こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
今回はクリスタを使い始めたばかりの初心者向けに、レイヤープロパティが見つからない時の対処法・表示方法を解説します。
解説する表示方法や探し方は、レイヤープロパティ以外のパレットにも共通していることですのでしっかり身につけておきましょう。
合わせてレイヤープロパティから利用できる機能についても紹介していますので、この機会に理解を深めていただけたら幸いです。
レイヤープロパティとは
レイヤープロパティは、選択中のレイヤーに対して様々な効果を付けられる設定です。
クリスタではレイヤープロパティパレットというパレットにまとめられており、アイコンをタップしたりプルダウンを開いて選択することで効果のオン/オフが切り替えられます。
もちろん、1つだけでなく複数の効果を組み合わせることも可能です。
使える効果はレイヤーの種類によって異なりますが、次のような効果が用意されています。
- 境界効果
- ライン抽出
- トーン
- 減色表示
- 質感合成
- レイヤーカラー
個別の効果については、後述のレイヤープロパティの機能紹介をご覧ください。
レイヤープロパティパレットはどこにある?
まずは画像の外観を参考にレイヤープロパティパレットを探しましょう。
画面上にない時は、メニューから「ウィンドウ」を選択し、「レイヤープロパティ」の欄をタップして表示・非表示を切り替えてみてください。
画面の変化があった場所にレイヤープロパティパレットがあるはずです。
それでも見つからない時は
以上のことを行えば大抵はレイヤープロパティパレットが見つかるものですが、それでも見つからないという場合はどうすればよいのでしょうか。
ここまで来ると不具合の可能性が高いですが、もし直近でパソコンモニターの構成を変更したことがあるなら、まずはそちらを疑ってください。
例えば、2枚のモニターにまたがってクリスタのパレットを配置していたとしましょう。
そこからモニター1枚の環境に変更すると、モニター2枚だった頃の配置がそのままになっているわけですから、モニターに表示できていないパレットが出てきてしまいます。
これではいくら探してもパレットが見つかるはずがありません。
一時的に前のモニター構成に戻してパレットを移動させるか、「ワークスペースを再読み込み」または「基本レイアウトに戻す」を行って修正しましょう。
レイヤープロパティの機能紹介
初心者向けにレイヤープロパティの各種機能と使い方がどんなものなのか、ざっくりと解説します。
それぞれ設定項目が豊富なのでここでは必要最低限に留めていますが、全部知りたい方は公式のガイドを参照ください。
一応使えるレイヤーの種類も掲載していますが、クリスタ内では選択中のレイヤーが使える機能だけを表示してくれるので、無理に覚えなくてOKです。
境界効果
使えるレイヤーの種類: ベタ塗りレイヤー・グラデーションレイヤー以外
レイヤー内の描画(塗り・素材)の境界に、フチや水彩のようなぼかし(水彩境界)を付けられる効果です。
エアブラシなどの境界がぼんやりしている塗りでは、フチの内側が同様にぼんやりとした表現になります。
フチの太さ……フチの太さを1~250の間で調整できます。
フチの色……色が表示されている部分をダブルタップすると好みの色を設定できます。現在の描画色を使いたい場合は右のバケツマークをタップすればOKです。
フチのアンチエイリアス……チェックを入れるとフチの描画が滑らかになるように処理します。
範囲……値を大きくするほど広範囲に水彩境界の効果を表示できます。
透明度影響……値を大きくするほど境界部分が濃くなります。
明度影響……値を大きくするほど境界部分が黒っぽくなります。
ぼかし幅……値を大きくするほどぼかしの効果が強くなります。
ライン抽出
※EX版クリスタでのみ使える機能です
