PCでクリスタ使うのって実際はどのくらいの性能があれば十分なの?
こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
身も蓋もないことを言えば一番高いPCを買うのが確実ですが、それができるのは限られた人だけです。できるだけ低予算で、十分快適に使えるPCを探している人がほとんどなのではないでしょうか。
本記事では、ペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT」を快適に動かすために必要なPCスペックの目安について解説します。
私自身が過去~現在にかけて使用してきたPCの使用感を元に、クリスタ用PCの推奨スペックを考えてみました。
なお、ここでは「初心者~アマチュアの人がSNSなどへの投稿用としてイラスト制作」するケースを想定したものとします。
制作の規模(レイヤー数・キャンバスサイズなど)が極端に大きい場合は、それ相応に要求スペックも高くなるので注意しましょう。
公式の必要・推奨スペック
まずはクリスタの公式サイトの動作環境を確認してみましょう。
OS | Windows8.1, 10, 11(64bit) macOS10.13, 10.14, 10.15, 11 |
CPU | SSE2に対応したCPU |
メモリ | 2GB以上のメモリ必須、8GB以上推奨 |
GPU | OpenGL2.1対応のGPU |
ストレージ (インストール用) | 3GB以上の空きストレージ |
モニター | XGA(1024×768)以上必須、WXGA(1280×768)以上推奨 ハイカラー(16Bit、65536色)以上必須 |
専門用語が多くて難しいと思うので結論だけ述べますと、現在流通しているPCのほぼほぼ全てが以上の条件をクリアしています。
この条件の緩さが示すように、公式サイトに掲載されているのはあくまでもクリスタが動く最低ラインであって、快適に使える基準とは限らないのです。
筆者のクリスタ使用環境
参考までに僕が使用している、または使用していたPCにおけるクリスタの使用感を紹介します。本記事ではこれらの使用経験に基づいて推奨スペックを考えました。
1. 2015年のノートPC
▶スペック
OS | Windows 10 home 64bit |
CPU | Intel Core i5-5200U |
メモリ | 8GB(4GB×2枚) |
グラフィックボード | なし(内蔵) |
ストレージ | HDD 500GB |
▶クリスタの使用感
デジタルイラスト始めたばかりの頃に使っていたPC。
キャンバスの描画に細かい遅延が発生したり、ツール切り替え時などの反応が遅かったりと、今の自分が使おうものならストレスで寝込むかもしれません。
私は基本的に動画や配信を流しっぱなしにしながらイラスト制作することが多いのですが、このPCでも「途中までなら」制作作業ができていました。
しかし塗りが終わりそうな段階からメモリ不足が顕著になり、Webブラウザを開いたまま作業するとフリーズしたり、クリスタが強制終了したりと踏んだり蹴ったりの状態に。
3D素材を使うにもカックカクでとても使えたもんじゃありません。
また、ストレージがHDDであるためクリスタの起動やclipファイルの読み込み・書き込みに時間が掛かるのも不便でした。
2. 約10年のパーツで組んだゲーミング?PC
▶スペック
OS | Windows 10 Pro 64bit |
CPU | Intel Core i5-3570K |
メモリ | 16GB(4GB×4枚) |
グラフィックボード | Geforce GTX760 |
ストレージ | SSD 240GB + HDD 1TB |
▶クリスタの使用感
ノートPCの性能に不満を感じ、昔組んだ自作PCを引っ張り出してパーツ交換したものです。
クリスタで絵を描いていると稀に反応が遅れることがありましたが、全体的な快適性は確実に上がりました。
メモリが16GBになってマルチタスクをこなす余裕ができましたし、SSDにインストールしたことでクリスタの起動時間も短くなりました。
また、昔のグラボとは言え前述のノートPCを遥かに上回るグラフィック性能を持っているため、3D素材の使用も難なく可能です。
↓PCアップグレード時に書いた記事
メインPC
▶スペック
OS | Windows 11 Pro 64bit |
CPU | AMD Ryzen 5 3600 |
メモリ | 16GB(8GB×2枚) |
グラフィックボード | Geforce RTX3060 |
ストレージ | SSD 2TB + HDD 1TB |
▶クリスタの使用感
正直に言うと、このスペックはクリスタやお絵描きのためではなく、快適にゲームをするためのものです。
ゲームができるということはもちろんクリスタも軽々動くわけで、3D素材もかなり軽快に操作できます。
メモリの容量やストレージに関しては先程のPCでも十分だったので、クリスタの使用感全体で見ると動作が早くなったというよりもパフォーマンスの安定感が増した印象です。
