板タブ・液タブ

XP-Pen Artist 13 セカンドを実機レビュー! X3チップ採用の入門向け13インチ液タブ

3.5
当ブログではWeb広告を導入しています

XP-Pen Artist 13 セカンドを約1ヶ月ほどお絵描きに使ってみたので、今回はそのレビューになります。

X3チップ搭載といっても具体的にどういう描き心地?

13インチの液タブってどのくらいの大きさ?

などなど疑問に思っている方は、ぜひ本記事を参考にしていただけたら幸いです。

XP-Pen製の液タブを使ったのはこれが初めてでしたが、やはりX3チップによるペン性能の向上が大きいのか、安価ながらもお絵かきに十分なレベルの描き心地を満たしているように感じました。

少なくともXP-PEN製の中から選ぶ際には、このX3チップを採用しているかどうかが基準になってくるでしょう。

もちろん内容物や設定項目など気になった点もありましたので、そういった部分を本文で解説していきます。

良かった点
  • iPadよりも広い画面&無理なく持ち運べるサイズ
  • ChromeOS・Linux・一部のAndroidに公式対応
  • 板タブと遜色ないレベルの薄さ
  • ペンの反応・精度が良好
  • 視差が小さい
気になった点
  • Type-Cケーブル・スタンド別売
  • 色域の設定ができない
  • 画面の摩擦が若干弱い
  • 傾き検知は不得意

本記事はXP-Pen様より製品の提供を受けて作成しています。

Sponsored Link

基本スペック

寸法378 x 225 x 11.99 mm
重さ約1.02Kg
画面サイズ13.3インチ
フルラミネーション
解像度フルHD(1920 x 1080 px)
視野角178°
色域92% NTSC / 96% Adobe RGB / 130% sRGB
表示色16.7M(8bit)
コントラスト1000:1
輝度220cd/㎡
筆圧検知レベル8192段階
ペン解像度5080 LPI
読み取り精度±0.5mm(中央)/ ±1mm(コーナー)
読み取り高さ10mm
応答速度非公開
傾き検知±60°
対応環境Windows7以降、Mac OS 10.10以降、Chrome OS 88以降
Linux、Android(USB3.1 DP1.2 以降)
ショートカットキー9個

▶つまりこのスペックってどうなの?

他の製品と比べて色域が広めですが、全体としては標準的な性能です。

多くのシステムに公式対応している点が特徴で、Windows・Mac OS・AndroidだけでなくChrome OSやLinux環境で使用したい人も安心して使えます。

開封レビュー(外観・内容物)

公開されている基本スペックを押さえたところで、ここからは開封レビューをしていきます。

Artist 13 セカンドのサイズ感や内容物などを見たい方は要チェックです。

開封時の様子

artist 13 セカンド 外箱

箱のデザインはシンプルめ。

artist 13 セカンド 箱の中1

開封し、黒いクッション材を除けると液タブ本体が出てきました。本体はもちろんビニールに包まれています。

artist 13 セカンド 箱の中2

ひと通り開けてみましたが、破損していたり雑に物が入れられていたりというのは特に無かったです。

内容物

artist 13 セカンド 全内容物
Artist 13 セカンド 内容物
  • Artist 13 セカンド 本体
  • X3 Elite スタイラスペン
  • 3 in 1 USBケーブル
  • 延長コード
  • 替え芯 x10
  • 替え芯抜き
  • クリーニングクロス
  • 2本指グローブ(黒)
  • クイックガイド
  • 保証書

必要最低限の内容物+おまけといった感じでしょうか。2本指グローブは持っていない人にとっては地味に嬉しいポイントです。

個人的にはペンスタンド、またはペンホルダーが付いていればもっと良かったかなぁとは思いました。

また、折りたたみスタンドやUSB Type-Cケーブル、コンセント接続用のアダプタが付属していない点にも注意しましょう。

京時
京時

スタンド・ケーブルは公式ストアから追加オプションとして購入できます。

本体の外観

artist 13 セカンド 外観(表)

本体の表面。画面外の領域が少し広い印象です。ボタンは9個あり、内6個は触った感触でどのボタンか判別できるように点が打ってあります。

artist 13 セカンド (側面)

左から3 in 1ケーブル用の接続口、USB Type-Cケーブル用の接続口、輝度調整ボタン、電源ボタンが配置されています。見ての通り本体はかなり薄く、板タブと比べても遜色ないレベルです。

artist 13 セカンド (裏)

画質が悪くて分かりづらいのですが、画像の本体左端にはどちらがどのケーブルの接続口かガイドが記載されています。

コンパクトさを重視した結果か、内蔵の簡易スタンドは搭載されていません。

サイズの比較

サイズ比較1
Artist 13 セカンドは右から2番目。

上は13.3インチ画面のノートPC、中型の板タブ、15.8インチ画面の液タブと比較した画像になります。ノートPCや板タブと比べて(画像基準での)縦幅が長く、バッグやリュックが小さすぎると収まりきれないかもしれません。

