
Cintiq 16をよくおすすめされるけど、実際はどうなの?Wacom OneやCintiq 22も気になる……
海外製の液タブも高性能化してきた今でも、できればワコム製の液タブが欲しいという人は多いかと思います。
とはいえ高価な製品が多いワコム。
今回はその中で6~7万円という比較的お手頃な値段で買える液タブ、Cintiq 16を紹介します。※2023年5月に9万円台にまで値上がりしました
本製品を約1年半使ってきた僕が、これまでに感じた良い点・微妙な点をまとめてみました。
また、購入の際に気になるであろう疑問点や、Cintiq 22やWacom Oneについてもお話していきます。
初めての液タブで購入を迷っている方はぜひお読み下さい。
※2023年5月1日(月)から、Cintiqシリーズのワコムストア参考価格が大幅に上がりました。購入予定の方はご注意下さい。
Wacom Cintiq 16 FHDのスペック
※スマートフォンで閲覧中の方は表を横にスクロールできます。
外観 | ![]() ![]()
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寸法(横×縦×厚さ) | 422×285×24.5mm | |
重量 | 1.9kg | |
液晶画面 | サイズ | 15.6インチ |
液晶方式 | IPS | |
解像度 | 1920×1280(フルHD) | |
sRGBカバー率 | 96% | |
NTSCカバー率 | 72% | |
応答速度 | 25ms(標準値) | |
視野角 | 176°(標準値)140°(最小値) | |
ペン性能 | 筆圧レベル | 8192段階 |
傾き検知 | ±60° | |
充電 | 不要 | |
スイッチ | サイドスイッチ×2 / テールスイッチ | |
タッチ入力 | × | |
ボタン | ×(電源ボタンのみ) | |
スタンド | 折りたたみスタンド(19°) | |
接続方法 | HDMI & USB-A |
Wacom Cintiq 16 FHDを実際に使った感想
ここでは1年半Cintiq 16を使ってきた感想をありのまま書いていきます。
折りたたみスタンドやケーブルで少し不便な点がありましたが、それ以外については満足です。
ツルツルしすぎず描きやすい
フィルムを貼った分の厚みで視差が大きくならないか不安だったので、別売りのフィルムは貼らずに使用しています。
そのままでもスマホやタブレットの画面ほどツルツルしておらず、サラサラと程よい摩擦があって描きやすいと感じました。
もし紙のような描き心地を求めるなら、別売りのペーパーライクフィルムを貼るのがおすすめです。
ただし、摩擦が強くなるので芯の減りが早くなる点は注意しましょう。
16インチでちょうど良かった
サイズの大きい液タブに憧れていましたが、結果として16インチというサイズは僕にぴったりでした。
もし22インチを選んでいたら、机の上にノートPCとマウス、キーボードまで置く余裕が無かったかもしれません。
15.6インチの液晶画面も十分なサイズですが、大きい液タブで描いている絵師さんの広々とした画面を見ると少し羨ましくなります。
反射が少なく見やすい


他の液タブでも同様のことが言えますが、液晶画面の表面にアンチグレア(非光沢)加工のフィルムが貼ってあるおかげで反射が抑えられており、画面が見やすくなっています。
アンチグレア加工はグレア加工と比べて目が疲れにくく、長時間になりがちなクリエイティブな作業にピッタリです。
とはいえあまりにも強い光はやっぱり邪魔になるので、置き場所には気をつけましょう。


照明や日光が直接当たる配置は避けたほうが無難です
画面の綺麗さは可も不可もなく
液晶画面は値段相応、一般的なフルHDのモニターレベルです。
iPadなどのように「めっちゃキレイ」な画面は期待しないほうが良いでしょう。
各種色域のカバー率も抑えられており、色の正確さが求められる場面では正直力不足かと思います。
作風・仕事などの関係で色が正確である必要がない場合や、趣味で絵を描いている場合は特に気にしなくて大丈夫です。
イラスト制作に適したモニターがどんなものなのか詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
左手デバイスが欲しくなる
Cintiq 16は良くも悪くもスッキリしていまして、本体には電源ボタン以外のボタンがありません。
また、良くも悪くもタッチ機能がないため、いかに左手を使うかがイラスト制作の快適さに大きく影響します。
キーボードのショートカットだと手が疲れるので、今はjoy-conを左手デバイスとして愛用中です。


とはいえボタンやタッチ機能があったとしても、どのみち左手デバイスは使ってたでしょうね
折りたたみスタンドは使いづらい
本体に付属している折りたたみスタンドを使えば、手軽に19°の角度をつけることができます。
ただ、長時間使うには安定性が足りないというのが正直な感想です。
VESA規格に対応しているのでモニターアームに付けるのもいいですし、専用のスタンドを買ってしまうのが良いと思います。


