インターネットが生活の一部となった現代では、電子書籍や無料で視聴できるイラスト講座などを通して、必要な情報へ手軽にアクセスできるようになりました。
何を学ぶべきか自分で見つけられる限り、もはや独学での上達に限界はないと言っても過言ではないでしょう。
しかし独学も良いことばかりではなく、全然上達しなかったり練習が続かなかったりと、様々な悩みに1人で向き合うこととなります。
独学のメリット・デメリット
独学でイラスト制作を学ぶメリット・デメリットは何か、改めて考えてみました。
あくまで筆者の意見になりますが、時間の面でもお金の面でも手軽に続けられるのが魅力な一方で、自由度が高い分迷走しやすい学習方法だと思っています。
いかに自己管理できるかどうかで上達のスピードも変わってくるでしょう。
独学のメリット
▶自分のペースで学べる
学校のように決まった時間・場所に縛られることなく、自由に学習・練習ができます。仕事で忙しい社会人でもスキマ時間を使って学べますし、家事で忙しかったり体調が悪かったりしたら休んでもいいわけです。
様々な生活スタイルに対応できる柔軟性の高さにおいて、独学以上の学習方法はないでしょう。
▶お金がかからない
イラスト制作を始めるには画材・機材を買いそろえる必要があります。そこからさらに教室や学校へ通うとなると、出費はかなりのものとなるでしょう。
教室に通ったり通信講座を受講するなら数万~数十万円は必要ですし、専門学校で学ぶなら数百万円~という規模に。そう簡単に出せる金額ではありません。
その点、独学ならお金がなくてもすぐに学習を始められます。インターネット万歳!
▶1人でできる
動画や書籍を通して学習するため、他人と会わなくてもいいという気楽さがあります。誰かに会うとなると、衣服を選んだり身だしなみを整えたりと、それだけで考えることが増えて面倒です。
講師に気を遣う必要がなくなるため、イラストの練習・学習へと没頭できます。
独学のデメリット
▶モチベに依存しやすい
やる・やらないを全部自分で判断するため、どうしてもモチベーションに左右されてしまいやすいです。
学校のように課題や定期テストがあるわけでもありませんし、やらなくてもペナルティがないため、やる気が出せないとなかなか取り組めません。
「学校と同じように練習をしなかった時のペナルティを作る」という考えもありますが、これはこれでお絵かきを楽しめなくなってしまうリスクが高く、長続きはしないでしょう。
▶学習内容が偏りやすい
学校や教室ではカリキュラムが用意されていたり講師が考えたりしてくれますが、独学は自分で練習メニューを考えなくてはなりません。
自分の理解度や進捗状況を客観的に評価するのが難しいため、効果のありそうな練習方法を手当たり次第試していくことになります。
また、練習内容が自分の興味・関心に沿った内容に偏ってしまうリスクが高いです。必要だけどやりたくない練習を避けてしまうと、知識の幅も表現の幅も狭まってしまいます。
▶質問できる専属の先生がいない
独学だとプロの講師に質問できる機会は限られるため、基本的に書籍やネットの情報を頼るしかありません。
検索するだけの簡単な作業のように感じられますが、自分の知りたいことをピンポイントで見つけようとすると、想像以上に難しいものです。
今ならChatGPTに聞いてみるという方法も考えられるでしょう。しかし、必ずしも適切な答えが得られるとは限りません。AIも嘘を混ぜてくることがあるので、結局私たちにも真偽を見極められるだけの知識が求められるのです。
独学で限界を感じるのはどんな時?
冒頭では「何を学ぶべきか自分で見つけられる限り、独学での上達に限界はない」と述べました。ただ練習方法そのものに限界がないとは言っても、誰もが挫折せずに続けられるわけではありませんよね。
心が折れてしまってからでは手遅れですので、そうなる前に気付けるよう、独学以外を検討すべき3つのサインを紹介します。
- どこが悪いのか分からない
- 上達を感じられない
- 練習が計画通りに続かない
どこが悪いのか分からない
「目指すレベルにまだ達していないのに、これ以上何を改善すれば良いのか分からない」
という状況に陥った場合は、新しい学習方法への移行を考えた方がいいでしょう。
目的もなく手当たり次第に練習するのは、ただ時間を無駄にするだけです。
他の人の視点から指摘してもらうことで、見落としていた課題に気づけるかもしれません。
上達を感じられない
実際に上達しているかどうかではなく、自分が上達したと思えるかどうかがモチベーションの維持には重要です。努力が報われてほしいのにいつまで経っても報われないのでは、ポジティブ思考でいるのも難しいでしょう。
まず、思ったより成長していないという意味で上達を感じられないのであれば、自分の成長速度に期待しすぎです。例えば1ヶ月で上達する方法を実践するなら、「半年後に上手くなってるといいな」くらいの気持ちでいましょう。
何事も期待のしすぎはよくない…
そういった期待を捨ててもなお上達が遅すぎると感じる場合は、やってきた練習の内容に問題があると考えられます。
今までの練習が的外れで必要な練習に取り組めていないのであれば、自分の考えだけでメニューを組むのは避けた方が良いでしょう。
プロの方にイラストを添削してもらうなどして、何を改善すべきか、何を練習すべきか明らかにすることをおすすめします。
練習が計画通りに続かない
独学には自己管理能力が求められます。毎日するかしないかよりも、計画した通りに練習をこなせるかどうかが重要です。
例えば「平日は忙しいから土日に1時間ずつ練習しよう」と決めて、そのスケジュールで練習を続けていければ良いのですが、できないのであれば独学での上達は厳しいでしょう。
独学は誰でも始められる一方で、誰でも続けられるとは限りません。他人にスケジュールを組んでもらった方がやりやすいなら、通学・受講を考えた方が良いかと思います。
独学で行き詰まったらオンライン教室・添削の活用を
