板タブ・液タブ

初めての液タブにおすすめ! 使いやすい高コスパの液タブ5台を紹介

初心者向けのおすすめ液タブ
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こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。

液タブが高級品だったのはもはや過去の話で、今では手頃な価格の製品が充実し、多くのクリエイターに使われるようになりました。

一方で、選択肢が増えた分、どれを買えばいいのか迷いやすくなっているとも言えます。

初心者ならなおさらで、よく分からないまま安い製品に手を出してしまうのも無理はありません。

しかし「安物買いの銭失い」「安かろう悪かろう」という言葉があるように、値段の安さだけを追求するのは常に失敗の危険がつきまといます。

十分な性能を持っていて安い、いわゆる無難な液タブこそが初心者には必要です。

そこで本記事では「自分がまた初心者からやり直すなら」という視点で選んだ、おすすめの高コスパ液タブを紹介します。

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初心者の液タブ選びで大事な5つのポイント

画面サイズ

ここでは13インチまでを小型、16インチ前後を中型、22インチ以降を大型として扱います。

置き場所に余裕がある前提だと、基本的に大きい方が描きやすくておすすめです。

値段が安い小型に惹かれる人もいるかもしれませんが、それだと液タブをあえて選ぶ理由が減ってしまいます。

小型の液タブを買うくらいなら、場所を取らず荷物が少ないタブレットの方が良いですからね。

一方で、大きすぎると腕を動かす距離が長くて大変そうだと思うなら、中型を試してみるといいでしょう。

標準的なサイズを経験しておけば買い替える時の基準にできますし、値段もお手頃なので最初の1台にぴったりです。

▷解像度

解像度とは、一定の長さの間に並ぶ画素(ピクセル)の数のことです。大量の画素一つ一つが色を発することにより映像・画像が表示されています。

解像度を例えるなら
コレオグラフィーのようなもの

同じサイズ同士だと、解像度の高い方が密度が高くなるため、画面の粒感が少なくきめ細やかです。

ここで解像度による違いを実際に見てみましょう。下の画像だときめ細やかさは分かりづらいですが、同じ表示倍率でも文字やアイコンが小さくなっています。

FHDの画素は横1920×縦1080なのに対し、QHDは横2560×縦1440の画素が詰まっています。

なぜQHDの方が全体的に表示が小さくなっているかというと、ほぼ同じサイズの画面により多くの画素を敷き詰めるために、画素一つ一つが小さくなっているからです。

上の画像では同じ表示倍率、つまりFHDの時と同じ画素数で文字・アイコンを表示させているため、画素に連動して小さくなっています。

これを見て「文字が小さくて見づらそう」と思う方がいるかもしれませんが、パソコンの設定で大きくできるのでご心配なく。

液タブで採用されている解像度には、以下のようなものがあります。

FHD(フルHD)1920 x 1080px
WUXGA1920 x 1200px
WQHD(QHD / 2.5K)2560 x 1440px
WQXGA2560 x 1600px
UHD(4K)3480 x 2160px

WUXGA・WQXGAは縦に広い16:10の画面で採用されており、他の16:9の画面に比べて多くの情報を表示できるようになっています。

例えば縦長のキャンバスを表示するなら縦にも広い方が見やすいですし、Webサイトを見る際にもスクロールが少なく済みます。

UHDは上記の中でも特に解像度が高いため、デバイスにも相応のスペックが必要です。そもそも値段が高いのもあって、初心者がいきなり手を出すのはおすすめしません。

原則として解像度は高い方が良いですが、サイズと解像度どちらを取るかで迷ったなら、サイズを優先した方が作業のしやすさという点から満足度は高いと考えています。

フルラミネーション加工

モニターや液タブの画面は複数の層で構成されており、これらを圧着、一体化させる技術がフルラミネーションです。

これにより光の反射が抑えられるほか、ペン先と液晶パネルまでの距離が短くなり、視差が少なくなります。

光の反射・視差どちらも使い心地に大きく影響する要素なので、フルラミネーション加工がされていることは今回必須条件としました。

製品によっては、紙のような質感だとか指紋がつきにくいだとかの特徴もありますが、そういった要素はフルラミネーションが前提の上で検討しましょう。

▷対応デバイス(ケーブル含む)

