XP-Pen Artist 13 セカンドを約1ヶ月ほどお絵描きに使ってみたので、今回はそのレビューになります。
X3チップ搭載といっても具体的にどういう描き心地?
13インチの液タブってどのくらいの大きさ?
などなど疑問に思っている方は、ぜひ本記事を参考にしていただけたら幸いです。
XP-Pen製の液タブを使ったのはこれが初めてでしたが、やはりX3チップによるペン性能の向上が大きいのか、安価ながらもお絵かきに十分なレベルの描き心地を満たしているように感じました。
少なくともXP-PEN製の中から選ぶ際には、このX3チップを採用しているかどうかが基準になってくるでしょう。
もちろん内容物や設定項目など気になった点もありましたので、そういった部分を本文で解説していきます。
基本スペック
他の製品と比べて色域が広めですが、全体としては標準的な性能です。
多くのシステムに公式対応している点が特徴で、Windows・Mac OS・AndroidだけでなくChrome OSやLinux環境で使用したい人も安心して使えます。
開封レビュー(外観・内容物)
公開されている基本スペックを押さえたところで、ここからは開封レビューをしていきます。
Artist 13 セカンドのサイズ感や内容物などを見たい方は要チェックです。
開封時の様子
箱のデザインはシンプルめ。
開封し、黒いクッション材を除けると液タブ本体が出てきました。本体はもちろんビニールに包まれています。
ひと通り開けてみましたが、破損していたり雑に物が入れられていたりというのは特に無かったです。
内容物
必要最低限の内容物+おまけといった感じでしょうか。2本指グローブは持っていない人にとっては地味に嬉しいポイントです。
個人的にはペンスタンド、またはペンホルダーが付いていればもっと良かったかなぁとは思いました。
また、折りたたみスタンドやUSB Type-Cケーブル、コンセント接続用のアダプタが付属していない点にも注意しましょう。
スタンド・ケーブルは公式ストアから追加オプションとして購入できます。
本体の外観
本体の表面。画面外の領域が少し広い印象です。ボタンは9個あり、内6個は触った感触でどのボタンか判別できるように点が打ってあります。
左から3 in 1ケーブル用の接続口、USB Type-Cケーブル用の接続口、輝度調整ボタン、電源ボタンが配置されています。見ての通り本体はかなり薄く、板タブと比べても遜色ないレベルです。
画質が悪くて分かりづらいのですが、画像の本体左端にはどちらがどのケーブルの接続口かガイドが記載されています。
コンパクトさを重視した結果か、内蔵の簡易スタンドは搭載されていません。
サイズの比較
上は13.3インチ画面のノートPC、中型の板タブ、15.8インチ画面の液タブと比較した画像になります。ノートPCや板タブと比べて(画像基準での)縦幅が長く、バッグやリュックが小さすぎると収まりきれないかもしれません。
スケッチブックと比べてみました。横幅はほぼ同程度、縦幅は液タブのほうが小さくなっています。
接続・初期設定
次は接続や設定周りについてのレビューです。詳しい設定方法は公式サイトに書いてあるのでここでは軽い解説に留めておき、実際にやってみて気になった点を中心に話していきます。
Artist 13 セカンドの接続方法
Artist 13 セカンドには2つの接続方法があり、「3 in 1ケーブル」「フル機能USB Type-Cケーブル(別売)」どちらかの方法でデバイスとつなぎます。
3 in 1 USBケーブルでの接続
基本的には付属している3 in 1ケーブルを使って接続することになります。液タブ側がUSB Type-Cになっており、PC側がUSB Type-A(データ通信用)、USB Type-A(給電用)、HDMIの3本です。
液タブの接続方法としては昔からある定番のもので、大半のPCは変換アダプタを使わなくてもこのケーブルに対応しています。
Artist 13 セカンドの3 in 1ケーブルはHDMI端子から2本のUSBケーブルが生えている形となっています。今まで使ったことのある液タブはどれも3つ又だったため、最初見た時はなぜこのようになっているのか正直困惑しました。
ただUSBケーブルに十分な長さがあったおかげで、延長ケーブルを使わなくても余裕を持って接続できました。
フル機能USB Type-Cケーブルでの接続
筆者は元々メインの液タブ用にUSBケーブルも対応するPCも用意していたので、こちらの接続方法で使っています。
使ってるUSBケーブル↓
USB type C ケーブル L字 2M タイプc 充電 USB3.1 Gen2(10Gbps) 100W PD急速充電 4K / 60Hz映像出力 ナイロン編みMacBook、Pad、Surface、Switch、Xperia、Galaxy、Pixel等Type C機種対応
フル機能USB Type-Cケーブルを使うとAndroidスマホと接続できるほか、3 in 1ケーブルよりも見た目がスッキリしていて、接続の手間も少ないです。
しかし使える環境が限られるのが欠点で、Androidスマホ・PCどちらの場合でもUSB3.1 DP1.2対応であること、フル機能のUSB Type-Cケーブルを別途用意することが求められます。
重ねて伝えますが、こっちのケーブルは別売りです!
