こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
先日別の液タブをレビューしたのですが、その際に『Artist Pro 16 (Gen2)』が競合として候補に上がったんですよね。
商品紹介やスペック表に基づいて比較したものの、やっぱり実際の使用感を知った上で意見したいと思ったので、今回実機をお借りしてレビューすることにしました。
高い色再現性や繊細に表現できる筆圧レベルも魅力ですが、個人的に注目しているのは、16:10の画面比率です。
従来の液タブよりも少しだけ縦に広いことで、どれだけのメリットがあるのか。その他の使い心地も含めて正直な感想をお話ししていきます。
Artist Pro 16 (Gen2)のスペック&仕様
寸法 | 405.11 x 291.37 x 20.23 mm |
解像度 | WQXGA (2560 x 1600 px, 16:10) |
フルラミネーション | ◯ |
本体重量 | 1.79kg(公式サイト 製品比較より) |
画面サイズ | 344.68×215.42mm(16インチ) |
色域カバー率 | ・99% sRGB ・97% Adobe RGB ・99% DCI-P3 |
色精度 | ΔE(色差)<2.2 |
筆圧感知レベル | 16,384レベル |
傾き検知 | ±60° |
デジタルペン | X3 Proスマートチップスタイラス |
接続方式 | USB Type-C、またはHDMI (3in1ケーブル) |
互換性 | Windows 7以降、macOS 10.10以降、Linux、 Android(USB3.1 DP1.2)、Chrome OS 88以降、 |
特筆すべき付属品 | ・ワイヤレスショートカットリモート(左手デバイス) ・ペンケース ・フェルト芯4本+通常芯4本 |
その他機能 | 折りたたみ式スタンド内蔵 |
通常価格 | 76,980円(税込) |
▶つまりこのスペックってどうなの?
まさに最新世代のProシリーズに相応しいスペックです。
近年発売された液タブは色の正確さに注力している傾向が見られ、本機も同様に、高い色域カバー率や色精度を誇っています。
またArtist Pro 16 (Gen2)は、16:10という画面比率を採用しているのも注目すべきポイントです。
液タブやパソコンモニターで一般的な16:9の画面と比べて、16:10は少しだけ縦に広い画面となっています。
これにより作業がどれほど快適に感じられるか、今回のレビューで確かめてみました。
開封・組み立てレビュー
まずは開封レビューを通して一つ一つの内容物を見ていきます。
何かが足りないということはなく、むしろ片手デバイスが付いていたりフェルト芯が含まれていたりと充実している方です。
開封
外箱はこのようなデザインでした。

続いて液タブ本体の表側になります。

本体は1.79kgと、最近の16インチ液タブにしては重めです。
私が普段使用しているKamvas Pro 16 (2.5K)は1.28kgなのですが、持ち比べると重量の差が体感できます。
持ち運びに適しているとは言い難いですね。その分、置いた時の安定感はあるので一長一短といったところでしょうか。
最近は液タブもスリムベゼル(細いフチ)の製品が増えてきましたが、この液タブは広めに取ってあります。
液タブの場合は手の置き場所にもなるので、下部に関してはこのくらいでちょうど良いと思っています。
他社製のスタンドで使用する際、厚みの違いで支え部分に段差ができ邪魔になることがあるので、そこから距離を取れるという点でもありがたいです。

しかし左右や上側に関しては、スペースや別のモニターとの併用を考えるともう少し細い方が好ましいです。

細長い形の片手デバイスを使うなら、良い置き場所になるかもしれませんね

本体内臓の折りたたみスタンドは十分な剛性を持っていました。
滑り止めが付いていたり、折りたたみ時に抵抗が付いていたりするわけではありませんが、ハの字型になっているおかげで、よほど大きく動かさない限りは安定します。

とはいえ角度は固定であるため、可能であれば角度調整ができるスタンドやモニターアーム(※)を用意したいです。
※モニターアームを使う場合、取り付けに必要なVESAマウントが非搭載のため、ノートパソコン用のトレイに乗せるなどの形で使うことになります。

本体上部の中央には電源スイッチや輝度調整ボタン、ケーブルの接続口が配置されています。
3 in 1ケーブル・USB Type-Cケーブルをどちらに挿せばいいのか、マークを見て確認できるようになっているのは地味ながらも良い点です。
続いてお見せするのは、ペンや替え芯などが入ったペンケース。