安く済ませたいならノートPCのスタンドでも代用可能です
電源ケーブルが長すぎる


Cintiq 16のケーブルは3 in 1ケーブルといって、電源ケーブル・USBケーブル・HDMIケーブルが「途中まで」1本にまとめられています。
聞いただけだとスッキリしていて良さげに思えるのですが、いざ使ってみるとこれが結構微妙。
というのも、電源ケーブルだけ枝分かれした後が非常に長いせいで、結局机の上がケーブルでゴチャゴチャになってしまったのです。
電源が遠い人にとっては間違いなくありがたいのですが、僕の環境ではマイナスに働いてしまいました。
モニター代わりになるのはやっぱり便利
これはCintiq 16に限らず液タブなら当てはまるメリットではありますが、初めての液タブだったのもあって感想に入れずにはいられませんでした。
ノートPCとは別でモニターが欲しかった身としては、実質ペンタブと液晶モニターが同時に手に入ったようで嬉しかったですね。
先述のアンチグレア加工のおかげで目も疲れにくく、イラスト制作以外でもメインモニターとして活躍してもらっています。
Wacom Cintiq 16 FHDに関するQ&A
感想で触れていなかった、購入の際に気になるであろう疑問にお答えしていきます。
あくまでも僕の個人的な意見ですが、参考になれば幸いです。
視差は実際どのくらいある?


画像を見たほうが分かりやすいかと思いますが、数mm程度の視差があるように見えます。
端にいくほど視差が大きくなるものの、お絵描きをするときは内側しか使わないのでほとんど気になりません。


使っていれば自然と慣れるレベルです
遅延は気になる?
ペイントソフトの手ブレ補正やPCに高負荷が掛かった状況以外で、ハッキリと遅延を感じたことはありません。
思い通りに線を引けます。
耐久性はどう?傷付きやすい?


1年半使ってきましたが、今のところ目立つような傷は一つも入っていません。
描いた直後によく目を凝らして見ると筆跡が残っていますが、そのぐらいしないと分からないレベルです。拭けば消えますし。
普通に使っていれば、傷が入って交換が必要になるケースは滅多に起きないかと思います。


力を入れないと描けないという人は筆圧設定を見直したほうがいいかも
単体でお絵描きできるの?
Cintiq 16をはじめ、ほとんどの液タブはPCなしで使うことができません。
液タブだけ持っているというのは、例えるならゲーム機の本体を持っていないのにコントローラーだけ持っているような状態です。
ただし「ほとんど」とあるように、一部のAndroidスマホにも対応している液タブや、単体で動く液タブは確かに存在します。
PCなしで使える液タブについて興味のある人はこちらの記事をどうぞ。
持ち運びできる?
一応可能ですが、僕は持ち運びたくないです。
タブレット端末と比べて大きく重い上に、ケーブルやノートPCも持ち運ぶ必要があるので、カフェなどで描こうとは思えません。
基本的に家の中だけで使ったほうがいいです。


スーツケースを使うような旅行にならギリ検討していい、かも。僕の兄弟が帰省の際に液タブ持ってきていたので…
Cintiq 22 FHDとどっちがいい?
ワコム製の液タブが好きで、どうしても大きい画面で描きたいならCintiq 22がおすすめですが、それ以外はCintiq 16です。
Cintiq 22はCintiq 16と同等の性能でありながら10万円前後→16万円という価格。
サイズにこだわりがなければiPad Proを買った方がいいんじゃないかと考えずにはいられません。
初めての液タブにおすすめできるようなコスパの良い製品かというと、ちょっと微妙なところかなと思います。
Wacom Oneとどっちがいい?
Wacom Oneは値段が安い分、Cintiq 16よりも性能が低めになっていて、筆圧段階が4096段階、液晶サイズは13.3インチ、ペンもWacom Pro Pen 2ではなくなっています。
しかし、全てが下位互換というわけではなく、逆にCintiq 16より優れている点も。
折りたたみスタンドは3°と19°の2段階になりましたし、重量も1.0kgと軽量です。
さらには一部のAndroidスマホにも対応していることから、全体的にCintiq 16よりも持ち運びしやすい設計になっています。
安さや携帯性で選ぶならWacom Oneが、性能と大きさで選ぶならCintiq 16がおすすめです。
Wacom Cintiq 16 FHDのレビューまとめ
ここまでCintiq 16のスペックや使用感を解説してきました。
Cintiq 16はワコム製ならではの良質な描き心地そのままに、6~7万円で買えてしまう良コスパが魅力の液タブです。※2023年5月に9万円台にまで値上がりしてしまいました
ペンタブをどれにしようか悩んでいる初心者や、趣味でお絵描きを楽しんでいるアマチュアの方は、1台目の液タブにCintiq 16を検討してみてはいかがでしょうか。