こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
イラスト制作の効率を上げる片手デバイスを探しているけど、高価なものはちょっと…と悩んでいませんか?
そんな方に向けた候補の1つとして、XP-Penの『ACK05 ショートカットリモート』が挙げられます。
単品6,000円台で購入できる、ダイヤル付きのコンパクトな入力デバイスです。

先日レビューしたXP-Penの液タブ『Artist Pro 16 (Gen2)』に付属していたので、こちらも合わせてレビューすることにしました。
主にイラスト制作における使いやすさ・設定のしやすさ・他製品との比較を中心にお伝えしていきますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
ACK05のスペック&仕様
基本スペック | |
---|---|
本体寸法 | 127.55 x 70.49 x 10mm |
本体重量 | 75g |
接続方法 | 有線 / ワイヤレス(レシーバー接続) / ワイヤレス(Bluetooth5.0) |
ショートカットキー数 | ・エクスプレスキー 10個 ・ローラーホイール 1個 |
連続動作時間 | 約300時間 |
対応OS | ・有線接続または専用レシーバー接続:Windows 7以降、macOS X 10.10以降、Linux ・Bluetoothでのダイレクト接続:Windows 10以降、macOS 10.10以降 |
通常価格 | 6,599円 |
同梱物 | |
・ACK05 本体 × 1 ・USB A to C 接続ケーブル(L字型) × 1 ・レシーバー × 1 ・ショートカットキーステッカー × 1 ・クイックガイド × 1 ・保証書 × 1 |
有線接続の他に、付属のレシーバーを使ったワイヤレス接続と、Bluetoothによるワイヤレス接続に対応しており、環境に応じて接続方法を使い分けられるのが良いですね。
また、6,000円台という比較的安価な部類でありながら、ホイールが搭載されている点も評価できます。
サイズ・重量に関してはコンパクトにまとまっており、持ち運びにおいてはスマホよりも手軽です。
バッテリーの持続時間も約300時間と優秀で、1週間以上充電いらずで使用できます。
ACK05の開封&セットアップレビュー
まずは、開封・セットアップを通して外観や付属品について見ていきましょう。
外箱についてはあくまでもArtist Pro 16 (Gen2)に付属していたものなので、単品購入時とはデザインが異なります。

液タブやペンタブに付属している場合は、ペンケース内にレシーバーが収納されています。

レシーバー自体は非常に小さくまとまっているため、ノートパソコンに挿していても邪魔になりにくいです。
本体表側の写真です。個人的にダークグレーとブラックの配色、ダイヤルのメタリックな質感が気に入っています。

裏面にはきちんと滑り止めが付いていました。ただし液タブの上に置く場合などは、角度を付けると滑り落ちるので過信は禁物です。

こちらは有線接続・充電に使用するケーブルです。長さは約150cmほどでした。

ACK05側がType-C、デバイスとはType-Aで接続します。
接続するとこんな感じ。

XP-Penのロゴに向きを合わせて置いたのですが、下からコードが生えているのにはどうも違和感を覚えます。
電源ボタン・ランプは側面に付いていました。ワイヤレス接続に成功すると、30秒ほど青色で点灯します。

側面にあるせいで、ダイヤル側を手前にして使わない限り、ランプの点灯状態が死角になって見えないのが少し気になります。
充電が残り少なくなっても、ランプの色が変化したことに気付けないんですよね。
ACK05を実際に使ってみた感想
ここからは検証と実使用を通しての感想をお話していきます。
全体を通して、製品自体の品質が高く、ボタン・ホイールの反応も良好でした。
ワイヤレス接続でも有線と変わりない使用感で、本体のコンパクトさもあって非常に取り回しが良いのがこの製品の魅力だと感じました。
一方で、ボタン・ホイールの少なさはACK05の弱点と言わざるを得ません。
少なくともイラスト制作においては、あらゆる操作を行うための片手デバイスというよりも、補助的に使うものとして考えた方が良さそうです。
ボタン・ホイールの感触
ホイールはチリチリチリと細かい感覚で伝わってくるフィードバックが癖になります。
一方でボタン部分の音は比較的静かで、押し心地が柔らかく、指への負担が少ないです。グラつきも少なく、操作には安定感がありました。
ホイールの反応は安定かつ機敏
ホイールが一回刻むごとに(ほぼ)反応してくれていたのが良かったです。
デバイスの中には2回分くらい回さないと反応してくれない製品もありますので、この点は地味ながらも高く評価できます。
個人的にブラウザのスクロール用として使うのが非常に気に入っており、マウスでスクロールするよりもずっと快適でした。
レシーバー使用のワイヤレス接続が快適
有線接続とレシーバーを使ったワイヤレス接続とで反応速度を比較してみました。
目視でまったく分からないレベルです。体感でも反応が遅いと感じる場面はありませんでした。
ボタンの少なさがネック
6,000円台でダイヤル付きの片手デバイスが買えるのは魅力ですが、ダイヤル1個・ボタン10個という数は汎用性に欠けます。
ダイヤルは4つの操作を切り替えられますし、ボタンは4つのセットを登録することで数の少なさをカバーできますが、切り替えを挟むことで煩雑になってしまうため実用的とは言い難いです。

