板タブ・液タブ

最強コスパのプロ向けペンタブ!? XP-Pen Deco Pro LW (Gen2) を本音レビュー

4.0
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こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。

今回レビューするのは、高性能な筆圧感知傾き検知を搭載しながら、価格を抑えたペンタブレット「Deco Pro LW (Gen2)」です。

近々、ワコムから待望の新型プロ向けペンタブが発売されますが、「高価格で手が出しにくい」という声もあります。

そこで、より手頃な価格でプロ仕様の描き心地を求めるユーザーにとって、有力な選択肢となるのがXP-PenのDeco Pro (Gen2)シリーズではないかと考えました。

本記事では、そのスペックや描き心地、他製品との比較などを詳しく解説し、本当に優れた製品なのかを実際に検証していきます。

XP-Pen様から検証機をお借りしてレビューしました。プロモーション案件ではありません。

1. Deco Pro LW (Gen2)のスペック&仕様

項目内容
製品名Deco Pro LW (Gen2)
メーカーXP-Pen
価格22,900円
寸法333 x 258.1 x 10.66 mm
作業エリア279.4 x 177.8 mm
重さ未公表(体感Magic Drawing Padの599gと同じくらい)
筆圧レベル16,384段階
傾き検知±60°
接続方式USB-C(有線)、Bluetooth 5.0(無線、同時に2台登録可能)
対応OS有線接続:Windows 7以降、macOS 10.10以降、Android 10.0以降、Chrome OS 88以降、Linux
Bluetooth接続:Windows 10以降、macOS 10.10以降
※iOS/iPadOSはibisPaint・Medibang Paintで使用可能
バッテリー持続時間最大10時間以上(ワイヤレス使用時)
主な付属品片手デバイス(ACK05)、X3 Proペン、メタルペンケース、替え芯(フェルト芯4本・通常芯4本)、グローブ、USBケーブル2種(Type-A to C / Type-C to C) など

▶つまりこのスペックってどうなの?