スケッチブックと比べてみました。横幅はほぼ同程度、縦幅は液タブのほうが小さくなっています。

接続・初期設定

次は接続や設定周りについてのレビューです。詳しい設定方法は公式サイトに書いてあるのでここでは軽い解説に留めておき、実際にやってみて気になった点を中心に話していきます。

Artist 13 セカンドの接続方法

Artist 13 セカンドには2つの接続方法があり、「3 in 1ケーブル」「フル機能USB Type-Cケーブル(別売)」どちらかの方法でデバイスとつなぎます。

3 in 1 USBケーブルでの接続

3 in 1ケーブルでの接続
ケーブルはごちゃつくけど安心と信頼の3 in 1ケーブル

基本的には付属している3 in 1ケーブルを使って接続することになります。液タブ側がUSB Type-Cになっており、PC側がUSB Type-A(データ通信用)、USB Type-A(給電用)、HDMIの3本です。

液タブの接続方法としては昔からある定番のもので、大半のPCは変換アダプタを使わなくてもこのケーブルに対応しています。

Artist 13 セカンドの3 in 1ケーブルはHDMI端子から2本のUSBケーブルが生えている形となっています。今まで使ったことのある液タブはどれも3つ又だったため、最初見た時はなぜこのようになっているのか正直困惑しました。

ただUSBケーブルに十分な長さがあったおかげで、延長ケーブルを使わなくても余裕を持って接続できました。

フル機能USB Type-Cケーブルでの接続

フル機能USB Type-Cケーブルでの接続

筆者は元々メインの液タブ用にUSBケーブルも対応するPCも用意していたので、こちらの接続方法で使っています。

使ってるUSBケーブル↓


USB type C ケーブル L字 2M タイプc 充電 USB3.1 Gen2(10Gbps) 100W PD急速充電 4K / 60Hz映像出力 ナイロン編みMacBook、Pad、Surface、Switch、Xperia、Galaxy、Pixel等Type C機種対応

フル機能USB Type-Cケーブルを使うとAndroidスマホと接続できるほか、3 in 1ケーブルよりも見た目がスッキリしていて、接続の手間も少ないです。

しかし使える環境が限られるのが欠点で、Androidスマホ・PCどちらの場合でもUSB3.1 DP1.2対応であること、フル機能のUSB Type-Cケーブルを別途用意することが求められます。

京時
京時

重ねて伝えますが、こっちのケーブルは別売りです!

また給電が不足していると、電源用に3 in 1ケーブルが必要になって結局ごちゃついてしまう……なんてことも。

この方法でないと接続できないなら仕方ないですが、それ以外の場合は素直に3 in 1ケーブルを使ったほうが無難です。

L字のUSBケーブルは挿せないかも

市販のフル機能USB Type-Cケーブルを使用するなら、両側がL字になっているケーブルは避けましょう。
液タブ本体側にある接続口の溝が深く、商品によってはケーブルが挿せません
確実性を取るならやはりXP-Pen純正のケーブルがベストです。

フル機能USB Type-Cケーブルの注意点
一見挿さっているようにも見えるが、実際はカポカポ外れる

ドライバーのインストール

PCで使うには、XP-Penの公式サイトからドライバーをダウンロード、インストールする必要があります。

Androidで使う人は関係ないので飛ばしてください。

ドライバーのインストール手順(Windowsの例)
  • STEP 1
    公式ページから製品名を選択してドライバーをダウンロード

    公式サイトのダウンロードページから製品名を指定し、最新のドライバーをダウンロードします。
    複数のバージョンが表示されている場合は、日付の新しい方を選んでおけば大丈夫です。

    >>ダウンロード | XPPen公式サイト

  • STEP 2
    ダウンロードしたZIPファイルを展開、実行
    ZIPファイルの展開、実行
    クリックで拡大
  • STEP 3
    画面の指示に従ってインストールを完了させる

    実行時に「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか」という表示が出てきたら「はい」を選択します。

    インストール画面1

    画面の指示に従ってOKを押します。

    インストール画面2

    同意にチェックを入れてインストールボタンをクリックします。

    インストール画面3

    あとはPCを再起動すればインストール終了です。

特に難しい部分は無く、インストール作業はスムーズに行えました。

PC起動時に自動で起動するように設定されているとは思いますが、以降XP-Penの液タブを使用する際は、インストールしたドライバーを必ず起動させておきましょう。

京時
京時

ドライバーが起動していないと液タブの諸々の機能が使えません。

ディスプレイの調整

液タブの画面の調整はインストールしたドライバーソフトの設定画面からできます。

ディスプレイの調整画面
  • STEP 1
    XP-Penのソフト「Pentablet」を起動
    「Pentablet」を起動
    見つからない時はWindowsの検索で「Pentablet」を探そう
  • STEP 2
    「エリアの設定」を選択
    「エリアの設定」を選択
  • STEP 3
    「作業エリア」のタブを選択後、「ディスプレイ設定」を選択