4. 液タブ専用ノートPC
▶スペック
OS | Windows11 home 64bit |
CPU | Intel Core i5-1035G1 |
メモリ | 8GB(4GB×2枚) |
グラフィックボード | なし(内蔵) |
ストレージ | SSD 256GB |
▶クリスタの使用感
キーボード部分だけの姿で驚いた方もいるかもしれませんが、これは中古で購入したジャンク品です。
割れていたディスプレイ部分を取り外して液タブ専用機として使っています。
Intel第10世代、4コア8スレッドのCPUが搭載されており、前述のノートPCよりも明らかに操作への反応が良いです。
メモリが8GBな点、増設できない点が不満ではあるものの、WebブラウザなどをメインPCの方で開いているおかげで今のところは足りています。
またグラフィックボードは付いておらず内蔵のものですが、3D素材はモデル1体を軽く使う程度なら十分でした。
パーツごとの推奨スペック
これまで使用してきたPCの使用経験に基づいて、クリスタを使うのに適したPCスペックをパーツごとに解説していきます。
CPU
CPUの性能にはクロックやコア数、キャッシュメモリなど様々な要素が関係していますが、ここでは分かりやすい指標としてコア・スレッド数に注目します。
この数字が大きいほど処理能力が上がると考えて構いません。
これからPCを買うなら、最低でも4コア・8スレッド以上のCPUが搭載されたものを選びたいところです。
ちなみにクリスタやPhotoshopのブラシ処理は1スレッドあたりの性能が重要と言われています。
かといってそこまで調べると大変なので、シンプルに新しい世代のCPUを選ぶと覚えておけば大丈夫です。
私自身2コア4スレッドのCPUでは不十分だと痛感していますし、性能の低いCPUだとせっかくのPCなのにできることが狭まってしまいます。
将来3Dに興味を持ったりLive2Dを使いたくなった時に動かないと困りますよね。頻繁に買い替える物ではないからこそ、性能をケチり過ぎるのは良くないです。
したがって、デスクトップPCなら3世代前~現行世代のIntel Coreシリーズ(例 Core i3-14100)またはAMD Ryzenシリーズ(例 Ryzen 5 7600)が候補となります。
省電力と引き換えに性能が抑えられているノートPCの場合は、なおさらCoreシリーズ・Ryzenシリーズ相当の性能が欲しいです。
メモリ
自作する場合や増設する場合はクロックや規格など色々見るところがありますが、PCを買う場合は店側で対応している製品を選んでくれるため、容量に気を配っておけば大丈夫です。
メモリ不足にならないことがとにかく重要なので、できるだけ容量の大きいものを選びましょう。
最近は32GBを選ぶ人も少しずつ増えてきていますが、イラスト制作においては16GBあれば十分です。
8GBでもある程度のタスクはこなせるので、できるだけ予算を抑えたい場合のみ検討しましょう。
8GBのメモリなら数千円から増設できるため、後で増設できるモデルを選ぶと良いです
また、同じ16GBでも8GB×2枚と16GB×1枚のようにメモリの構成が異なる場合があります。16GB×1枚よりも8GB×2枚の方が性能が良いという点は覚えておきましょう。
詳しい性能の違いについてはこちらの記事が参考になるかと思います。
ストレージ(SSD・HDD)
SSDでもHDDでもクリスタは問題なく使えますが、今から買うならSSDが搭載されたPCを選ぶべきです。
OSやソフトの起動、ファイルの読み書きの速度が目視で分かるレベルで違います。
容量に関しては多いほど良いのは当然ですが、クリスタ以外にゲームやクリエイティブソフトを利用する予定がなければ256GBで足りるかと思います。
CPUやメモリの推奨スペックを満たそうとすれば、最低でも250~512GBほど搭載されているPCが残るので、自然とクリアできるでしょう。
グラフィックボード
クリスタを使うことだけ考える、かつ初心者~趣味レベルを想定するならCPUの内蔵グラフィックで十分です。
特に新しいCPUなら、3D素材を軽く使用する程度であれば問題なくこなせます。
ただ、グラフィックボードが画面出力を担当することでCPUの負担を減らせますし、3D素材をフル活用したい場合には必要になるため、付けておいて損はありません。
クリスタの3D素材を扱いたいなら、グラフィックボードの性能はGeForce GTX1650相当あればOKです。
ただ、今後AI関連の機能が追加される可能性が0ではないため、予算があればGTXの上のRTXシリーズを選ぶようにしましょう。
ソフトによっては、AI技術やグラフィックボードのパワーを生かした機能が追加され始めています。クリスタも将来のアプデ次第では、作業効率に大きく影響するようになるかもしれませんね
PCのスペック確認方法
PCのスペックを確認する方法です。