Proシリーズにふさわしいスペックを持っています。

ただ、板タブの性能自体が既に頭打ちになっている感があり、スペック表だけで他製品と性能比較を行うのは難しいです。

筆圧レベル16,384段階という数字はインパクトがありますが、8,192段階との違いは実感できるようなものではありません。

一方で、利便性については分かりやすい特長を複数備えています。

有線/無線の両対応、かつ無線が2台同時に登録できる点は、複数のデバイスで使いたいユーザーにとって嬉しい要素となるでしょう。

ワイヤレス接続時のバッテリー持ちに関しては10時間以上と、スタミナも十分です。

ibisPaintとMedibang Paint限定ですが、iPhoneやiPadで使える点も見逃せません。

また、フェルト芯や頑丈なペンケース、さらには片手デバイスが含まれているなど、魅力的な付属品が豊富です。

開封・セットアップレビュー

まずは開封レビューを通して一つ一つの内容物を見ていきます。

外箱のデザインはアーティストであるJiang Shan氏の作品が大きくプリント使われており、上品な見た目に仕上がっています。

Deco Pro LW (Gen2) 外箱

開けると、さっそく本体が姿を表しました。

Deco Pro LW (Gen2) 開封

今回はレンタル品なので袋から取り出してすぐ使えましたが、新品は本体にフィルムが貼ってあります。

忘れずに剥がしましょう。

↓表側

Deco Pro LW (Gen2)本体 表

ショートカットキーやダイヤルが付いていないので、非常にスッキリしていますね。

↓裏側

Deco Pro LW (Gen2) 裏

黒い板と白い板がくっついたような、独特の作りです。頑張れば剥がせそう

↓右側面

Deco Pro LW (Gen2) 側面

本体の手前側は、なだらかなカーブ状のパームレストになっており、長時間の作業をサポートしてくれます。

↓上側面

Deco Pro LW (Gen2) 上側

本体の上側にはボタン類がまとめて配置されています。

左から順に電源ボタン、接続先切り替えスイッチ、有線接続/充電用のUSB接続口です。

お次はペンケース。筒状になっており、内側のトレイを「カチッ」と鳴るまで押し込むと、引き出せます。

ペンケース

中身はX3 Proペンと、片手デバイス用のUSBレシーバー、通常替え芯4本、フェルト替え芯4本です。芯抜きもこのペンケースに付いています。

収納には便利ですが、日常的にペンタブを使う場合はいちいち取り出すのが面倒なので、どちらかというとペン立てが欲しいです。

ペンはグリップ部分にボタンが2つ、テール部には消しゴム機能が搭載されています。

X3 Proペン

至って標準的な作りで、液タブを使ったことのある人ならばすぐに慣れることでしょう。

もっと細いペンが好みの場合は、別売りですがX3 Pro スリムペンをおすすめします。

接続用のケーブルは、USB Type-C to C(両側Type-C)とType A to Cの2種類が付属していました。

USBケーブル2種

どちらも長さは160cmに届かないくらいで、それ以上は延長ケーブルなどを使う必要があります。

単品だと約6,000円ほどする片手デバイス「ACK05 ショートカットリモート」が付いてきます。

ACK05 ショートカットリモート

本体のコンパクトさとワイヤレス通信により、非常に取り回しが良いのが魅力です。個人的にはサブの片手デバイスとして使うのが非常に好感触でした。

詳しくは単体のレビューをしていますので、気になる方はそちらの記事を参考にしてみてください。

残りは細かい付属品。保証書とクイックガイド、そして2本指グローブが入っていました。

その他付属品

2本指グローブの長さは、手首側から中指の先までが18cm超。

今回付属していた2本指グローブは今までレビューした中だと比較的大きめで、日本人男性の平均サイズまでなら十分使える範囲です。

グローブの長さ

セットアップ

有線接続とワイヤレス接続の両方を試してみました。

有線接続は付属のUSBケーブルを差し込むだけでOK。ランプが赤色に点灯します。

有線接続

ワイヤレス接続については、本体の袋に載っている説明の通りに従って設定を行います。

Bluetooth接続のガイド

詳しい説明が見たい場合はオンラインマニュアルを参照しましょう。

接続に成功すると、本体上部にあるランプが青色に点灯します。

Bluetooth接続中のランプ点灯

セットアップが完了したあとの配置はこのようになりました。LWは同シリーズの中で真ん中のサイズですが、それでも中々大きいです。

Deco Pro LW (Gen2)の配置

ワイヤレス接続でも約26cmほど奥行きが必要になるので、設置場所には余裕を持たせておきましょう。

液タブと併用するなら、液タブはモニターアームを使った方が良さそうです。

ソフトウェアの使用感

ペンタブを使うのに必要な設定ソフト(ドライバー)は、ダウンロードページからダウンロード後、インストールします。

Artist Pro 16 (Gen 2)|ダウンロード | XPPen JAPAN公式サイト
XPPenは、15年以上のグラフィックタブレット開発の経験を活用して、信頼性の高い液晶ペンタブレット、ペンタブレットとスタイラスペンなどの製品を開発・販売している専門メーカーです。無限の可能性を秘めているXPPenと共に、今日から創造の旅を

インストール作業は指示どおりに進めるだけで終わるため、特に難しいと感じる部分はありませんでした。

ドライバーインストール画面

他社のペンタブ・液タブから乗り換えた方は、干渉防止のために、使っていた設定ソフト・ドライバーのアンインストールも忘れないようにしましょう。

設定ソフトの画面はこのような感じです。

XP-Pen設定ソフト 画面1

操作エリアの設定は「エリアの設定」ボタンからから行えます。特に複数のモニターを使っている人は絶対に覚えておきましょう。

私は「複数の画面をまたいで操作したい時」と「イラストを描く時」とで操作したい画面エリアが違うので、この設定もアプリごとに保存できるようになってほしいです。

XP-Pen設定ソフト 画面2

こちらの画面では、ペンの筆圧カーブを調整したり、ボタンをカスタマイズしたりできます。

筆圧カーブは7つのプリセットが用意されており、設定を手軽に試せるのが良いですね。

ペンの描画が上手くいかない時は、Windows Inkの項目をオン・オフ切り替えると治ることがあります。

XP-Pen設定ソフト 画面3

その他の設定です。設定を他のデバイスに移行する際などには、設定ファイルのエクスポート・インポートを活用しましょう。

総合的な評価を述べると、日本語訳で特に不自然な点は見当たらず、必要な機能だけをシンプルにわかりやすくまとめてあったのが良かったです。

また、テールイレーザーを消しゴム以外を割り当てられることができるので、アイデア次第では面白い使い方ができるかもしれません。

一方で、Deco Pro LW (Gen2)接続時の今回に限って、設定ソフトが何度も強制終了したのが気になりました。

干渉しそうな他社製ソフトはアンインストールしたはずなのですが、原因は結局分からずじまいでした。

京時
京時

他のXP-Pen製品だとこんなことなかったんですけどね……

Deco Pro LW (Gen2)の描き心地

特徴評価
感触硬め
筆圧検知低筆圧でも反応
傾き検知非常に感度が高い
ペン先の安定性沈み込み:使用に影響がない程度に少ない
グラつき:体感で分からないほど少ない
テールイレーザー筆圧を反映した消しゴム操作が可能