    「ディスプレイ設定」をクリックすると下のような画面が表示されます。

    「ディスプレイ設定」画面

ドライバーソフト以外にもWindows標準で色を調整する機能もあるので、使いやすい方を利用すると良いでしょう。

筆者の液タブだとわずかに赤っぽかったため、赤色をほんの少しだけ弱くしました。

Webに投稿することを想定しているのでsRGBに色域を設定できると良かったのですが、そういった項目は残念ながら用意されていないようです。

色域設定画面(他製品)
欲を言えばこういう設定があると良かった

描き心地のレビュー

結論を述べると、今までメイン機でやってきたことをそのまま1ヶ月無理なくこなせたので、私的には十分な性能でした。

反応の速さ・安定性ともに優秀で、X3チップの強みが十分発揮されていました。

ペンの握りやすさ

X3チップ搭載ペン

グリップが付いていないシンプルなデザインですが決して作りが悪いわけではなく、これといった不満点もなく使えました。

京時
京時

グリップがなくても滑りにくいなら全然OKです

太さに関しては比較的スリムな方で、手の小さい人でも持ちやすいかと思います。

(ただ、最新技術を搭載したペンと聞いてもう少し高級感のある見た目を期待していたので、肩透かし感があったのは否定しません)

ペン先の沈み込み

指で触れてみるとチャキチャキと音がするものの、確かに沈み込みが少なく0.6mmというのは納得がいきました。

個人的にペン先の作りはH社の方が好みではありますが、これもこれで使いやすかったです。

傾き検知の性能

こちらはクリスタの鉛筆ツール(ブラシサイズ15.0)で線を引いた動画です。

傾き検知に対応したツールはペンを立てるのと傾けるのとで筆跡に変化を出せるのですが、Artist 13 セカンドは傾き検知が意図通りに機能してくれず、作業で使うのは現実的ではないと思いました。

とにかく筆跡が安定しないんですよ。描き始めは良くても途中から立てて描いているのと同じ線が出てきますし、線を引く角度によっても変化しやすかったりしづらかったりします。

同メーカーの板タブDeco LWをレビューした際は使いやすかったので、この結果は意外でした。

幸いにも筆者の場合は傾き検知を使わないので影響を受けなかったものの、アナログに近い表現を求める人は避けた方がいいかもしれません。

視差(カーソルの位置ずれ)

画像はXP-Penのドライバーソフトの設定「キャリブレーション」を使って調整した後の視差です。

画面端だとほんのわずかに位置がずれているように見えますが、画面がフルラミネーション加工されているおかげか、他製品より最低限に抑えられています。

ディスプレイのレビュー

スマホの画面ほどツルツルはしていないものの、板タブDeco LWよりは滑りやすく、今まで使ってきた液タブと比べても摩擦が若干弱いように感じました。

私の場合はちょっと使えば慣れたので気にすることはありませんでしたが、人によってはペーパーライクフィルムが欲しくなるかもしれません。

発熱に関してはケーブル接続部周辺が暖かくなる程度で、決して熱いというレベルではないです。

京時
京時

(寒い時期は手を温めるのにちょうど良いかも…)

ディスプレイの発色チェック

注意点ですが、色の表現や正確性については専用の測定機材を持っていないのであくまでも目測となります。

鵜呑みにはせず参考程度に留めておいてください。

液晶ディスプレイのメーカーであるEIZOさんの記事を参考に簡易的な表示チェックを行いました。

カラーと白黒の2つのパターン画像を表示した結果が下の通り。区別できる色が多いほど表示品質が高いということになります。

色域がsRGB 130%カバーしているだけあって色が鮮やかに見えます。一方で色の潰れている範囲は広く、値段相応な印象です。

比較として私が普段使用している液タブの場合を見てみましょう。画像左側を見比べてみるとどれだけ色が判別できるか違いが分かるかと思います。

まとめ: Artist 13 セカンドはどんな人におすすめ?

Artist 13 セカンドのレビューは以上になります。改めて良かった点・気になった点をまとめると以下の通りです。

良かった点
  • iPadよりも広い画面&無理なく持ち運べるサイズ
  • ChromeOS・Linux・一部のAndroidに正式対応
  • 板タブと遜色ないレベルの薄さ
  • ペンの反応・精度が良好
  • 視差が小さい
気になった点
  • Type-Cケーブル・スタンド別売
  • 色域の設定ができない
  • 画面の摩擦が若干弱い
  • 傾き検知は不得意

したがって本製品がおすすめなのは、

  • PCを既に持っている & 安く本格的にデジタルイラストを始めたい
  • 家でも外でもお絵かきがしたい
  • スマホ・タブレットよりも大きい画面でお絵かきしたい

といった方です。

Androidスマホに接続して使いたい方は「自分のスマホがArtist 13 セカンドに対応している」かつ「フル機能のUSB Type-Cケーブルを用意できる」ことを必ずご確認ください。