自分のPCがクリスタの必要スペック・推奨スペックを満たしているか調べてみましょう。
【Windows10・11での確認方法】
設定→システム→バージョン情報
【macOSでの確認方法】
アップルメニュー(画面左上のリンゴ)→このMacについて
クリスタがちゃんと動くか不安な人は、クリスタの無料お試しを利用して使用感を確かめるのが確実でおすすめです。
クリスタの推奨スペックまとめ
ここまでの解説を踏まえて、クリスタを使うのにおすすめなPCのスペックをまとめました。
CPU | 4コア8スレッド以上のCPU 3世代前~最新のAMD Ryzenシリーズ or Intel Coreシリーズ |
メモリ | 最低: 8GB 推奨: 16GB以上 |
ストレージ | SSD 256GB以上 |
グラフィックボード | 3D素材を軽く使う程度なら優先度低め ガッツリ使う→GTX1650以上 将来性・多用途→RTXシリーズ |
当然ですが、サイズの大きいイラストを描いたり、レイヤーを大量に使ったりする人ほど上記よりも高性能なPC(特にメモリ容量)が必要になる点は覚えておきましょう。
また、デジタルイラスト向けの液晶モニターを探している方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
クリスタ向けのオススメPC紹介
最後に、本記事で提案したクリスタの推奨スペックを満たしている、比較的安めのPCをいくつか紹介します。
ここで紹介しているPCメーカーのマウスコンピュータは、無駄なソフトや人件費を削減している分、高性能なPCがお得に購入できるのが魅力です。
一部パーツのカスタマイズも可能なので、自分の求める性能に近いPCを手に入れることができます。
ここで紹介するものはほんの一部なので、より高性能なPCが見たい人は公式サイトを覗いてみてください。
Thunderbolt 4搭載の高コスパノートPC
製品名 | mouse F4-I5U01OB-A |
OS ◎ | Windows 11 Home |
CPU | Intel Core i5-1240P プロセッサー |
メモリ ◎ | 16GB (8GB×2) |
ストレージ ◎ | SSD 256GB |
グラフィックス | Intel Iris Xe グラフィックス(内蔵) |
液晶パネル | 14型 フルHD |
値段(記事更新時) | 119,900円~ |
※表の◎が付いたパーツはカスタマイズ可能
12世代のCore i5・メモリ16GBの堅実なスペックと14型という持ち運びやすいサイズを両立。映像出力に対応したThunderbolt 4端子があるため、USB Type-Cケーブルに対応した液タブなら1本で接続できます。ノートPCはディスプレイ・マウス・キーボードを別途用意する必要がないため、初めてのPCとしてもおすすめです。
ただストレージが少し心もとないので、カスタマイズで増やしたり外付けSSDを用意したりといった対応も視野に入れておきましょう
グラフィック性能重視のデスクトップPC
製品名 | NEXTGEAR JG-A5G60 |
OS ◎ | Windows 11 Home |
CPU ◎ | AMD Ryzen 5 4500 プロセッサー |
メモリ ◎ | 16GB (8GB×2) |
ストレージ ◎ | SSD 1TB |
グラフィックス | GeForce RTX 4060 |
値段(記事更新時) | 134,800円~ |
※表の◎が付いたパーツはカスタマイズ可能
CPUの性能を抑えることでグラボ搭載ながらも安価な価格を実現しています。RTX 4060は、ゲームだとフルHDで遊ぶ分には不自由しないレベルのグラフィック性能です。抑えめとはいえCPUも必要十分なレベルのため、お絵かきだけでなく3Dや動画制作などもこなしたい人におすすめです。
広色域パネル&軽量のクリエイター向けノートPC
製品名 | DAIV Z4-I7I01SR-A |
OS ◎ | Windows 11 Home |
CPU | Intel Core i7-1360P プロセッサー |
メモリ ◎ | 16GB (8GB×2) |
ストレージ ◎ | SSD 500GB |
グラフィックス | インテル Iris Xe グラフィックス(内蔵) |
液晶パネル | 14型 フルHD sRGB比100% |
値段(記事更新時) | 189,800円~ |
※表の◎が付いたパーツはカスタマイズ可能
DAIVはクリエイター向けPCのブランドです。色再現性の高い液晶パネルが使われている他、Thunderbolt 4端子なども搭載しており周辺機器とも快適に接続できます。また、約16.4mmの薄さと約975gという軽さが大きな魅力で、まさに持ち運びの多い人にはうってつけです。
欲を言えばグラボがほしかったですが、この薄さ・軽さにしようとすると難しいのでしょう。まぁIris Xeは内臓グラフィックスにしては優秀な方なので、イラスト制作には十分ですけどね。