こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
今回はXPPenの液タブ『Artist 12 3rd』の実機を体験し、詳細にレビューしていきます。今年は他社からも続々と新しいエントリーモデルが出ていますが、どれも初心者向けの枠を超えた完成度という印象です。
2019年頃から液タブの変遷を追っている身としては、特に今年はペンの描き心地やディスプレイ部分が大きく進化しているように感じています。

ちょっと前までは液タブでΔE(色差)や色域カバー率の表記なんて珍しかったのに、今では当たり前のようになってますもんね……
Artist 12 3rdに関しても、新しくなった「X4スマートチップ」搭載のペンや高い色精度、色域カバー率など、期待できる要素が満載です。
本記事では、旧シリーズの『Artist 13 セカンド』をレビューした経験を生かし、新しい特徴や改善点を分かりやすくお伝えできればと思っています。
また、今回は日本限定版をご提供いただきましたので、特典の付属品やパッケージについても触れていきます。
これから液タブデビューしたい!という方、コスパの良い液タブを探している方の参考になれば幸いです。
XPPen Artist 12 3rdのスペック&仕様
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 寸法 | 327.2 × 189.1 × 12mm |
| 解像度 | 1920 × 1080(フルHD) |
| フルラミネーション | ◯ |
| 本体重量 | 719g |
| 画面サイズ | 11.9インチ(264.0 × 149.0 mm) |
| 色域カバー率 | ・sRGB:99% ・Adobe RGB:97% ・Display P3:97% |
| 色精度 | ΔE(色差) < 1.2 |
| 筆圧感知レベル | 16,384レベル |
| 輝度(標準) | 260 cd/m2 |
| デジタルペン | X4スマートチップスタイラス(X4スマートチップ、バッテリーレス、物理ボタン2つ) |
| 接続方式 | ・3-in-1ケーブル(HDMI+USB) ・USB Type-C(フル機能) |
| 互換性 | Windows 7以降、macOS 10.13以降、ChromeOS 88以降、Linux、 Android 10.0以降(USB3.1 DP1.2以上) |
| 主な付属品 | ・フル機能USB C-Cケーブル ・3 in 1ケーブル ・折りたたみスタンド ・替え芯×10 ・日本限定版特典(クリーニングクロス・二本指グローブ・絵葉書・フェルト替え芯×5・キーホルダー) |
| その他機能 | ・マグネット収納&取り出し ・ダイヤル×2(X-Dial) ・ショートカットキー×8 ・反射軽減(AG)+指紋軽減(AF)加工 |
| カラーバリエーション | ・ブラック ・シルバーグレー |
| 通常価格 | 29,980円(税込) |
▶つまりこのスペックってどうなの?
あくまでもカタログスペック上での話ですが、3万円以内で買える液タブとして“かなり優秀”で、初心者〜中級者が安心して選べる液タブです。
フルラミネーション加工やΔE<1.2の高い色精度、iPhoneにも用いられている色域『Display P3(以下、P3)』の高いカバー率など、エントリーモデルとは思えないディスプレイ性能が目を引きます。
また、ダイヤル(ローラー)2つ+8キーで作業効率UPが狙えるほか、付属品(折りたたみスタンド・グローブ・USB-Cケーブル)も充実しており、これから始める人には嬉しいポイントが満載です。
全体的に旧型では見られなかった新要素が多く追加されているため、本記事では過去にレビューしたArtistシリーズと比較を交えつつ検証していきます。
実作業で使ってみた感想(忙しい人向け)
「順当に強化された要素」と「新しく追加された要素」両方の良さを体感でき、2025年末最新のエントリー向け液タブにふさわしい製品だと思いました。
ペン先から伝わる感覚はよりアナログらしいタッチになっており、描いていて気持ちよかったですね。
日本限定版ではフェルト芯も付属していますが、通常芯でもほどよい摩擦感があり、スマホ+ペンでは得がたい快適な描き心地を体験できます。
また、旧型では扱いづらかった傾き検知が改善され、変化の幅は小さいながらもしっかりコントロールできるようになっていました。
ハード面で印象的だったのは、マグネットで吸着するペンホルダー。私調べですが、液タブで採用されたのはこれが初めてで、「パチン」とペンがくっつくのは新鮮な体験でした。

