
スペックがそこそこ良くて安い液タブを見かけるけど、これって買って大丈夫なの?
かつて液タブは高級品という扱いでしたが、今となっては3~4万円でも優秀な液タブが手に入る用になりました。
私の初めての液タブはワコムのCintiq 16 FHDだったのですが、それと同等のスペックを持った液タブが当時2万円近く安い価格で売られていたのがずっと気になっていたんですよね。
※2024年現在はCintiq16が値上がりしてもっと差が開いています
実際、ワコムしか使ったことのない方なら
「こんなに安いのだから品質が悪いんじゃないの?」
と思うのではないでしょうか。
そんな折にHuion様から本案件の話をいただき、ちょうど良い機会と思ってKamvas 16(2021)のレビューをさせていただくことになりました。
本製品の性能がどの程度か分かりやすくするために、今回はCintiq 16 FHDと比較しながらレビューしていきます。
Kamvas 16(2021)は本当にコスパが良い製品なのか気になっている方はぜひお読みください。
基本スペック
今回レビューするKamvas 16(2021)の基本スペックをまとめました。
比較のためにCintiq 16のスペックも掲載している他、片方より優れている部分があれば赤文字で強調しています。
Kamvas 16(2021) | Cintiq 16 FHD | |
---|---|---|
外観 | ![]() | ![]() |
メーカー | Huion | Wacom |
発売日 | 2020/12/11 | 2019/1/11 |
価格(公式ストア) | スタンド付き 44,999円 | 99,800円 |
モニターサイズ | 15.6インチ | 15.6インチ |
解像度 | フルHD(1920 x 1080) | フルHD(1920 x 1080) |
応答速度 | 25ms | 25ms |
視野角 | 178° | 176° |
色域 | 120% sRGB | 96% sRGB |
読み取り解像度 | 5080LPI | 0.005mm(=5080LPI) |
筆圧感知レベル | 8192レベル | 8192レベル |
読み取り高さ | 10mm | 5mm |
ペンボタン | 2つ | 2つ + テールスイッチ |
ショートカットキー | 10個 | なし |
傾き検知機能 | 60° | 60° |
重量 | 1.26kg | 1.9kg |
VESAマウント | 非対応 | 対応(75mm) |
対応OS | Windows 7 以上 macOS 10.12 以上 Android(USB 3.1 DP1.2) | Windows 7 以上 macOS 10. 12 以上 |
色々と異なる両者ですが、ここで注目したいのはショートカットキーや重量、そして価格です。
Kamvas 16(2021)ならショートカットキーが10個付いていて作業効率化に便利ですし、重量も1.26kgと600g以上も軽くて持ち運びもラクラクです。

500mlのペットボトル飲料1本分以上と考えるとかなりの差ではないでしょうか
また、価格についてもスタンドありで4万5千円と、値上げ後のCintiq 16と比べて5万円以上も安い価格。
実用的なスタンドが手に入るだけでなく、浮いた5万円でイラストソフトや左手デバイスなども余裕で揃えられてしまいます。
ただVESAマウントは非対応のため、Cintiq 16のようにモニターアームに直接取り付けることはできません。
旧Kamvas 16との違い
今回紹介するKamvas 16(2021)は旧型と比べて以下のような改良が施されています。
- ディスプレイ…フルラミネーションで視差が改善
- ペン…安定性がアップ、より自然な描き心地に
- 接続…3 in 1ケーブルだけでなくUSB-Cケーブルでも接続可能に
- 重量…240g軽量化
- 厚さ…14mmから12mmに
- 色域…sRGB100%から120%に拡大
- カラー…二色(ブラック、ブルー)に
ペン先の沈み込みや回転が大幅に減少し、ディスプレイの視差が改善したことで、液タブとしての完成度が一気に上がりました。
外観・内容物
外箱はこんな感じ。Kamvas 16(2021)の方が一回りコンパクトです。