写真は貸出機なので本数が異なりますが、実際の製品ではフェルト芯が4本付いてくるのが嬉しいですね。

ケースを引き出したり収納する際には、筒に向かって「カチッ」となるまで押し込むようにします。
思っていた以上にしっかりしたペンケースでした。
このペンケース、持ち運びする場面では便利なのですが、部屋の中でしか使わない身としてはそこまで有用性を感じられませんでした。
いちいち収納したり取り出したりするのに時間が掛かりますし、かといって出しっぱなしにしておくと机のスペースを大きく占有してしまいます。
実際、レビュー中はペンケースではなく、自前のペン立てに挿していることの方が圧倒的に多かったです。
また、本体が16インチ(しかも同サイズ帯では重い部類)で頻繁な持ち運びに適さないため、イマイチ噛み合っていない印象が強いです。
片手デバイス用のUSBドングルが取り出しにくい点も気になります。

おそらく溝の部分に指を掛けて取り出すのでしょうが、USBの端子部分に爪を引っ掛ける形になるので、壊れてしまわないか不安でした。
次はArtist Pro 16 (Gen2)で使用するペン『X3 Proペン』を見ていきましょう。

グリップ部分が広めになっており、様々な持ち方に対応可能です。
テールイレーザーと2つのペンボタンが搭載されている点は標準的で強い個性はありませんが、その分扱いやすいデザインとも言えます。
別売ですが、より細身で軽量な『X3 Proスリムペン』も使用できるので、細いペンが好みの方はそちらをご検討ください。
Artist Pro 16 (Gen2)の本体にショートカットキーはありませんが、その代わりに片手デバイス『ACK05 ショートカットリモート』が同梱されています。

単品だと6,000円以上かかる製品をさりげなく同梱しているところが、なんともProグレードらしいです。
使用感については、後述の簡易レビューをご参照ください。
残りは細かいアクセサリ類になります。
ケーブル類は、写真左からUSB電源延長コード、USB Type-Cケーブル、3 in 1ケーブル。

3 in 1ケーブルの長さはHDMI部分が約170cm、USBケーブル2本(給電用・データ通信用)はHDMIの端子から生えており、さらに約80cm弱の長さがあります。
USB Type-Cケーブルは約140cm、先ほどお見せした片手デバイス接続用のUSBケーブルは約150cmでした。
給電用のUSBケーブルは、同梱の延長ケーブルで140cmちょっとくらい延長できます。
パソコンとの距離が遠いとケーブルの長さが足りない場合があるため、必要に応じて別途延長ケーブルを用意しておきましょう。
電源アダプターは写真のように、プラグを取り付けて使う方式を採用しています。

日本に住んでいるなら写真右のプラグを使えばOKです。
最後に書類とおまけです。

グローブは比較的ゆとりがあるサイズで、日本人男性の平均に近い私の手でも難なく装着できました。
替え芯が写っていますが、実際の製品ではペンケースに入っている分のみとなりますので注意してください。
組み立て
メインのデスクトップパソコンとは3 in 1ケーブルを使って接続しました。

左右どちらの方向にも挿せるので、配線の自由度は高めです。

3 in 1ケーブルの3の方です。HDMIケーブルの根本から2本のUSBケーブルが生えています。
ケーブルの接続を終え、私が普段使っている場所に設置するとこのようになりました。

メインで使っている液タブも16インチなのですが、少し縦に大きくなるだけでこんなにサイズ感が違うのかと、正直びっくりしました。
設定ソフトの使い勝手
液タブを使用するのに必要な設定ソフト(ドライバー)は、ダウンロードページからダウンロード後、インストールします。
インストール作業は指示どおりに進めるだけで終わるため、特に難しいと感じる部分はありませんでした。

他社のペンタブ・液タブから乗り換えた方は、使っていた設定ソフト・ドライバーのアンインストールを忘れないようにしましょう。
設定ソフトの画面はこのような感じです。
↓画面に関する設定


↓ペンに関する設定

↓その他設定

日本語訳も特に不自然な点は見当たらず、必要な機能だけをシンプルにわかりやすくまとめてありました。
ペンの設定はアプリごとに設定を登録できるのがうれしいですね。
また、テールイレーザーを消しゴム以外を割り当てられることができるので、アイデア次第では面白い使い方ができるかもしれません。
1つ不満点を挙げるとするならば、キャリブレーションはキャンセルしたり初期状態に戻せる機能がほしかったです。
Artist Pro 16 (Gen2)の描き心地
私はスクラッチカードをコインで削る感触に近いと感じました。自分が使ってきた液タブの中では一番好みかもしれません。