とはいえバッグに入れて持ち運ぶ場合は外れる可能性があるので、ペンケースなどを用意したいです。
画面について特筆すべきは、広い色域カバー率。
各カラーモードの設定こそできませんが、iPhoneなどで採用されている色域『P3』をほぼ公称値通りにカバーしており、安心感を持って使えました。
本体2つのダイヤルについては音が大きいと感じた一方、刻みがしっかりしている分誤操作が起きづらいという側面もあり、自分の中では賛否両論です。
ショートカットキーの多さは素直に高評価で、イラスト制作に限らず、様々な場面で活躍してくれました。
開封・組み立てレビュー
まずは開封レビューと初期セットアップの様子からお届けします。
開封
開封前の状態から順番に内容物を見ていきます。化粧箱はこのようなデザインでした。


イラストレーターのはむメロンさんが手掛けたイラストが目を引きます。青をふんだんに使った、清涼感のある綺麗な作品で、ずっと見ていられますね。

サファイアのような深い青色、大好きです
開封一番に出てきたのはポストカード。↓の写真で分かるか怪しいですが、光に照らすとノイズのような表面加工がキラキラしていて、飾れる場所を探してしまうほど気に入りました。

こういった限定版の特典は今までにもありましたが、ここまで満足感の高い内容は初めてかもしれません。
さて、次は液タブ本体を見ていきましょう。

旧型と比べて無骨さが軽減され、デザインが洗練されたように感じます。ベゼル(フチ)も若干狭くなったのではないでしょうか。
↓Artist 13 セカンド(旧型)

裏側はこのようになっています。滑り止めが四隅についていて、内蔵スタンドはありません。

一応側面の写真も撮っておきました。
電源ランプが横についているのは、作業中に電源の光が目に入ってこない点が良かったですね。



サイズについては、A4サイズの封筒にギリギリ収まる大きさで、持ち運びはノートPCが入るバッグであれば大丈夫です。
重さは片手で持てる程度に軽く、体感だとちょっと分厚めの雑誌に近いように感じます。
必要な時だけ引き出しや棚から引っ張り出して使うといったスタイルも十分可能です。
次に折りたたみスタンドを見てみましょう。
スタンドはメガネのように折りたたむタイプで、地味に珍しいです。




描きやすさと見やすさのバランスが取れた、19°という絶妙な角度で描けるようになります。
ただし高さや角度の調整はできませんので、予算に余裕のある方は市販のスタンドの購入をおすすめします。
続いては、Artist 12 3rdで使用するペン『X4スマートチップスタイラス』です。

新しくX4スマートチップが搭載されたほか、マグネット吸着も可能になりました。
旧型と比べて外観がリッチになったように感じます。

ただし、テールイレーザー(ペンの後ろの消しゴム)は未搭載です。個人的には不要派なので気にならないのですが……皆さんは使いますか?

マグネット吸着の使用感を確かめてみました。
色々場所を変えて試してみましたが、次のことが分かりました。
- ペンの下半分(ペン先側)にマグネットがある
- 本体にあるマグネットエリアは、実際には左右二箇所に吸着場所がある
- ペンボタンが外側になるようにくっつく
つまり、本体のマグネットエリアの左端・右端にペンの下半分が来るように置けば、ペンがくっついてくれます。
最初はペンがくっつく時とくっつかない時があることに困惑していましたが、このことが分かってからは確実に付けられるようになりました。
磁力は中々強く、「吸着」の文字通り吸い込まれるようにくっついてくれます。
↓のように、多少つついた程度なら落ちません。
ただ、いくら落ちにくいとはいえ、バッグで持ち運ぶ時はペンケースなどに入れた方が確実かなと思います。
ケーブルは3 in 1ケーブルとUSB Type-Cケーブルの2つ。電源アダプターは付いていないので、コンセントから給電したい方は別途用意しましょう。

3 in 1ケーブルの長さは、液タブ本体側の接続部からHDMI端子までが約180cmありました。
HDMI端子から生えている2本のUSBケーブルは、どちらも約80cmという長さでした。
180cmもあれば大抵の場合は足りますが、デスクトップパソコンなどは配置次第で届かないことがあります。あらかじめ測定し、必要であれば延長ケーブルを用意しましょう。
一方で、Type-Cケーブルの長さは約150cmでした。こちらのケーブルは対応するAndroidデバイスやノートPCでの使用が想定されるため、十分な長さだと言えます。
次にお見せするのはクイックガイドと保証規定……つまり紙類ですね。