お次は中身。丁寧に梱包されていました。


そしてこちらが本体。フィルムを剥がす瞬間ワクワクするのは私だけでしょうか。

6段階の角度調節ができるスタンドです。これだけのものが付いてくるなら十分でしょう。

そしてこちらがペン。Cintiq 16のペンと違って中身のカチャカチャが少なく軽い(※)です。

後日調べてみましたが、Cintiq 16のペンは15g、Kamvas16(2021)のペンは14gでした。
ほとんど変わらないはずなのに軽く感じたのは、微妙な作りの違いが原因かも
太さに関してはKamvas 16(2021)の方がわずかに細めで握りやすく感じました。
重心もしっかりペン先側に寄っています。

その他付属品として二本指グローブやクリーニングクロスも入っています。
グローブは手の小さな人向けのサイズですね。手長18cm・手幅7.5cmの私の手では結構窮屈だったため、スペアとして保管しておくことにしました。
もしかすると使い込んでいくうちに伸びて丁度いい感じになるのかもしれませんね。

替え芯は全部で10本。Cintiq 16だと3本だったのでかなり充実しています。

携帯性
Kamvas 16(2021)は、全体的に持ち運びがしやすいデザインだという印象を受けました。
均等に12mmの薄さになっているため、リュックやかばんに入れても邪魔になりにくいのがいいですね。

大きさに関してもKamvas 16(2021)の方がコンパクト。横幅はほぼ同じですが縦幅は約3cmもの差があります。

また、ケーブル周りがごちゃつかない点も好感が持てます。


Kamvas 16(2021)の電源はUSBから給電するため、コンセントがなくても使える高い汎用性が持ち運びやすさに磨きをかけています。
つまりこれはノートPCやポータブル充電器から給電できることを意味していて、コンセントの有無に縛られず様々な場所へ気軽に持ち出せるのです。
さらにスマホが液タブに対応しているならノートPCですら不要になり、スマホ・充電器・液タブの3つだけで本格的なイラスト制作ができるようになってしまいます。
こちらの動画ではKamvas 13が使われていますがKamvas 16(2021)も同様です。
ディスプレイ
次に液タブの画面について見ていきましょう。
できるだけ公平になるよう、同じPCに接続し画面をミラーリングして比較しました。
また、初期状態だとKamvas 16(2021)の画面は赤っぽい色をしていたため事前に調整を行っています(Cintiq 16も調整済み)。
素人が色々調べて手動で調整したものですので、今回の結果は決して鵜呑みにはせず参考程度に見ていただきたいです。
ただそんな中でも、Kamvas 16(2021)は設定項目が充実していて細かな色調整ができるという利点に気付けました。
モニターは定期的な色調整が必要なだけに、そういった設定が液タブ側でしっかり用意されているのは嬉しいポイントです。

さてここから比較に入るのですが、今回は液晶モニターを製造・販売しているEIZOさんの記事を参考に液タブ2機種の表示チェックを行ってみました。
スマホで撮影した都合上、実際の見え方と多少異なっている点はご了承下さい。
まずは16段階のカラーグラデーション。各6色が白または黒へ16段階で変化しているパターン画像で、しっかり区別できているほど階調表現力が高いと言えます。


個人的には画像上部のシアン・マゼンタ・ブルーがCintiq 16より1、2色分多く判別できると感じたのですが、皆さんはいかがでしょうか。
左下の黒色に近い部分に注目すると比較的分かりやすい違いが見られます。
黒色の右隣がCintiq 16ではほとんど分かりませんが、Kamvas 16(2021)では十分に6色視認できますね。
次はモノクログラデーションで比較してみます。
上に行くほど細かいパターンになっていて画像では判別が難しいため、下部の32段階・16段階のパターンで見比べるのがおすすめです。