使えるレイヤーの種類: ベタ塗りレイヤー・グラデーションレイヤー・レイヤーフォルダー以外
レイヤーの描画を線画っぽく加工します。
ライン抽出精度……精度を高くするほど線画をキレイに表示できますが、場合によっては違いが分からないこともあります。
階調(※)化してから抽出……線画として抽出する前にレイヤーの描画を階調化します。項目左の+をタップすると、上の画像のようにどの範囲の色をどの色に変換するかを細かく調整できます。
(※階調……色の濃淡・明るさの段階を表すグラデーションのこと。多いほど滑らか。画像の設定だと4色の階調に変換している。)
黒ベタ閾値……黒で塗りつぶされる範囲を指定できます。値が大きいほど塗りつぶされる範囲も大きいです。
ライン幅調整……線画の幅を調整したい時にこの値を変更します。
エッジ(※)検出方法(画像素材レイヤー選択時)……処理1を選択すると、他のレイヤーを選択した場合と同様の設定項目が表示されます。処理2では処理1より詳細な設定が可能です。
(※エッジ……画像の明るさが急激に変化する部分のこと。明るい↔暗い、白↔黒など)
エッジ閾値……抽出される線画の量を調整できます。少ないと感じたら値を小さく、多すぎるなら値を大きくしましょう。
検出方向……線画が検出されやすくなる方向を指定します。輪郭線が濃く出すぎている場合は、各方向をオフにすることで薄く調整できます。
白状すると、私自身、方向と抽出結果の関係性が完全には理解できていません。少なくとも上下の矢印は横向きの線に、左右の矢印は縦向きの線に影響しているのは分かるのですが……
エッジの高さ閾値(エッジ検出方法 処理2選択時)……線画として検出するエッジの高さを変更できます。値を小さくすると小さなエッジでも検出される、つまり線画として抽出される部分が増えます。ただ、抽出結果への影響は比較的小さいです。
変化量勾配閾値(エッジ検出方法 処理2選択時)……線画の太さの変化量について、検出された線画の連続性を調整できます。値を大きくするほど短い線ができやすくなります。
レイヤーのLT変換を実行……LT変換はライン・トーン変換の略です。タップすると、「レイヤーのLT変換」ダイアログが表示されます。ダイアログ上のOKを押すと、選択したレイヤーを輪郭線(Line)とトーン(Tone)に分割し、別々のレイヤーに変換します。変換前のレイヤーは非表示の状態で残るので、その点は心配無用です。
トーン
使えるレイヤーの種類: すべて
レイヤーの塗りを白黒の網点で表示します。
トーン線数……トーン(網点)の細かさを設定できます。値が小さいほどトーンは粗く、大きいほど細かくなります。
濃度……「画像の色」「画像の輝度」「指定の濃度(ベタ塗りレイヤーのみ)」の中から、何を基準にトーンの濃度を決めるかを選べます。+をタップすると詳細な設定が表示され、レイヤーの不透明度を反映させる設定や、トーンの濃度を階調化することが可能です。
網の設定……トーンの形状を選択できます。+をタップすると詳細設定が表示され、角度やサイズ、柄の移動などが調整可能です。
減色表示
使えるレイヤーの種類: 画像素材レイヤー・3Dレイヤー
レイヤーの色をグレーまたはモノクロで表示します。減色表示をオフにするだけで元の色に戻せるのが便利です。
表現色……グレー(256色の無彩色)とモノクロ(黒・白・透明)どちらに減色するかを選択できます。
描画色(表現色の項目の右にある黒・白のアイコン)……描画色を黒と白から選べます。例えば黒白両方ともオンにしていれば黒・白・透明色が、黒のみオンの時は黒と透明色が使用可能です。モノクロ選択時は+をタップすることで詳細設定の表示ができ、色やアルファ(不透明度)の閾値を調整したり、レイヤーの不透明度を反映させるかどうかといった設定ができます。
質感合成
使えるレイヤーの種類: (ベクターを除く)画像素材レイヤー
選択中のレイヤーをキャンバスの質感として、直下にあるレイヤーに合成します。