ペンの動きを妨げない程度の摩擦感が均一に保たれており、描きやすかったです。
また、通常芯でも一定の摩擦感を感じられ、この点は他社製の液タブではあまり見られなかった特徴でした。
筆圧検知
ON荷重が3gのおかげで、軽い力でも線が引けます。
16,384段階になったことで細かい筆圧の変化を読み取れるようになりましたが、8,192段階との違いは体感だと分からないので気にしなくていいです。
液タブ選びをする際に「16,384段階=新しめの液タブ」と判断できるという点は、一応メリットとして数えられるでしょうか。
設定で筆圧カーブのプリセットが7種類から選べるので、まずはその中から自分にあったものを探してみるといいでしょう。
視差・ペン先の精度
フルラミネーション加工のおかげで視差は感じられませんでしたし、画面に対して垂直に近い角度であれば中央付近ではズレがなく、コーナーにおいても許容範囲でした。


はい、「画面に対して垂直に近い角度であれば」という言い方をしたように、まさにこの部分が本製品の惜しいポイントとなります。
というのも、ペンを傾けると、カーソルの位置が傾けた方向へズレてしまうのです。

狙った場所から少しずれた位置に線が引かれるため、特に線画を描く際は苦戦を強いられました。
慣れようと思えば慣れるのですが、変なクセが付いてしまいそうです。
もちろん色々と設定を変えて試してみましたし、設定ソフトのキャリブレーションも利用したものの、解決には至りませんでした。
それからネットで調べたところ、マルチディスプレイ時の表示倍率が原因である可能性に思い当たります。
↓参考にさせていただいたページ

しかし、
- メインモニター100%・液タブ100%
- メインモニター150%・液タブ150%
の2通りを試してみたものの、いずれもダメでした。
これで仮に改善されたとしても、モニターの設定が制限されるわけなので、どのみち不便であることに変わりありません。

この後サブPCに接続してシングルディスプレイ環境でも試してみましたが、同様の結果でした。
過去にレビューしたArtist 13 セカンドでは違和感なく使えていただけに、Proと付いている製品がこのような結果になってしまったのは残念です。

Amazonのレビューなどを見た限りでは、上記の現象に遭遇していないユーザーも多く、個体差やペンの持ち方で評価が分かれている可能性があります。
購入を検討されている方は、公式ストアをはじめとした保証付きまたは返品可能な販売店を積極的に利用しましょう。
傾き検知
ペイントソフト『CLIP STUDIO PAINT』を使い、ブラシサイズ12pxの鉛筆ツールで傾き検知の性能を確かめてみました。

少し前までワコム以外の液タブは傾き検知の効きがいまひとつでしたが、今となっては遜色ない性能にまで進化しています。
特に本製品は描画に安定感があり、傾きによる変化を簡単に出せるので、実用性が高いです。
ペン先の沈み込み・グラつき
最近の液タブはペンの進化が著しく、数年前の製品と比べて沈み込みやグラつきが大幅に改善されています。
もちろん本製品においても同様で、レビュー記事を書き始めるまで確認を忘れていたくらいです。
ペン先がカチャカチャと揺れることはなく、作業中にペンの感触が気になるようなことは何一つありませんでした。
テールイレーザー
筆圧に応じてブラシサイズがしっかりと変化してくれます。
ただテールイレーザー全般に言えることですが、消しゴムツールを使うたびに毎回持ち替えないといけないのはやはり面倒です。
一応設定ソフトで割り当てを変更できるので、別のツールを設定して有効活用できないか模索してみてもいいかもしれませんね(私はやりませんが)。
Artist Pro 16 (Gen2)のディスプレイ性能
画面をオンにして最初に感じたのは、画面の赤みでした。

商品ページから色精度や色域カバー率の高さをアピールしていたので期待していましたが……おそらく経年劣化によるものでしょう。
というのも、今回レビューに使ったのは貸出機であって、新品ではありません。
発売日が23年8月ということから、この貸出機は最長で1年半使われていると推測できます。モニターに多少の劣化が起きていても不思議ではないでしょう。