肉眼だと白側はどちらも同じような見え方をしていましたが、黒側のグレーに関してはKamvas 16(2021)の方が多くの色を表現できているように見えました。
これはCintiq 16自体に輝度の設定がなく調整ができていないため、黒に近い色が潰れてしまっているのだと思われます。
OSやソフトを介して調整できるかもしれませんが、そうなるとモニターの設定をする場所が散らばってしまうので少し面倒です。
したがって、色域のカバー率が高い、細かな調整で適切な色表現に近づけやすいという2点から、Kamvas 16(2021)の方が優れていると言っても良いのではないでしょうか。
描き心地
描き心地はツルツルというよりもツルサラといった表現が似合うような感覚です。スマホの画面と比べたら間違いなく摩擦感があります。
Cintiq 16も似たような感じですが、Kamvas 16(2021)の方がほんのわずかに摩擦が強いように思いました。
またペンの精度・反応ともに良好で、ストレスを感じることなく作業に取り組めました。
応答速度
どちらも反応速度25mmとスペック上では一緒ですが、念のため手ブレ補正0に設定したペンツールで線を引いて比較してみました。
線を引く速さはどちらもできるだけ同じになるように心がけています。
動画を見るとペン先から遅れて描画されているのが分かるかと思いますが、反応速度が早いほどこの遅延が小さくなるはずです。
結果、この2機種で反応速度の違いは見られず、スペック通り同じと考えて良さそうです。
そもそも実際の制作では手ブレ補正を効かせている人も多いでしょうし、あんまり応答速度を気にしすぎても仕方がないのかもしれませんね。
ペン先の沈み込み
どちらも優秀でしたが、Kamvas 16(2021)のペンの方が沈み込みが少なかったです。
液タブのペンはペン先に力が加わるとカチャカチャするものなのですが、本製品に使われているペンにはそれがほとんどありません。
ペン先から伝わる感触が均一的になるので、個人的にこの点はかなり気に入っています。

私がCintiqからKamvasに乗り換えた理由の50%くらいはここにあると言っても過言ではないです
視差
それぞれの視差を2視点から比較した画像がこちら。




Cintiq 16も十分小さいのですが、層を一枚隔てたような視差があります。
Kamvas 16(2021)はフルラミネーションであることが功を奏しているのか、ほとんど分からないレベルです。
傾き感知
傾き感知に対応していると、例えばペイントソフトCLIP STUDIO PAINTの鉛筆ツールだと角度によってこのような違いが出せます。
上の動画はCintiq 16の場合ですが、Kamvas 16(2021)と比べてみると同じツール・設定でも傾けた時の描画が違いました。
確かにKamvas 16(2021)も筆跡が太く、かすれた感じに変化するものの、Cintiq 16ほどの幅は感じられませんでした。
また、Cintiq 16の方なら感度を3段階で調整することも可能なため、アナログに近い質感の絵を描きたい人なら、Cintiq 16のペンが色々表現しやすいのではないかと思います。

Kamvasも傾き検知が働いていますが、これに関してはCintiqがすごいですね。
耐久性
半年使ってみましたが、本体・付属品含めて不具合や故障が発生することはありませんでした。
液タブがPCに認識されなかったりペンの反応が悪かったりなどのトラブルもなく、快適に使えています。
私の筆圧がそこまで強くないというのもありますが、画面の描き傷もほとんど付いておらず、光で照らしてみないとわからないレベルです。
Cintiq 16が約2年問題なく使い続けられたように、よほど劣悪な環境でない限りはKamvas 16(2021)もそのくらいの期間は十分使い続けられるでしょう。
まとめ: Kamvas 16(2021)のここがおすすめ!
ここまでCintiq 16と比較しつつKamvas 16(2021)の性能・使用感を解説しました。
良かった点・気になった点を改めてまとめると以下のようになります。
Kamvas 16(2021)はCintiq 16と同等以上の性能だけでなく利便性も併せ持っており、それでいて4万円で買えるというコスパの高さが魅力です。
これ以上を求めるなら製品名にProと付くものを検討しなくてはならないくらいには高水準にまとまっていますので、これから液タブデビューしたい方はぜひ本製品を検討してみてはいかがでしょうか。

セールになることも多いため買われる際はお見逃しなく!
↓同社の上位グレードの液タブも使ってみました