独学では行き詰まりを感じているけど、学校・教室に通うだけの時間が確保できない……という方には、オンライン教室・添削の利用がおすすめです。
ネット環境があればどこにいても受講できますし、サービスによっては好きな時間に学ぶこともできます。
価格に関しても比較的安価なため、金銭面で学校に通うのを諦めていた人にとって現実的な選択肢といえるでしょう。
ここではイラスト講座・添削系のサービスを紹介していますので、気になったサービスがあればぜひ公式ページの方を覗いてみてください。
パルミー
パルミーは動画視聴形式のオンライン講座。200超の講座が視聴でき、初級者から上級者まで幅広い層におすすめです。
講座は1コマ約30分と短いため、スマホやパソコンがあればスキマ時間に受講できます。
独学に近い感覚で受講できる点が良いですね
また各テーマに絞ったコース授業も用意されており、たくさんありすぎてどれを受けたらいいか分からないという人も安心です。
さらに長期プラン限定にはなりますが、2ヶ月に1回プロによるイラスト添削も受けられるサービスも付いてきます。
料金は月額定額制。予想外の出費がなく、オンラインに特化しているため比較的リーズナブルに抑えられます。
無料お試しがあるので、長期休暇などの機会に一度体験してみては。
Class101+
韓国からスタートした、動画視聴形式・定額制のオンライン講座。
国内外の1,500以上ある講座(クラス)が見放題で、イラスト制作の他にも料理や手芸、カリグラフィーといったジャンルも豊富に用意されています。
基礎から応用まで充実したカリキュラムが組まれているほか、分からない部分があっても講師(クリエイター)とコミュニケーションができる点も魅力です。
必要な機材・道具を購入できるキットという仕組みがあり、初心者でもすぐに始められます
金額面も1年で2万円台とかなりリーズナブルなため、通信講座の中でも始めやすい部類だと思います。
時間や場所を問わず趣味を楽しみたい・スキルアップしたいという方は、検討してみてはいかがでしょうか。
Coloso.
Coloso.はVOD型(ビデオ・オン・デマンド)のオンライン教育サービスです。パルミーやClass101+との違う点は、一回購入すれば無制限で視聴できることにあります。
その分、価格設定は1講座数万円規模と少し高めです。しかし「業界トップクラスの専門家のノウハウをオンラインで学ぶ」という目標を掲げているだけあって講師陣のレベルは非常に高く、ポートフォリオを見れば講座の価格にも納得がいくと思います。
有名ゲームのイラストを担当した絵師さんから学びたい、一目惚れするようなイラストを描けるようになりたいという方は必見です。
sessa
sessaは添削に特化したスキルマーケットです。
1回500円(税抜)から自分で金額を決めて添削を依頼でき、添削されなくても依頼料がそのまま返金される仕組みになっています。
また複雑なやり取りが必要ないハードルの低さや、すべて匿名で行われる安心感も魅力です。
登録されている先生方に関しても「この先生に添削してもらいたい」と思えるほどの実力ぞろいなので、添削の依頼を考えているならとりあえずsessaは見ておきましょう。
ココナラ
ココナラは自分のスキルを出品・販売する、スキルマーケットと呼ばれるサービスの1つです。ここではイラスト作成だけでなく、レッスンや添削を依頼することもできます。
レッスン・添削の出品は、筆者が確認した時には700近くありました。イラスト作成の出品数には遠くおよびませんが、十分な数といえるでしょう。
また出品者への評価・感想が確認できたり、PRO認定制度が導入されていたりするため、初めての依頼でも安心して出品者を選べるようになっています。
様々な経歴・作風のクリエイターが出品しているので、自分が目指している職業の人がいれば仕事について話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。
SKIMA
SKIMAはココナラと同じスキルマーケットになりますが、こちらはイラスト・デザインがメインで取り扱われています。
成果物の質が高かったり満足度の高いサービスが受けられた時に、取引代金とは別にお金を贈れる『チップ』と呼ばれる仕組みが特徴的です。
また依頼したいクリエイターが見つからなかったり、どんなクリエイターに頼めばいいか分からない時には『リクエスト』という機能を使って募集することもできます。
ココナラとセットで添削の出品をチェックするとよいでしょう。
Skeb
Skebは「リクエスト」→「納品」の1往復のみというシンプルなやり取りで完結する点が、ココナラやSKIMAと大きく異なります。
指示書や納期、報酬の相談など、個人的な依頼でハードルの高かった部分が最小化されているため仕事の募集・依頼には向きませんが、気軽にやり取りしたい人たちにとっては使いやすいサービスです。
イラスト制作・アドバイスの両方を受け付けている実力派のクリエイターさんも多いため、添削してくれる人を探す時にはSkebもぜひ覗いてみてください。
まとめ
独学であろうと学校に通っていようと、結局は課題を見つけられるかどうかが全てだと思います。
お金がかからない・マイペースに取り組めるなど独学には独学なりのメリットがあるため、学習方法の1つとして大いにアリです。
しかし伸び悩んでいると感じたなら、無理せずオンライン講座のような気軽に学べるサービスから活用してみてください。
特にプロの絵師からアドバイスをもらうのは、改善点を見つけるという点で非常に有意義なものとなるはずです。
最後に少し余談です。
何かと悪い方で話題になりがちなAIのイラスト生成ですが、使い方次第では添削のようなことができます。
下のように目の形や位置を確認できるだけでも有用だと思うので、もし使える環境があれば(そしてAIに強い抵抗感が無ければ)一度試してみてはいかがでしょうか。