キャリブレーションツールで色域の測定ついでに色を補正したら、画面の赤みはキレイに解消できました。

キャリブレーションツールを持っていない方は、例えばWindowsだと「ディスプレイの色の調整」のようなツールで簡易的な調整ができるので覚えておきましょう。

画面サイズ・解像度
同じ16インチ帯の液タブなのに、画面比率16:9から16:10になるだけでここまでハッキリと広くなったと実感できるとは、予想外でした。
特に縦構図のイラストと相性がよく、一度に広い範囲を表示できるようになります。
近年はスマホ表示・SNSでの見栄えが良い縦構図のイラストを描く機会が多いため、16:10の画面比率は絵描きにとって数字以上のメリットを感じられるでしょう。
もちろんネットサーフィンをする際にも便利で、WebページやX(Twitter)のタイムラインを眺めるのにもぴったりです。
↓解像度2560×1440 px、16:9の画面

↓解像度2560×1600 px、16:10の画面(本製品)

一方でデメリットを挙げると、液タブとモニターを上下(手前と奥)に配置している人は、通常の16インチ帯液タブよりも圧迫感を感じやすいです。
奥のモニターと被らない配置ができるか、事前の確認をおすすめします。
設定できる項目

ほしい設定項目は一通り揃っています。
色温度の欄にブルーライトカットがあるのは、普段別メーカーを使用している身としては新鮮に見えました。
色を扱わないような作業をする際にブルーライトカットに切り替えて使うと良さそうですね。
色域
キャリブレーションツールを用いて、Artist Pro 16(Gen2)の色域カバー率を測定してみた結果が以下のとおりです。
色域 | 公称値 | 各カラーモード時 | USER設定時 |
---|---|---|---|
sRGB | 99% | 95% (-4%) | 100% (+1%) |
AdobeRGB | 97% | 93%(-4%) | 94% (-3%) |
DCI-P3(P3) | 99% | 96%(-3%) | 98%(-1%) |
各カラーモード時のカバー率と公称値の差が、思っていたより大きいです。
2%までならまだしも、3~4%の差を誤差として扱うのは厳しいかと。
USERモード時だと公称値に近いことから、商品ページに記載されている数値はこちらを参照しているのかもしれません。
1つ擁護しておくと、AdobeRGBとDCI-P3に関しては公称値に届かないとはいえ、十分に高い数値です。

スペック表で色域カバー率(標準)と記載されているように、絶対にその値になるわけじゃないと考えた方が良さそうですね
反射(映り込み)

部屋の照明を付け、液タブとの間を手で遮ってみて液タブの画面にどう反射するかを見てみました。
かなり軽減されており、照明をつけたまま作業していても反射が気になることはありませんでした。
発熱
ケーブルの接続口付近がほんのわずかに温かいくらいで、使っていて全く気になりませんでした。
体感ですが、だいたい人間の体温と同じくらいに感じました。
そもそも16インチというサイズ自体、大型液タブのように排熱用の設計が必要なレベルの熱が出ないので安心していいです。
汚れ・傷の目立ちやすさ
1日2~3時間以上の作業を7日間行った後の本製品の状態はこのようになりました。

一応グローブを着用して作業していましたが、しっかりと痕が残りました。ただ、汚れによって画面が見づらく感じるようなことはありませんでした。
ウエットティッシュで拭き取った後がこちら。

ペンによる傷はなく、使用前とほとんど変わりありません。
貸出機なので自分の前にも他の方が使ってきているわけですが、それでもこのようにきれいな状態を維持できているのは素晴らしいですね。
付属の片手デバイスを使ってみた感想