ガイドには「まともな」日本語の説明がありました。説明書が説明書としてちゃんと機能しているのは大いに評価したいです。

お次は、交換用の通常替え芯10本と芯抜きです。多くの人にとって、替え芯は10本もあれば次に買い替えるまで十分持ちます。

最後に日本限定版の特典となります。

先ほどお見せしたポストカードのほかに、二本指グローブ・クリーニングクロス・キーホルダー・フェルトの替え芯が同梱されていました。
手袋のデザインまで限定仕様。何度も言いますが、ここまで気合の入った特典を見るのは初めてです。
汚すのがもったいなくて使うのに躊躇してしまいますが、グローブのサイズは確認します。

ある程度伸縮性があるので、日本人男性平均(手首から中指まで約18.5cm)の私の手でも使えましたが、中指の部分は若干窮屈に感じました。
それと、もう一つ触れておきたいのがフェルト芯。

光沢が抑えられている右の芯がフェルト芯なのですが、これだけズームしてようやく分かる違いなのが厄介なところです。
実物は写真以上に判別しづらく、もう少し白っぽい色にするといった差別化をしてほしいと思いました。
替え芯といえば、何かしら収納場所も欲しかったですね。このままだと開封済みのビニール袋に入れて保管することになってしまいます。

替え芯のためにわざわざ入れ物を用意して、そのために場所取られるのは嫌ですからね。
組み立て
本体の接続口は3 in 1ケーブル用とUSB Type-Cケーブル用の2つがそれぞれ付いています。
3 in 1ケーブルの方は後々メインPCで使うので、先にUSB Type-Cケーブルでの接続を確認してみました。
まず一番に気になったのはボタンとの干渉。↓の写真のように、ケーブルのL字側を上方向に挿すと、輝度調節ボタンと被ってしまいます。

ボタン類は本体上側面に付けても良かったのではと思うのですが、この位置になったのには何か理由があるのかもしれません。
下向きに挿すか、もう片方の直線型になっている端子を使って対処しましょう。


何はともあれ、Type-Cケーブルでの接続には成功しました。やはりケーブル1本で済むとセットアップが非常に楽ですし、デスク上も散らからなくて最高ですね。


もしUSB Type-Cケーブルで液タブが使えない場合は、接続するデバイス(PCなど)のUSB Type-Cポートが映像出力に対応していない可能性が高いです。
同じ形でも充電だけ対応とか、データ通信はできるけど映像出力ができないとか、色々あるので注意しましょう。
サブPCでできる分の検証を終えた後は、メインPCに3 in 1ケーブルを使って接続。延長ケーブルを挟みましたが、問題なく利用できました。

ちなみに↓の写真は13インチの液タブです。
正直「1インチなんて誤差でしょ」と思っていましたが、想像以上にデスク上の圧迫感が変わりました。

多少の遠近法が掛かっているとはいえ、手前のキーボードと比較すると分かりやすいのではないでしょうか。
設定ソフトの使い勝手
Artsit 12 3rdを使用するのに必要な設定ソフト(ドライバー)は、個別のダウンロードページからダウンロードし、インストールします。
インストール作業は指示どおりに進めるだけで終わるため、特につまずくようなポイントは無いように感じました。
他社のペンタブ・液タブから乗り換える方は、干渉を避けるため使っていた設定ソフト・ドライバーのアンインストールを忘れないようにしましょう。

他メーカーの板タブと共存させたくて、ダメ元でアンインストールせずに使ってみましたが、板タブのペンが反応しなくなって諦めました……
設定ソフトの画面はこのような感じです。
↓ショートカットに関する設定。左上の照準みたいなアイコンでカーソルズレの補正ができます。