上の画像ではキャラクターのレイヤーの上に、質感合成をONにした画像素材レイヤーを置いています。
強さ……値を大きくするほど質感が強く出ます。
レイヤーカラー
使えるレイヤーの種類: すべて
レイヤーの描画色を、設定した色で置き換えて表示します。
レイヤーカラー……色が表示されている部分をダブルタップすると好みの色を設定できます。現在の描画色を使いたい場合は右のバケツマークをタップすればOKです。+をタップすればサブカラーも設定でき、表現色がグレーとモノクロのレイヤーの場合は、黒で描かれた部分をレイヤーカラー、白で描かれた部分をサブカラーに置き換えて表示します。表現色がカラーのレイヤーでは、内部的にグレーの表現色に変換し、その情報を元にレイヤーカラーとサブカラーに置き換えます。
その他の設定項目について
ここまでは各種効果を見てきましたが、レイヤープロパティでは効果を付ける以外にもできることがあります。
せっかくなので一緒に確認しておきましょう。
表現色
表現色……レイヤーが何種類の色を扱えるかを設定できます。カラー(1677万色)とグレー(256色の無彩色)、モノクロ(黒・白・透明)から選択可能です。
描画色(表現色の項目の右にある黒・白のアイコン)……モノクロとグレーに設定した時に使用する色を黒と白から設定できます。例えば黒白両方ともオンの場合は黒・白・透明色、黒のみオンの時は黒と透明色が使用可能です。
ツールナビゲーション
選択中のレイヤーを編集するときに使用するツールやサブツールの候補が表示されます。
アイコンをタップすれば該当のツール・サブツールに切り替えられる、いわゆるショートカット的なものです。
マスクの表現
レイヤーマスクを含むレイヤーを選択している場合は、効果範囲とマスクの表現(階調)を設定できます。
効果範囲(境界効果・ライン抽出・トーン使用時)……各効果の適用範囲を「画像」と「マスクした画像」から設定できます。「画像」を選択すると、選択中のレイヤー内の画像全体が効果範囲になります。「マスクした画像」の場合は、マスクを適用した後の状態を対象に効果を適用します。
階調……ありに設定すると、レイヤーマスクを256段階の階調(グラデーション)で表現し、なしにすると2値化(黒・白・透明での表現)されます。
表示方法(※アニメーション制作用)
「アニメーションセル」パレットからライトテーブルレイヤーを選択している場合、レイヤープロパティから表示方法を設定できます。
ライトテーブルレイヤーの表示方法は、カラー・ハーフカラー・モノクロの3種類から選択可能です。
カラーはセルやレイヤーの色をそのまま表示し、ハーフカラーはセル・レイヤーの色を維持したまま、レイヤーカラーで設定した色を合成して表示します。
モノクロはセル・レイヤーの色をグレーに変換し、黒をレイヤーカラーで設定した色に、白をサブカラーで設定した色に置き換えて表示します。
まとめ
それでは今回の内容をQ&A形式でまとめます。
- Qレイヤープロパティって何?
- A
選択中のレイヤーに対して様々な効果を付けられる設定。
- Qレイヤープロパティが見つからないんだけど?
- A
メニュー>「ウィンドウ」から「レイヤープロパティ」をタップで表示・非表示を切り替えて、画面の変化があった所を探そう。
それでも見つからない→ワークスペースの再読み込み or 基本レイアウトに戻してみる
- Qレイヤープロパティの各効果について教えて!
- A
境界効果……描画の境界にフチや水彩のようなぼかしを加える
ライン抽出……線画風に加工する
トーン……描画を白黒の点に置き換える
減色表示……カラーをグレーまたはモノクロに置き換える
質感合成……レイヤーの描画を質感として直下のレイヤーに合成する
レイヤーカラー……レイヤーの描画色を選択した色に置き換える
作品制作で毎回すべての機能を使うわけではありませんが、いざ必要になった時に「こんな機能あったな」と思い出せるようにはなっておきたいですね。