ブラウザとお絵かきソフトで使ってみた感想になります。まずは良い点から。
ダイヤルが付いており、切り替えで4つの操作を使い分けられるのが良かったです。回しやすいですし、スムーズに反応してくれます。
ワイヤレス接続はドングルを使用するため、動作は非常に安定していました。本体自体も品質が良く、安っぽさや壊れやすいような感じはありません。
一方で気になったのは、ボタンが少なく、使い方が限られるという点です。
片手デバイス1つで様々な操作や機能を使いこなしたいと考えているなら、この製品では足りないと感じるかもしれません。少なくとも私には足りませんでした。
プリセットの切替によりボタン9個(10個の内1つは切替用)×4セットの機能を登録できますが、頻繁に切替を挟むと操作が大変忙しく、これならキーボードを使った方がマシです。
ただ、工程によって使うツールが大きく変わるなら、各工程に分けてプリセットを組むというのはアリだと思います。
あとはアプリを起動するためのランチャーとして使うというのも一つの手ですね。
詳しいレビューについては個別の記事にしていますので、興味のある方はぜひそちらをご覧ください。
コストパフォーマンスの評価
最後に同価格帯の製品と比較して、コストパフォーマンスを評価します。
競合にKamvas 16(Gen3)・Artist 22 Plus・Cintiq 16・Wacom One 13の4製品を候補に挙げました。
Artist Pro 16(Gen2) | Kamvas 16(Gen3) | Artist 22 Plus | Cintiq 16 | Wacom One 13 | |
---|---|---|---|---|---|
通常価格 | 76,980円 | 79,980円 | 79,800円 | 99,880円 | 74,580円~ |
画面サイズ | 16インチ | 15.8インチ | 21.5インチ | 15.6インチ | 13.3インチ |
解像度 | WQXGA (2560×1600 px) | QHD (2560 x 1440 px) | フルHD (1920 x 1080 px) | フルHD (1920 x 1080 px) | フルHD (1920 x 1080 px) |
筆圧レベル | 16,384 | 16,384 | 16,384 | 8,192 | 4,096 |
色域 | ・99% sRGB ・99% DCI-P3 ・97% Adobe RGB | ・99% sRGB ・99% Rec.709 ・90% Adobe RGB | ・99% sRGB ・91% Adobe RGB | ・96% sRGB ・72% NTSC | ・99% sRGB |
色精度 | ΔE<2.2 | ΔE<1.5 | – | – | – |
ボタン ・ダイヤル | ・ペンボタン×2 ・テールイレーザー | ・プレスキー×6 ・ダイヤル&切替ボタン×2 ・ペンボタン×3 | ・ペンボタン×2 ・テールイレーザー | ・ペンボタン×2 ・テールイレーザー | ・ペンボタン×2 |
付属品 | ・簡易スタンド内蔵 ・片手デバイス ・フェルト芯 | ・角度調整スタンド ・キャリブレーションレポート | ・角度調整スタンド内蔵 | ・簡易スタンド内蔵 | (モデルによって異なる) |
その他機能 | ・各カラーモード切替可 | ・各カラーモード切替可 | ・各カラーモード切替可 ・VESAマウント対応 | ・VESAマウント対応 | ・sRGBカラーモード対応 ・マルチタッチ |
16:10という画面比率は現状だとArtist Pro 16 (Gen2)だけの強みです。16インチ帯の液タブを検討している人なら、これだけで購入の決め手にもなり得ます。
また、ダイヤル付きの片手デバイスが付属している点や、色域においてはDCI-P3やAdobeRGBで高いカバー率をマークしている点も魅力です。
価格面ではセールなしで7万円台と、スペックの高さを考慮すると十分お手頃な範囲に収まっており、コスパが高いと言えます。
ただ一方で、ペンを傾けた時のカーソルずれや、sRGBモード時のカバー率の低さなど、レビューを通して判明した短所もありました。
また、片手デバイスが不要である場合や別途スタンドを購入する場合のように、条件次第では競合製品にコスパ面で及ばないことがあるのは注意が必要です。
したがって、Artist Pro 16 (Gen2)のコストパフォーマンスについてまとめると、次のような評価になります。
同じ16インチ・価格帯だとKamvas 16(Gen3)が競合するくらいで、上位モデルの中では高いコスパ。あとはセール次第。
16:10の画面や(カーソルずれがない前提で)ペンの描き心地、片手デバイス付きを求めるならArtist Pro 16 (Gen2)。
色の正確性や安定した品質、豊富なボタン・ダイヤル、角度調整できるスタンドを求めるならKamvas 16 (Gen3)。
まとめ:カーソルのずれ以外は描き心地◎、もっと流行れ16:10
16インチだから縦に多少広くなったところで……と半信半疑でしたが、今回のレビューを通してその疑念は晴れました。
机のスペースが限られるけど、できるだけ大きい画面で絵を描きたいという人にとって、魅力的な選択肢となることは間違いないでしょう。
描き心地についても優秀で、ほどほどの摩擦感はペンの動きを邪魔しませんし、描いている時に伝わってくる感触は特に良かったです。
それだけに、カーソルのずれさえなければ……と思わずにはいられません。
ユーザーレビューを見る限りだと個体差の可能性が高いので、本来のArtist Pro 16 (Gen2)なら正常に機能してくれることを願うばかりです。
もし購入を検討しているのであれば、念のため返品・返金や保証が受けられる店での購入を強くおすすめします。

今回の評価は、カーソルのズレを含めた上での星3.5です。ズレがない個体なら星4.0~4.5相当の評価は付けられます。