↓ショートカットキーの割当には多種多様な機能を割り当てることができます。個人的にはWindowsキーを設定するためのボタンが用意されていたのが助かりました。

↓画面に関するサブメニュー3つはこのような感じ。



↓ペンに関する設定。筆圧カーブの設定は手動以外にも7つのプリセットからも選べます。

↓その他の設定です。設定を変更したら「設定ファイルをエクスポート」でバックアップを残しておきましょう。

↓もちろん、アプリケーションごとの設定にも対応しています。設定画面右上の+ボタンから、アプリを追加しましょう。

もし一覧の中に目的のアプリがなかった場合は「参照」から実行ファイル(〇〇.exeなど)を探してみてください。
Artist 12 3rdの描き心地
ここからは描き心地について話していきます。
描いている様子を垂れ流してもよく分からないかなと思い、筆記音を録ってみました。
↓筆記音(音が小さいのでイヤホン・ヘッドホン推奨)
普通のスマホやタブレット+市販のタッチペンだと「カツン」と硬い音になりがちですが、Artist 12 3rdでは「トン」という、薄い繊維を挟んでいるかのような柔らかさがあります。
他にも重要な要素があるとはいえ、この感触が描き心地の良さに貢献しているのは確かです。
2~3万円でこれだけ優れた描き心地が得られると考えると、改めて今の液タブってすごいなと思わずにはいられません。
ペーパーライクな描き心地が安価で、しかも追加のグッズも不要で実現できるのですから「デジタルイラストをするなら液タブ買っておけばOK」という認識はあながち間違っていないように思います。
筆圧検知
様々な力の掛け方をして筆圧検知をテストしてみました。

ON荷重が2gのおかげで、軽い力でもしっかりと線を描き分けることが可能でした。
今回のレビューの直前まで使っていた板タブ(1世代前相当)では、同じくらいの力で描いた時に線が途切れ途切れになってしまっていたので、この違いはすぐに気づけました。
最新世代の機種はアナログとの差がより小さくなり、直感的で自然な描き心地に近づいていると言えます。
視差・ペン先の精度



画面中央付近と四隅のペン精度を確認してみました。チェックの前にキャリブレーションを実施し、ベストな状態で行っています。
カーソルのズレは非常に小さく、ズレが大きくなりやすい画面端でも、狙ったボタンやアイコンをストレス無くタッチできました。
これまでレビューしてきた液タブの中でも比較的優秀な部類です。
傾き検知

ペイントソフト『CLIP STUDIO PAINT』を使い、ブラシサイズ15pxの鉛筆ツールで傾き検知の性能を確かめてみました。
縦・横・斜めの3方向を試したところ、変化の幅は小さいながらも確かに機能していました。
縦方向の出方が若干弱いようにも感じましたが、意図通りに使い分けができるので十分実用範囲です。
少し倒しただけでブワッと変化してしまうのが扱いづらいと感じる人もいるとでしょうし、ここは好みにもよります。
そもそも旧型のArtist 13 セカンドでは、↓のように傾き検知が不安定だったので、大きな進歩なのは確かです。
ペン先の沈み込み・グラつき
ギュッと押し込んでようやく少し沈むくらいで、描いている最中にペン先の沈み込みやグラつきを感じることはありませんでした。
最近の液タブはどれもペン先の安定感が高く、以前のようにチャキチャキとブレるペンは少なくなったように思います。
Artist 12 3rdのディスプレイ性能
表示された画面を見ての第一印象ですが、比較的赤っぽく見えました。


画面の色味が赤っぽい液タブは過去に何度も見たことがあるほどで、そこまで珍しい現象ではありません。
とはいえこのまま使うのは避けたいので、液タブのディスプレイ設定から色温度を変更したり、持っているならキャリブレーションツールを使って調整するなどして対処しましょう。
↓調整後(色温度を6500K→7500Kに変更した例)

解像度
Artist 12 3rdの解像度はフルHD(1920×1080)と、一般的なモニターと同等です。
Windowsの設定における表示倍率は125%が推奨されており、その設定に従うと↓のような作業スペースになります。

元々高い解像度のモニターで作業していた人にとっては狭いと感じますが、そうでない人にとっては十分快適な広さです。
私自身、高解像度の液タブからフルHDの液タブに移行した時に窮屈に感じた経験があります。一方で、窮屈なはずだったフルHDに1日で慣れてしまったという経験もしているんですよね。
それを踏まえると、フルHDというのは最低限欲しい基準を満たした解像度なのだと思います。
ちなみに表示倍率を100%に設定すれば、より多くの情報を表示可能です。その分文字やアイコンが細かくなってしまいますが、作業スペースを広くしたい時は一度試してみると良いでしょう。
↓表示倍率100%

ディスプレイの設定項目

Artist 12 3rdでは、設定ソフトのディスプレイ設定から輝度・コントラスト・色温度を調整可能です。
この他にも、
- OSDメニュー(輝度調整ボタンの「+」「ー」同時長押し)で色温度
- 本体右側面の輝度調整ボタン「+」「ー」で輝度
が設定できるようになっています。
またOSDメニュー内には、sRGBやAdobeRGB、P3といったカラーモードの切り替え項目も存在します。
しかし、キャリブレーションツールで各モードの色域カバー率を測定すると、どれもデフォルト時と同じ数値が出てしまうという結果に。