やや硬めの描き味ですが、滑りすぎない適度な摩擦があり、細かい描写がしやすいように感じました。

また、フェルト芯の描き心地に関しては、マジックペンの細い方を彷彿させるような感触でした。

横にメモ帳とペンを用意して描き比べてみたところ、全く同じとまではいかずとも、紙のような描き心地という表現はあながち大げさではないように思いました。

↓筆記音

筆圧検知

デフォルトの筆圧カーブ設定で試し書きをしてみました。

筆圧感知のテスト

線の強弱が素直に出てくれます。線画が上手な人なら、この性能をもっと生かせるかもしれません。

京時
京時

精進します……

ON荷重が3gのおかげで、軽い力でも線が引けます。

16,384段階になったことで細かい筆圧の変化を読み取れるようになりましたが、8,192段階との違いはやはり体感できず。

数字だけ見ると「すごい!」と思ってしまいますが、いざ使ってみるとわからないんですよね。購入の基準にするのはおすすめしません。

傾き検知

傾き検知もテストしてみました。

ペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT」の鉛筆ツール15pxを使用して、「立てて描く→寝かせて描く」といったことを行っています。

傾き検知のテスト

結論、びっくりするくらい反応が良かったです。

少なくともワコムのWacom Pro Pen2に匹敵するほどの表現幅を出すことができます。

私はペンを寝かせ気味に持つので、意図しないところで傾き検知が暴発してしまうなんてこともありました。

ペン先の安定性

ペン先については、横へのブレも沈み込みに関しても、使用上全く気になりませんでした。

ペン先が本体に付いた時のカチャカチャという音も聞こえません。

ふと家に眠っていた昔のIntuos(CTL-480)を引っ張り出して比べてみたのですが、今のペンタブはペン先の安定性が段違いに良くなっていますね。

もうあの頃のペンタブには戻れないです。

テールイレーザー

筆圧に応じて先端が沈み込むようにできています。描画においても、ブラシサイズが筆圧に応じてしっかりと変化してくれました。

ただ、毎回言っていることなのですが、テールイレーザーは使うたびにペンを持ち替えないといけないのが面倒です。

このペンに関しては設定ソフトで割り当てを変更できるので、消しゴム以外の機能やツールを設定して有効活用できないか模索してみるのも良いでしょう。

Deco Pro LW (Gen2)の利便性

本製品を評価するにあたって、使い勝手の良さも見ていきます。今回は以下の4点に着目しました。

  • バッテリー持続時間
  • ワイヤレス接続
  • 耐久性
  • Androidでの使用

バッテリーの持続時間

バッテリー残量の確認

公式では最大10時間以上とされています。

私が使用した限りでは、3~4時間(その内約2時間制作)ほどオンにした後、目盛りが4つから3つへ減っていたのを確認しました。

残り充電が20%以下になり、本体のランプが赤く点滅したのは使い始めてから3日後でした。

3日間とも作業量が同程度だった点や、使い始めの時点で既に1目盛り減っていた分を考慮すると、公式の表記通り10時間以上持続するとみて良いでしょう。

ワイヤレス接続の使い勝手

Bluetooth接続時の遅延はほぼ感じられず、有線と遜色ない操作性です。

ただし、一定時間(約30分?)放置すると、自動で電源がオフになる仕様は個人的に不便でした。

食事や風呂、休憩で席を外した後に作業を再開しようとしたら、オフになっていたということが何回もありました。

復帰が簡単なら気にならなかったのですが、本体上側という絶妙に押しづらい位置の電源ボタンを3秒(体感4秒)長押しする必要があるのがストレスです。

かといって有線接続にすると、パソコンの電源を落としてもランプが消えなくて、これはこれで煩わしいです。

細かい部分ではありますが、設定で変更できるように改善してくれることを願います。

傷のつきやすさと耐久性

使用後は描画痕が残りますが、布で拭き取れば問題ありません。

レンタル品にもかかわらず良い状態で届いたので、耐久性の面も十分信頼できます。

Androidデバイスでの使用

今回のレビューはパソコンでの使用が中心でしたが、Android接続も少しだけ試してみました。

有線接続のみ対応というのが少し残念ですね。

Androidで使う際は、ペンタブ本体を時計回りに90°回転させた向きで使うことになります。

しっかり反応してくれるのはいいですが、サイズが不釣り合いなせいで描きづらかったです。

スマホで使うことも想定するなら、ひとつ下のサイズであるDeco Pro MW (Gen2)を選べばもう少しマシになるでしょう。

ついでに非対応のBluetooth接続もダメ元で試してみました。

接続自体はできたものの、まだ描いていないのに線が引かれてしまっています。大人しく有線接続を使いましょう。

他製品との比較

競合製品や同社の下位モデルと比較をしてみます。

今回XP-Pen Deco LW」・「Xencelabs ペンタブレット Medium」・「Wacom Intuos Pro Medium(新型)」の3製品を候補に挙げました。