また給電が不足していると、電源用に3 in 1ケーブルが必要になって結局ごちゃついてしまう……なんてことも。
この方法でないと接続できないなら仕方ないですが、それ以外の場合は素直に3 in 1ケーブルを使ったほうが無難です。
ドライバーのインストール
PCで使うには、XP-Penの公式サイトからドライバーをダウンロード、インストールする必要があります。
Androidで使う人は関係ないので飛ばしてください。
- STEP 1公式ページから製品名を選択してドライバーをダウンロード
公式サイトのダウンロードページから製品名を指定し、最新のドライバーをダウンロードします。
複数のバージョンが表示されている場合は、日付の新しい方を選んでおけば大丈夫です。 - STEP 2ダウンロードしたZIPファイルを展開、実行
クリックで拡大 - STEP 3画面の指示に従ってインストールを完了させる
実行時に「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか」という表示が出てきたら「はい」を選択します。
画面の指示に従ってOKを押します。
同意にチェックを入れてインストールボタンをクリックします。
あとはPCを再起動すればインストール終了です。
特に難しい部分は無く、インストール作業はスムーズに行えました。
PC起動時に自動で起動するように設定されているとは思いますが、以降XP-Penの液タブを使用する際は、インストールしたドライバーを必ず起動させておきましょう。
ドライバーが起動していないと液タブの諸々の機能が使えません。
ディスプレイの調整
液タブの画面の調整はインストールしたドライバーソフトの設定画面からできます。
- STEP 1XP-Penのソフト「Pentablet」を起動
見つからない時はWindowsの検索で「Pentablet」を探そう - STEP 2「エリアの設定」を選択
- STEP 3「作業エリア」のタブを選択後、「ディスプレイ設定」を選択
「ディスプレイ設定」をクリックすると下のような画面が表示されます。
ドライバーソフト以外にもWindows標準で色を調整する機能もあるので、使いやすい方を利用すると良いでしょう。
筆者の液タブだとわずかに赤っぽかったため、赤色をほんの少しだけ弱くしました。
Webに投稿することを想定しているのでsRGBに色域を設定できると良かったのですが、そういった項目は残念ながら用意されていないようです。
描き心地のレビュー
結論を述べると、今までメイン機でやってきたことをそのまま1ヶ月無理なくこなせたので、私的には十分な性能でした。
反応の速さ・安定性ともに優秀で、X3チップの強みが十分発揮されていました。
ペンの握りやすさ
グリップが付いていないシンプルなデザインですが決して作りが悪いわけではなく、これといった不満点もなく使えました。
グリップがなくても滑りにくいなら全然OKです
太さに関しては比較的スリムな方で、手の小さい人でも持ちやすいかと思います。
(ただ、最新技術を搭載したペンと聞いてもう少し高級感のある見た目を期待していたので、肩透かし感があったのは否定しません)
ペン先の沈み込み
指で触れてみるとチャキチャキと音がするものの、確かに沈み込みが少なく0.6mmというのは納得がいきました。
個人的にペン先の作りはH社の方が好みではありますが、これもこれで使いやすかったです。
傾き検知の性能
こちらはクリスタの鉛筆ツール(ブラシサイズ15.0)で線を引いた動画です。
傾き検知に対応したツールはペンを立てるのと傾けるのとで筆跡に変化を出せるのですが、Artist 13 セカンドは傾き検知が意図通りに機能してくれず、作業で使うのは現実的ではないと思いました。
とにかく筆跡が安定しないんですよ。描き始めは良くても途中から立てて描いているのと同じ線が出てきますし、線を引く角度によっても変化しやすかったりしづらかったりします。
同メーカーの板タブDeco LWをレビューした際は使いやすかったので、この結果は意外でした。
幸いにも筆者の場合は傾き検知を使わないので影響を受けなかったものの、アナログに近い表現を求める人は避けた方がいいかもしれません。
視差(カーソルの位置ずれ)
画像はXP-Penのドライバーソフトの設定「キャリブレーション」を使って調整した後の視差です。
画面端だとほんのわずかに位置がずれているように見えますが、画面がフルラミネーション加工されているおかげか、他製品より最低限に抑えられています。
ディスプレイのレビュー
スマホの画面ほどツルツルはしていないものの、板タブDeco LWよりは滑りやすく、今まで使ってきた液タブと比べても摩擦が若干弱いように感じました。
私の場合はちょっと使えば慣れたので気にすることはありませんでしたが、人によってはペーパーライクフィルムが欲しくなるかもしれません。
発熱に関してはケーブル接続部周辺が暖かくなる程度で、決して熱いというレベルではないです。
(寒い時期は手を温めるのにちょうど良いかも…)
ディスプレイの発色チェック
注意点ですが、色の表現や正確性については専用の測定機材を持っていないのであくまでも目測となります。
鵜呑みにはせず参考程度に留めておいてください。
液晶ディスプレイのメーカーであるEIZOさんの記事を参考に簡易的な表示チェックを行いました。
カラーと白黒の2つのパターン画像を表示した結果が下の通り。区別できる色が多いほど表示品質が高いということになります。
色域がsRGB 130%カバーしているだけあって色が鮮やかに見えます。一方で色の潰れている範囲は広く、値段相応な印象です。
比較として私が普段使用している液タブの場合を見てみましょう。画像左側を見比べてみるとどれだけ色が判別できるか違いが分かるかと思います。
まとめ: Artist 13 セカンドはどんな人におすすめ?
Artist 13 セカンドのレビューは以上になります。改めて良かった点・気になった点をまとめると以下の通りです。
したがって本製品がおすすめなのは、
- PCを既に持っている & 安く本格的にデジタルイラストを始めたい
- 家でも外でもお絵かきがしたい
- スマホ・タブレットよりも大きい画面でお絵かきしたい
といった方です。
Androidスマホに接続して使いたい方は「自分のスマホがArtist 13 セカンドに対応している」かつ「フル機能のUSB Type-Cケーブルを用意できる」ことを必ずご確認ください。