製品ページの説明を見て、自分のデバイスと互換性があるか必ず確認しましょう。

特にAndroidデバイスは対応機種が限られているため、使用条件のチェックは必須と言っても過言ではありません。

また、使用できるケーブル(端子)にも注意が必要です。

ほとんどのパソコンにはHDMI端子が搭載されていますが、最近のノートパソコンは映像出力対応のUSB Type-Cのみという場合もあります。

液タブが対応しているからと言って両方のケーブルが入っているとは限らないため、事前によく確認しておきましょう。

▷スタンド

スタンドなしでお絵かきするのはおすすめしません。

机にペタンと置いた液タブを覗き込むようにしてお絵かきをしていれば、そう遠くないうちに身体のどこかが悲鳴をあげることになるでしょう。

液タブより先にあなたが壊れてしまっては元も子もありませんからね。

まず液タブを買う際には内容物を見て、スタンドが付属しているかどうかを確認しましょう。

ないならスタンドを別で買うことを検討してください。また、下のように簡易的なスタンドしか付いていない場合も別途用意したいです。

簡易的なスタンドの例
こういった内蔵型のスタンドは安定性が低く角度調整もできないので使いづらい

余裕があれば見ておきたい要素

▷画面の発色・正確性

画面の発色を調整できる製品だとベター

なぜ正しい色を表示する必要があるのか、理由は2つ挙げられます。

1.自分が意図した通りの色で作品を制作・公開するため

発色が不正確な画面でお絵かきをすると、その画面では意図通りの色になったとしても、他の画面で見ると違う色に見えてしまいます。

元々の作品の色が狂っていたら、他のデバイスで見た時の狂いもその分大きくなり、意図した色から程遠い色になりかねません。

2.取引先とスムーズにすり合わせを行うため

例えばお互いのモニターをsRGBという色域に設定できれば、見え方の差を減らすことができます。

色域より多くの色が使えること自体は重要ではありません。色域内の色を100%表現できること、その範囲を設定から指定できることで意味を成します。

色の正確な液タブやモニターを選びたいなら、例えばsRGB「カバー率」100%と表記されているかどうかが判断基準の1つとなります。

ただ、液タブで「カバー率」の表記が増えてきたのはつい最近なので、あればラッキー程度に考えてもらって構いません。

中には「sRGB120%」「NTSC比92%」のような表記も見られますが、こちらはあくまでも面積比です。

色域と一致しているかどうかを示しているわけではありません。

見せかけだけで実用性があるかは別の話なので、鵜呑みにはしないでおきましょう。

京時
京時

比◯%が「図形同士の面積を比較しているだけ」だとしたら、カバー率◯%は「形・面積両方での一致度」を表しているようなものです

また、カバー率なのに100%を超えている表記があった場合も、比と混同しているおそれがあるので同様に気をつけてください。

▷ペンの作り

液タブのペン(XP-Pen)

ペンの握りやすさはそのまま使い心地に直結します。グリップ付きかどうか、太めか細めかを写真などで見ておきましょう。

中には標準ペンの他に細めのペンが用意されていることもあるので、もし合わなかった時のために、対応するペンが他にないかもチェックしておくと安心です。

▷片手デバイス・ショートカットボタン

液タブのショートカット(ファンクション)ボタン

お絵かきアプリは機能もツールも様々で、キーボードだけで操作するのは大変です。

そこでカスタマイズできるショートカットボタンなどがあれば、お絵かきアプリの操作を一部肩代わりできます。

ダイヤルやホイールが付いたものであれば、キャンバスの回転や拡大・縮小などを直感的に行えるのでおすすめです。

中にはショートカットボタンの代わりに片手デバイスが同梱された製品もありますが、そちらの方が高機能で置き場所の自由度も上がって使いやすいです。

初心者にもおすすめできる人気メーカー3社

ある程度知名度がある中で、過去に使用して「このレベルなら普段使いしてもいいかな」と思えた製品のメーカー3社を紹介します。

▷Wacom(ワコム)

Wacomロゴ

言わずと知れた最大手の国産メーカーです。長年のノウハウを生かした高品質な製品を世に送り出しています。

私が初めて買った液タブがワコムのCintiq 16だったのですが、選んで正解だったと思える製品でした。描き心地に関しては最新の液タブと比べても表現の幅が広い方で、十分に現役レベルだと思っています。