一台でなんでもこなそうとして、キーボードよりも複雑化してしまったら元も子もありません
個人的には、特定のボタンを押している間だけセットが切り替わる方式をメーカーさんに提案したいですね。
手元を見ずに操作するのは難しい
ボタンの表面に突起を付けたり、細長い形のボタンを織り交ぜたりといった工夫は見られましたが、それでもなお手元を見ずに操作するのは難しかったです。
手指のホームポジションが思うように見つからなかったのも、少なからず影響していたように思います。
無理なくダイヤルを回せて、かつどれがどのボタンか指で判別できるような配置……もっと時間があれば見つけられたのでしょうか。
一応ユーザー側でできる改善策を挙げるならば、立体的なシールをボタンに貼り付けて、より感覚的にわかりやすくするのがおすすめです。
軽量・コンパクト・ワイヤレスで取り回し◎

本製品は、ワイヤレス接続での使用を強くおすすめしたいです。
ケーブルから開放されることで、手に持ったり液タブに置いたりと、軽さとコンパクトさを最大限に生かせるようになります。

それに有線接続時は、本体が軽すぎるあまりにケーブルに引っ張られやすいという問題もありますからね
もちろん外出先での使用にも最適なので、手に入れた方は色んな場面で存分に使い倒しましょう。
バッテリー持ちは
バッテリーの持続時間は、公式サイトの情報によると約300時間とのことです。
真偽を確かめるべく簡単な検証を行ったのですが、一つ留意してもらいたいことがあります。
というのは、本製品は貸出品であり、製造から時間が経っている=バッテリーが劣化している状態です。
「ある程度使い込んだらこのくらいのバッテリー持ちになる」くらいの認識で読んでいただけたらと思います。
細かい残量を確認する方法がなかったので、設定ソフトのアイコンを見て、1目盛りが消えるまでの時間を測りました。

午前11時に満充電の状態で電源をオンにし、翌日まで放置しました。自動スリープはありません。
5目盛りあることから1目盛り約60時間(300÷5)となるため、新品なら2日経過しても目盛りが減らないということになります。

しかしこの製品に関しては、バッテリーの劣化が影響してか、1日経たずに目盛りが減っていました。
1日目の就寝前(午後11時頃)は変化がなく、翌日の午前8時40分に見た時には目盛りが減っていたので、1目盛りあたり12~21時間相当と考えられます。
つまり60~105時間持続すると考えると、劣化している中では十分健闘したと言えるのではないでしょうか。
参考までに、競合製品の1つである「Huion Keydial mini」のバッテリー持続時間は70時間(公式ストア参照)です。
ワイヤレスで使ってこそ強みを発揮できる製品なので、バッテリー持ちが良いのはありがたいですね。
設定ソフトの使用感
ACK05の操作割り当てに必要な、設定ソフトについても見ていきましょう。
同社の液タブと同じ設定ソフトで設定が可能です。設定したいデバイスを切り替えるときは、画面左上のデバイス名の欄をクリックします。

ローラーホイールの割り当ては、次のような設定画面から変更できます。

それぞれデフォルトの操作に加え、「無効化」と「カスタマイズ(ユーザー設定)」から選択可能です。

ボタンについては下のような項目を設定できます。中々に充実していました。



シンプルかつ必要十分な項目が揃っており、使いづらいと感じた部分は特にありませんでした。
バッテリー残量が確認しづらい

バッテリー残量は設定ソフトのアイコン、または本体側面にあるランプから確認できるのですが、いずれも使いづらいと感じました。
前者はわざわざ設定ソフトを開く事自体が手間ですし、大雑把な残量しか把握できません。
後者の方法だと作業中はランプが死角になって見えないため、つい確認を忘れてしまいます。
個人的には、バッテリーが少なくなったら画面上に(邪魔にならない程度の)通知を出してほしいですね。
他社ペンタブのドライバとは干渉しなかった
ペンタブメーカーの片手デバイスといえば、他ペンタブメーカーのペンタブドライバとの干渉が気になるところです。