カラーモードの設定はただ存在しているだけで、実際には機能していないと思われますので注意しましょう。

そもそも設定ソフトにカラーモードの項目が無いくらいなので、Artist 12 3rdでは非対応という認識で良いかと。
次は輝度調整ボタンを使って輝度の調整幅を確認。輝度0の時と100の時の写真を並べて見比べてみます。


違いが分かる程度には変わりますが、あくまでも最小と最大を比べてこの差なので、過度な期待はしない方が良いでしょう。
とはいえ極端に明るい、または暗い環境で使用しない限りは、実用面で不利に働くことはありません。
色域カバー率

キャリブレーションツールを用いて、Artist 12 3rdの色域カバー率を測定してみました。
OSDメニューのカラーモード切り替えは機能していなかったため、今回はデフォルト設定時のカバー率のみを掲載しています。
| 色空間 | 公称値 | 各カラーモード時 | デフォルト |
|---|---|---|---|
| sRGB | 99% | – | 100%(+1%) |
| AdobeRGB | 97% | – | 97%(±0%) |
| P3(Display P3) | 97% | – | 96%(-1%) |
日本で人気のiPhoneや、イラスト制作に使われることもあるiPadの上位機種などでは、P3という優れた色域を採用しています。
Artist 12 3rdでは、そのP3を実測値で96%もカバーできているということが分かりました。
利用者の多いiPhoneに近い色で作業ができるのは、作品を投稿する人にとって嬉しいポイントですし、そうでなくとも細かい色を識別しやすくなるという制作上でのメリットが受けられます。
反射(映り込み)
部屋の照明を付け、液タブとの間を手で遮ってみて、液タブの画面にどう反射するかを見てみました。

約50cmの距離からLED照明を点けていてこの程度の映り込みに抑えられているのは良いですね。
実際に作業している間も、窓から入ってきた日光やシーリングライトによって支障をきたすことがなく、快適に使い続けられました。
発熱
発熱は全体がじんわりと暖かいと感じました。体温よりも少し高いくらいです。
他の液タブだとUSBの接続口まわりなどが局所的に暖かくなることがほとんどで、このパターンは初めてかもしれません。
液タブ全体を活かして上手く放熱するように作られているのでしょうね。
汚れ・傷の目立ちやすさ

5~6時間ほど作業した後の本製品の状態はこのようになりました。手を乗せていた場所だけホコリが無くなっていて分かりやすいですね。
グローブを着用して作業していましたが、画面の汚れはうっすらとだけ残っています。
もちろん、素手で触るとしっかり跡が付いて汚れるので、付属のクリーニングクロスなどでこまめにお手入れしてあげましょう。
ボタン/ダイヤルのレビュー
Artist 12 3rdの物理ショートカットキーは、
- ペンのボタン 2つ
- 本体のプレスキー 8つ
- 4機能から切替可能なダイヤル 2つ
が用意されており、多くの操作を割り当てられるようになっています。
ペンボタンは他製品と比べて固めの押し心地。指がちょっと触れた程度では動かないので、誤操作が起きづらい点が良かったです。
プレスキーについては、押した時に軋むようなことがなく、どれも押し心地が一貫しており、品質の良さを確認できました。
また、Artist 3rdシリーズから新たに採用された2つのダイヤルは、回すたびにガリガリとしっかり目に刻みます。
中々音が大きいため、静かな場所での使用はおすすめできないですね。
ただ一方で、ダイヤルの刻みがしっかりしていることにより、回り過ぎが起きづらいというメリットがあった点も伝えておきます。

