覧の通りです。今後のアップデートでの対応を待ちましょう。
探しても見つからない時は
以上の手順でゆがみツールが見つからなかった場合は、知らないうちに削除してしまっている可能性が高いです。
新しくゆがみツールを追加しましょう。
「ツールパレット」または「サブツールパレット」のメニューを開き、「初期(サブ)ツールを追加」を選択してください。
すると以下のようなウィンドウが表示されます。
この中からゆがみを選択してOKを押せばパレット内に追加されます。
ゆがみツールの使い方
ゆがみツールの各種設定項目について解説します。
それぞれの設定にどういう効果があるのか、ここでしっかり把握しておきましょう。
ブラシサイズ
ゆがみを適用する範囲を調整します。
ゆがませたい範囲の広さに応じてこの項目を調整してみてください。
ゆがませ方の設定
・進行方向
動かした方向へ引っ張られるようにゆがみます。
直線を曲線に変えたり、模様を作ったりと、色々な使い方が可能です。
・膨張 / 収縮
中心から外側へ広がる(膨張)あるいは外側から内側へ縮まる(収縮)ようにゆがみます。
物体の膨らみや凹みを表現したい時に有用です。
・進行方向の左 / 右
ゆがみツールの進行方向に対して左(右)の方向にゆがみます。
このゆがませ方なら、例えば「顔をもう少し小さくしたい」と思った時に、線画をなぞるようにして調整できます。
・回転(時計回り/反時計周り)
範囲内の画像を渦を巻くようにゆがませます。
上の例では回転のゆがみを使って、3つの丸を勾玉のような形にしてみました。
他にも布をクシャッとした感じにしたい時なんかに使えそうです。
ゆがみの強さの設定
強さの数値が大きいほどゆがみによる引き伸ばしが大きくなります。
ただ筆圧の強弱でもある程度は調整できるので、他よりも数値をいじる頻度は少ないかもしれません。
ゆがみの硬さの設定
ゆがみの硬さが大きいと、ツールが通った範囲内の画像がまんべんなくゆがむようになります。
ゆがみを使った場所とそれ以外の場所とをなめらかにつなぎたい時は低く、ハッキリと形を出したい時は高くしましょう。
操作した箇所の画像のみ参照
オンにするとツールの範囲内の画像だけを参照し、オフにすると範囲外からも参照してゆがみ効果を作ります。
ゆがみツールを使っていて「なんか急に違う場所の色が現れたな~邪魔だな~」と思ったらチェックを入れましょう。
↓操作した箇所の画像のみ参照 オフ
↓操作した箇所の画像のみ参照 オン
特定の範囲だけゆがませるには
・選択範囲
特定の範囲内にゆがみを適用したい、周辺の画像を巻き込みたくないといった時には選択範囲ツールの出番です。
いつもの手順で選択範囲を作成したら、その上からゆがみツールを使いましょう。
ゆがみ後の描画も選択範囲内に限定されるため、場合によっては上の動画のように途切れる形になります。この点だけ留意して使ってください。
・レイヤーマスク
もちろんレイヤーマスクも例外なく使用可能です。
「マスクをレイヤーにリンク」にチェックが入っている場合、ゆがみツールはレイヤーとレイヤーマスクの両方を同時にゆがませます。
チェックを外せば、レイヤー・レイヤーマスクそれぞれ個別にゆがみツールを使用できるので、合わせて覚えておきましょう。
複数レイヤーをまとめてゆがませるには
Ver.2.0から複数のレイヤーに対してゆがみツールが使えるようになりました。
普段通りShift・Ctrl・レイヤー選択などを使って複数選択し、ゆがみツールを使えばOKです。
フォルダーにまとめている場合は、フォルダーを選択することでもまとめてゆがみを適用できます。
キーボードを使わない環境の場合は、レイヤーのサムネ左隣にあるチェックボックスを選択することで複数選択できます。
大量のレイヤーをまとめてゆがませたい場合は、動作が重くなりやすいため、できるだけレイヤーを結合してから行うことをおすすめします。
ぼやける時の解消法(アンチエイリアス)
ゆがみツールを使った後にぼやける現象は、アンチエイリアスが原因の可能性が高いです。
アンチエイリアスは色の境界がギザギザになるのを緩和するための処理で、デジタルイラスト制作においては何かとお世話になります。
ただゆがみツールだと、このアンチエイリアスによってゆがみ効果が適用された場所とそうでない場所とで、イラストの鮮明度に差ができてしまいます。
オフにした方が色の境界がくっきりするため、状況によって使い分けましょう。
アンチエイリアスの項目は、デフォルトだとツールプロパティに表示されていないので、サブツール詳細パレットから設定を行う必要があります。
- ステップ1ゆがみツールのツールプロパティパレットの右下にあるスパナアイコンを選択
- ステップ2「ゆがみ」タブを選択し、「アンチエイリアス」左隣のチェックボックスを選択(✔️でオン)
アンチエイリアスの強度を選択できればもっと良いのですが、執筆時点のバージョンでは未実装です。今後のアップデートに期待しましょう。