当時のCintiq 16はセール時に5万円台で買えましたが、現在は大幅な値上げにより買いにくくなってしまいました。

エントリークラスの液タブだったWacom Oneシリーズでさえも新型になってからは割高なので、今回の記事では残念ながら選外に。

▷XP-Pen

XP-Penロゴ

近年急激に力を伸ばしてきたメーカーの1つです。液タブが現在のような価格で買えるようになったのも、彼らのような競合なくしてありえなかったでしょう。

コスパの高さが魅力で、扱っている液タブのほとんどが10万円以内で買えます。

iPhone/iPadに一部対応した板タブや、16384段階の筆圧検知を実現したペンなど、業界最先端の技術をいち早く製品に取り入れている点も魅力です。

最近ではお絵かき用のAndroidタブレットも発売しており、iPadの代替品として注目を集めています。

▷Huion

Huionロゴ

コスパの良いエントリークラスからプロレベルまで数多く展開している海外メーカーです。

大画面の液タブを安価で手に入れたいならXP-Penと合わせてチェックしましょう。

私は案件がきっかけでこのメーカーの液タブを体験したのですが、安定感のあるペン先が気に入り、ワコムの液タブから乗り換えて今に至ります。

こちらもAndroidタブレットを販売していますが、XP-Penの製品と比べて安価な分、性能も控えめです。

液タブを決めるまでの考え方の例 ~筆者の場合~

以上の解説に従って、実際に液タブを選んでみます。

購入する液タブを決めるまで
  • STEP 1
    予算は7~8万円

    8万円を超えるくらいなら、そのお金をパソコンの買い替えやお絵かき用タブレットの購入に使いたい。
    13インチ以下の液タブも除外。PCを持っているのでタブレットよりも安く済むのは良いが、快適さを犠牲にはしたくない。
    せっかく液タブ使うのだから、もうちょっとお金を出して16インチ以上を選ぶことにした。

  • STEP 2
    7~8万円以内・16インチ以上の液タブとなると、ワコムの液タブが選択肢から外れる

    残るはXP-PenとHuionの2社。

  • STEP 3
    高解像度の16インチとフルHDの22インチが近い値段でかなり迷う

    高解像度による綺麗さよりも作業の快適さを優先したいので22インチを選びたいが、机に置いた時のスペースに余裕がなく16インチで妥協しようと考える。
    しかし、モニターアームを使えばキーボード・マウスの置き場所が確保できることに気づき、再び22インチの液タブを探すことにした。

  • STEP 4
    視差の少ないフルラミネーション加工がされた液タブだけを厳選する

    メーカー2社から7~8万円以下で買える22インチ以上の液タブを選ぶとなると、一気に候補が絞られてくる。
    その中からさらにフルラミネーション加工の記載がある製品に限定した結果、候補はArtist 22 PlusKamvas 22 Plusの2つが残った。

  • STEP 5
    長く愛用できそうな方を選ぶ

    ペンが大幅に改良された新製品である点、色空間の切替ができる点、片手デバイスが付属している点から、Artist 22 Plusを選ぶことにした。
    予算がもう少し低かったり価格差が大きかったりしたら、Kamvas 22 Plusの方を選んでいたかもしれない。

[価格順]初心者向け 高コスパのおすすめ液タブ5選

初心者におすすめの液タブを価格順に紹介します。

予算3~8万円の範囲から、13インチを1台、16インチを2台、22インチを2台ピックアップしました。

記載の価格はあくまでも通常価格であって、実際はセールなどの要因でより安く買えることが多いです。

1: Huion Kamvas 13

(出典: Amazon)

寸法366.5×217.4×11.8mm
重量0.98kg
画面サイズ13.3インチ(小型)
解像度フルHD(1920 x 1080)
色域sRGB比120%
フルラミネーション
対応デバイスWindows 7以降、macOS 10.12以降、
Android(USB 3.1 Gen 1 / DP1.2)
使用可能なペンPW517、PW550、PW550S(細型)
通常価格(執筆時点)38,449円 (Type-Cケーブル付き)

予算を抑えたい人向けで、執筆時点だとセール価格の約28000円で買えます。

競合のArtist 13セカンドを押しのけたのは、USB-Cケーブル込みでの通常価格が安かったからです。

持ち運びたくて小型を選ぶ人もいるわけなので、ノートPCやAndroidにつなぐことを考えると重要なポイントになります。

また、折りたたみ式スタンドが付属している点やグリップの付いたペンが使える点からも、こちらの方がコスパ面で優秀だと判断しました。

予算に余裕がある方は新型がおすすめです。

2: Huion Kamvas 16 (2021)

(出典: Amazon)

寸法423.52×253×12mm
重量1.26kg
画面サイズ15.6インチ(標準)
解像度フルHD(1920 x 1080)
色域sRGB比120%
フルラミネーション
対応デバイスWindows 7以降、macOS 10.12以降、
Android(USB 3.1 Gen 1 / DP1.2)
使用可能なペンPW517、PW550、PW550S(細型)
通常価格(執筆時点)44,999円

サイズ感がちょうどいいスタンダードな液タブ。私が一つ前にメインとして使っていた液タブです。

Kamvas 13と同様に内容物が充実しており、ペン先のガタツキが少ないペンが使いやすいです。

2万円台で12~3インチを買うよりも、あと1万円ちょっと足してこの製品を買うことをおすすめします。

3: XP-Pen Artist Pro 16

(出典: Amazon)