製品名Deco Pro LW (Gen2)XP-Pen
Deco LW
Xencelabs
ペンタブレット
Medium
Wacom
Intuos Pro Medium
通常価格22,900円14,980円35,980円62,480円
製品寸法333 x 258.1 x 10.66 mm315 x 187 x 8.8 mm320.5 x 232.5 x 8 mm291 x 206 x 4~7mm
作業エリア279.4 x 177.8 mm254 x 152.4 mm262.4 x 147.4 mm263 x 148mm
筆圧レベル16,3848,1928,1928,192
ボタン・ダイヤル-(片手デバイス付属ボタン ×8ボタン ×10
ダイヤル ×2
利用可能ペンX3 Proペン
X3 Proスリムペン
X3 Proローラースタイラス
X3 Eliteペン
X3 Elite Plusペン
PH25 (3 ボタンペン)
PH6-A (スリムペン)
Wacom Pro Pen 3
Wacom Pro Pen 2
コラボペン など
接続方法有線
無線(Bluetooth)
有線
無線(Bluetooth)
無線(ワイヤレスレシーバー)
有線
無線(ワイヤレスレシーバー)
有線
無線(Bluetooth)
バッテリー持続時間最大10時間以上最大10時間以上最大16時間最大16時間
主な付属品X3 Proペン
片手デバイス
通常芯 4本
フェルト芯 4本
ペンケース
X3 Eliteペン
USB変換アダプター
替え芯10本
ワイヤレスレシーバー
PH25 (3 ボタンペン)
PH6-A (スリムペン)
POM芯 4本
フェルト芯 4本
ペンケース
タブレットケース
Wacom Pro Pen 3
ペンスタンド
標準芯 5本
フェルト芯 3本
ラバー芯 2本
ペンカスタマイズパーツ
その他特徴Android対応
iPhone/iPad一部対応

Bluetooth2台登録可
Android対応
iPhone/iPad一部対応
薄型(8.8mm)
軽量(456g)
ペン2種同梱
薄型(8mm)
超薄型(4~7mm)
軽量(411g)
Bluetooth2台登録可
オーバーレイシート利用可

どの製品も一長一短がありますが、価格と機能のバランスを考えると「Deco Pro LW (Gen2)」が最もコストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。

一方で、ペン性能や付属品を重視するなら「Xencelabs ペンタブレット Medium」プロ志向の方には「Wacom Intuos Pro Medium」も魅力的です。

目的おすすめの製品
コスパ重視・高性能が欲しいDeco Pro LW (Gen2) – 筆圧16,384レベル・広い作業エリア・片手デバイス付属
価格重視・初心者向けXP-Pen Deco LW – 低価格ながら基本性能をしっかり搭載
付属品充実・高品質なペンXencelabs ペンタブレット Medium – 2種類のペン&専用ケース付属
プロ仕様・最高の描き心地Wacom Intuos Pro Medium – 豊富で高性能な対応ペン・純正オーバーレイシートあり

まとめ:コスパよく高性能ペンタブを手に入れたい人におすすめ!

気になった点
  • 設置には奥行きが必要
  • ワイヤレス接続の自動オフ・有線接続のランプ点きっぱなしがストレス
  • 設定ソフトの強制終了が多発
  • AndroidデバイスとはBluetooth接続非対応
良かった点
  • 高水準なペン性能(傾き検知・ペン先の安定性など)
  • ボタン・ダイヤルなどをなくしたスッキリデザイン
  • 遅延を全く感じないワイヤレス接続
  • 本体の耐久性の高さ
  • 優秀な付属品(片手デバイス・フェルト替え芯)
  • ↑これが2万円台で買える

遅延を感じないBluetooth接続や、6~7,000円相当の片手デバイスが付属している時点でも十分ですが、やはりプログレードの製品は描き心地の良さが一番の魅力です。

これが2万円台で買えるのですから、まさに「コスパが良い」という言葉にふさわしい製品と言えます。

電源オフの仕様などいくつか気になる点はありましたが、それを考慮しても競合製品に引けを取らないクオリティです。

中級者からプロまで、お手頃価格でグレードアップしたい人におすすめします。

京時
京時

コスパの良さという明確な強みがある本製品。評価は星4.0としました!