さすがに干渉対策しているとは思いますが、一応チェックしてみました
私が普段使用しているHuionというメーカーの液タブと一緒に使ってみた結果、どちらの操作も問題なくこなすことができました。

今回使ったのは液タブ・片手デバイス両方対応のフル機能版でしたが、片手デバイス単体用のXP-Penドライバも存在します。
皆さんが他社製のペンタブと併用する際には、そちらを使用しましょう。
キー割り当ての例(クリスタ用)
十分に最適化されていないので、あくまで参考程度に見ていただきたいです。
まずはホイールの設定から。

左上は「ズーム」が設定されていましたが、無効化しています。
クリスタでは「スクロール」の操作で「ズーム」が可能なのと、切り替えの手間を減らしたいというのが無効化の理由です。

ホイールはボタンを押すごとに「ズーム」→「ブラシサイズ」→…といった感じで切り替わります。使わない操作を無効化しておかないと、ボタンを押す回数が無駄に多くなってしまうんですよね
右下にはデフォルトで「回転」が割り当てられていましたが、残念ながらクリスタではうまく機能しませんでした。
代わりに「カスタマイズ」を選び、クリスタの「左回転」「右回転」ショートカットを割り当てています。
次はボタンの設定です。
画像では、スクショを撮るために「設定のプレビュー」が割り当てられていますが、正しくはセット切り替え用のボタン「Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ」になります。

セットⅠでは取り消し/やり直し操作+各種ブラシ、選択範囲系を中心に割り当てています。
入り切らなかった操作やツールはクイックアクセス(Q)から呼び出すことでカバーしました。

セットⅡは修飾キーが中心の内容となっています。ツールの切り替えを諦めて、CtrlやShift、Altなどを使った操作に特化させてみました。
他の片手デバイスとの比較
価格帯の近い競合製品「Huion Keydial mini」「CLIPSTUDIO タブメイト」の2つと比較してみます。
XP-Pen ACK05 | Huion Keydial mini | CLIPSTUDIO タブメイト | |
---|---|---|---|
価格 | 6,599円 | 9,999円 | 通常:7,000円 優待:4,900円 |
ボタンの数 | 10 | 18 | 13 |
ホイールの数 | 1 | 1 | 1 |
電源 | 充電式 | 充電式 | 電池式 |
接続方法 | 有線 ワイヤレス(Bluetooth) ワイヤレス(レシーバー) | 有線 ワイヤレス(Bluetooth) | ワイヤレス(Bluetooth) |
操作方法 | 置いて使う (持って使うのも可) | 置いて使う | 持って使う |
その他特徴 | バッテリーが大容量 | くぼみのあるボタン形状 | クリスタなら設定ソフト不要 |
クリスタ専用の片手デバイスを探しているなら、設定不要かつ使いやすいタブメイトをおすすめします。
電池式ではありますが本体は非常に軽いですし、持って使うのもあって姿勢が楽で疲れにくいです。
優待価格ならこの中で一番安くなる点も見逃せません。
ただクリスタ以外での使用となると、別途設定ソフトを自分で用意しなければならないのが難点です。
様々なアプリで使うことを考えるなら、ACK05またはKeydial miniの2つから選ぶのをおすすめします。
取り回しを重視するならよりコンパクトなACK05を、機能性を重視するならボタン数の豊富なKeydial miniを選ぶと良いでしょう。
まとめ:コンパクトで手軽な片手デバイスを求める人におすすめ!
ボタンが10個と比較的少なめであることから、「様々なツールや機能を片手デバイス1つで完結させたい」というニーズは満足に満たせないかもしれません。
一方で、高品質なダイヤルと10個のボタンをここまでコンパクトにまとめた製品は中々ないというのも確かです。
メインの片手デバイスを用意した上で補助用として使ったり、アプリ起動用のランチャーとして使ったり、外出用として使ったりと、発想次第でいくらでも化けるだけのポテンシャルを秘めています。
また、ACK05は6,000円台と価格面もお手頃な部類なので、小回りの効く入力デバイスに魅力を感じたなら、ぜひとも試してみてほしいです。

高い品質だけでなく、取り回しの良さという明確な強みがあることを考慮し、評価は星4.0とさせていただきました。