寸法443.27 × 256.45 × 9mm
重量約1.43kg
画面サイズ15.4インチ(標準)
解像度フルHD(1920 x 1080)
色域sRGB比133% / Adobe RGB比99%
/ NTSC比94%,
フルラミネーション
対応デバイスWindows 7以降、Mac OS X 10.10以降、
Chrome OS 88 (以降)、Linux
使用可能なペンX3 Elite Plus スタイラスペン、
X3 Elite スタイラスペン
通常価格(執筆時点)55,280円

XP-Penの方のスタンダードな製品を探しているなら。

Artist 16セカンドとは価格が近く、どちらも16インチ・X3スマートチップ搭載で悩みました。

最終的には、ダイヤルを含むショートカット類が充実しているのと、本体の薄さ、消しゴム機能の付いたペンで差別化できるという理由からArtist 16 Proを選びました。

USB-Cでの接続やAndroidへの対応という点では16セカンドに軍配が上がりますが、そちらだとKamvas 16 (2021)と比べた時に大きな違いを見いだせません。

4: Huion Kamvas 22 Plus

(出典: Amazon)

寸法546×323×19~26.7mm
重量3.9kg
画面サイズ21.5インチ(大型)
解像度フルHD(1920 x 1080)
色域sRGB比140%
フルラミネーション
対応デバイスWindows 7以降、macOS 10.12以降、
Android(USB 3.1 Gen 1 / DP1.2)
使用可能なペンPW517、PW550、PW550S(細型)
通常価格(執筆時点)69,999円

価格を抑えて大型液タブが欲しい人向けの製品です。無印だとフルラミネーション加工ではないため、名前に「Plus」が付いている方を選びましょう。

量子ドットという技術によりモニターの性能が上がっていますが、正確な色を出せているかどうかは別問題なので参考程度に留めておいてください。

大型ながらも一部Androidでの使用が可能という点は、人によっては決定的な要素になるでしょう。

5: XP-Pen Artist 22 Plus

(出典: Amazon)

寸法547×364.67×33.4mm
重量未公表
画面サイズ21.5インチ(大型)
解像度フルHD(1920 x 1080)
色域sRGB比130% / Adobe RGB比103%
sRGBカバー率99% / Adobe RGBカバー率91%
フルラミネーション
対応デバイスWindows 7以降、Mac OS X 10.10以降、
Chrome OS 88 (以降)、Linux、
Android (USB3.1 DP1.2)
使用可能なペンX3 Pro スタイラスペン、
X3 Proローラースタイラス
通常価格(執筆時点)79,800円

色空間の設定ができる&最新スペックのペンを使いたいならこれだけの価格を払う価値があります。

「X3」技術を使っている製品の中でより新しい「X3 Pro」が採用されており、筆圧感度(筆圧検知レベル)は脅威の16384段階。

ただ、8192段階から劇的に変化するわけではないので過度な期待は禁物です。製品レビューを見てもハッキリと実感できていない人ばかりなのが、すべてを物語っています。

どちらかというと設定で色空間の切替ができるようになったことが重要で、従来のように無秩序に多くの色を表現するのではなく、sRGBやAdobeRGBといった色域に則った表示で作業ができるようになりました。

他にもペンがグリップ付きになっている点や、Androidに対応していたり、USB-Cケーブルもちゃんと付属していたりと、細かい不満点の解消が見られます。

初心者だからこそ、それなりの液タブを選ぼう

初心者だからといって、とにかく値段が安い液タブを選ぶのはおすすめしません。

理由はシンプルで、使い心地に関わるからです。

安い液タブというのは、サイズが小さいか、古いかの2択であることがほとんどです。

サイズが小さいと、その分ペンを繊細に動かすか、描きやすい倍率まで拡大するかのどちらかを迫られます。

前者は慣れや技術が求められ、後者は全体のバランスが見づらくなってしまうといったデメリットを抱えることになるでしょう。

古い液タブはすなわち、採用されている技術が古いことを意味し、ペンやモニターを中心に性能がワンランク落ちます。

特に今回紹介したXP-PenやHuionといった海外メーカーは近年急成長したのもあって、旧型と新型とで性能差が激しいので注意しましょう。

XP-PenならX3スマートチップが搭載されて以降の製品を、HuionならPentech3.0以降が採用された製品をおすすめします。

なんにせよ、使いづらくて買い替えるはめにならないよう、安い液タブを選ぶ時こそ性能を注意深く見るようにしましょう。