例えばダイヤルで編集レイヤーの切り替えを行うなら、目的のレイヤーを通り過ぎずにピッタリ移動しやすくなります。
参考までに、私が作業用に作ったショートカットキーの設定を、汎用・クリスタ用の2つご紹介します。
Artist 12 3rdユーザーに限らず、液タブのショートカットキーを持て余してるような方もぜひ参考にどうぞ。
面倒だという方、覚えられる自信がない方は、無理せずボタン1つから始めていきましょう。
・汎用設定

| Win+Shift+S | スクショ・キャプチャ(Snipping Tool) |
| Win+Ctrl+T | ウィンドウを常に前面に表示(Always On Top) |
| Win+Ctrl+V | 音声出力先切り替え |
| Ring1切り替え | |
| ダイヤル(上) | ズーム |
| ダイヤル(下) | スクロール |
| Ring2切り替え | |
| Win+Shift+C | 画面の色を取得(Color Picker) |
| Win+I | Windows設定を開く |
| Win+E | エクスプローラーを開く |
Win+Shift+S……以前はスクショの撮影にScreenpressoやNVIDIAのオーバーレイを使っていましたが、現在はWindows標準のSnipping Toolのみで済ませています。ブログ記事の制作には欠かせません。
Win+Ctrl+T……PowerToysというソフトのAlways On Topという機能を割り当てています。エクスプローラーとブラウザ・編集ソフト間でファイルを行き来させる場合などにウィンドウを前面に固定する操作が便利です。
Win+Ctrl+V……スピーカーやワイヤレスイヤホン、有線イヤホン(USB-DAC経由)を使い分けるので、音声出力先切り替えのウィンドウを1ボタンで開けるようにしました。
ダイヤル(上)(下)……おまけです。スクロールやズームなどは基本的に片手デバイスで足りているので、ほとんど出番がありません。
Win+Shift+C……PowerToysというソフトのColor Pickerという機能を割り当てています。良いなと思った作品の色の使い方を研究するのに使ったり、ブログのデザインを調整する時にカラーコードを拾ったりするのに使っています。使用頻度は低めです。
Win+I……Windows設定はBluetooth機器やディスプレイの設定を変えたり、不要なアプリを削除したりとなぜかよく開く機会があるので割り当てています。
Win+Iという、キーが離れていて片手だと押しづらいショートカットである点も採用理由です。
Win+E……エクスプローラーは別にキーボードで開いても良いのですが、片手デバイスに手を置いた状態からだと液タブのボタンの方が早く、意外にも重宝します。
・CLIPSTUDIO PAINT(クリスタ)のレイヤー操作特化設定

| Ctrl+G | フォルダーを作成してレイヤーを挿入 |
| Ctrl+Shift+G | レイヤーフォルダーを解除 |
| Ctrl+Alt+V | レイヤーを複製 |
| Ring1切り替え | |
| ダイヤル(上) | 作業レイヤーの切り替え(上・下) |
| ダイヤル(下) | スクロール |
| Ring2切り替え | |
| Ctrl+E | 下のレイヤーと結合 |
| Shift+Alt+E | 選択中のレイヤーを結合 |
| Win+E | エクスプローラーを開く |
Ctrl+G・Ctrl+Shift+G・Ctrl+Alt+V・Ctrl+E・Shift+Alt+E……片手デバイスへ割り当て切れなかった、レイヤー関連の操作を液タブに任せることにしました。特化させることで「液タブのボタン=レイヤー操作」という関連付けがされ、覚えやすくなります。
ダイヤル(上)(下)……ダイヤルに割り当てたい操作は片手デバイスで完結しているため、あくまでもおまけです。
Win+E……クリスタの使用中も割とエクスプローラーを使うことがあるので、汎用設定と同じ割り当てにしました。
まとめ: 旧型から順当な進化! 初めての液タブとして安心の一台に
レビュー開始時はマグネット吸着のインパクトが強かった本機ですが、使っていくうちにその堅実な性能に関心を奪われていきました。
旧型を使ったことのある身としては、傾き検知がまともに使えるようになったというのが印象的でした。
描き心地周りの不満がほとんどなく、これまで以上に安心しておすすめできる製品になっていたことを嬉しく思います。
上記に挙げた通り、確かに気になる点もいくつか見られました。
しかし、メリットと表裏一体であったり、簡単に対処可能であったり、ほとんどの人には影響がなかったりといったもので、どれも受け入れられるレベルの短所です。

特にカラーモードの切替は、この液タブがメインターゲットとしているであろう初心者・趣味レベルの人にとってほぼ無縁の要素と言えます
今回の新型Artist 3rdシリーズは、尖った要素こそ控えめですが、液タブとしてのベース部分がしっかりと強化され、安定感のあるものとなっています。
これから液タブデビューを考えている方、コンパクトな液タブが欲しい方(それと限定特典に惹かれた方)は、ぜひこの『Artist 12 3rd 日本限定版』を検討してみてくださいね。




