板タブ・液タブ

Kamvas 13 (Gen3)を徹底レビュー! これ…入門機の皮を被った高性能液タブです

4.5
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こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。

今回はHuionのエントリー向け液タブ『Kamvas 13 (Gen3)』をレビューします。

新しいペン技術Pentech 4.0採用により進化した描き心地を、コンパクト・低価格で体験できるのが本製品の魅力です。

そんな新世代の入門機を実際に使ってみて、良かった点・気になった点を話していきます。

正直言って3~4万円の液タブとは思えない高クオリティな部分が多々あり、

京時
京時

(旧世代のプロ機よりも新世代の入門機を選んだ方がいいのでは……?)

と、私個人としても液タブ選びの考え方を見つめ直すいい機会になりました。

Huion様からサンプル品をご提供いただきました。プロモーション案件ですが、普段通りレビューしていきます。

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Kamvas 13 (Gen3)のスペック&仕様

項目スペック
寸法361.21 × 202.77 × 11.7 mm
解像度1920 × 1080(フルHD)
フルラミネーション
本体重量865g
画面サイズ13.3インチ(作業エリア:293.8 × 165.2 mm)
色域カバー率sRGB:99%
Adobe RGB:90%
Rec.709:99%
色精度ΔE(色差)<1.5
筆圧感知レベル16,384レベル
傾き検知±60°
デジタルペンPW600L(PenTech 4.0、バッテリーレス、物理ボタン3つ)
接続方式3-in-1ケーブル(HDMI+USB)、
またはUSB Type-C(フル機能)
互換性Windows 10以降、macOS 10.12以降、Linux(Ubuntu 20.04 LTS)、
Android 6.0以降(USB3.1 DP1.2以降)
主な付属品ペン(PW600L)、通常替え芯×10、ペンホルダー、
3-in-1ケーブル、カラーキャリブレーションレポート、
折りたたみスタンド(※オプション)
その他機能ダイヤル×2、ショートカットキー×5、
液タブ/板タブ両対応
通常価格スタンド付き:43,980円(税込)
スタンド無し:39,980円(税込)

▶つまりこのスペックってどうなの?

Huion Kamvas 13 (Gen3)は、コストパフォーマンスと描画性能のバランスが非常に優秀なモデルです。

筆圧16,384レベル、ΔE<1.5の高い色精度、フルラミネーション&アンチグレアガラス、99% sRGB色域など、上位機種に迫る描画体験を実現しています。

本体は13.3インチ・フルHDで、携帯性と作業スペースのバランスが良好。プロ・趣味問わず幅広い層に適しています。

2つのダイヤルやショートカットキーなどは、作業効率を重視するユーザーに嬉しいポイントと言えるでしょう。

また、価格帯は4万円台前半と、同等スペックの競合他社製品と比べても割安感が強いです。

総じて「エントリークラスの価格で買えるミドルクラス性能の液タブ」といえます。

開封・組み立てレビュー

まずは開封レビューを通して一つ一つの内容物を見ていきます。

過去に16インチモデルをレビューさせていただいた時には、USB Type-Cケーブルや電源アダプターが同梱されていましたが、本製品の付属品は最低限のものとなっていました。

開封

開封しながら内容物を見ていきます。まず外箱はこのようなデザインでした。

外箱

白を基調とした、水色のロゴがアクセントになった従来通りのデザインです。

箱を開けて一番に現れたのはキャリブレーションレポート。

キャリブレーションレポート

工場出荷前に正しい色で表示されるようにチューニングしてくれているんですね。本製品では色域がsRGBの時の精度が調整されているようです。

まさか3~4万円の液タブでこの紙が見られる日が来るとは思いませんでした。

続いて液タブ本体になります。

画面まわりやボタンまわりの隙間が少なく、洗練されたデザインが個人的に気に入っています。

Kamvas (Gen3)シリーズの特徴とも言える、2つのダイヤルも目を引きます。正面からはもちろん、側面から撫でるようにして回せるようになっています。

ダイアル部の作り

本製品のボタン・ダイヤルは本体から飛び出さない平坦な作りになっているため、その形状で使いやすさを両立させた結果、このようになったと思われます。

京時
京時

デコボコしてると、リュックなどで持ち運びしてる時が怖いですからね

サイズについては、大きくはないが小さすぎるとまではいかない、絶妙な具合です。スリムタイプのノートPCや大きめの板タブに近い感覚で持ち運びができます。

サイズ比較

重さも片手で持てる程度に軽く、使いたいときだけ棚から取り出すようなスタイルも難なく実現できます。

裏側はこのようになっています。滑り止めが四隅についていて、内蔵スタンドはありません。

本体裏側

今回提供いただいたのはスタンド付属モデルでしたので、折りたたみスタンド(ST300)が入っていました。

3段階の引っ掛けと2サイズの脚を組み合わせることで、角度を14.5°~45°の間で調整できます。

液タブを置く側のプレートは分厚く、プラスチックながらも剛性は十分です。

重さは公式によると557gで、折りたたみ時の厚みは11mm。液タブとまとめてリュックに入れて持ち運ぶのにいいですね。

次はKamvas 13 (Gen3)で使用するペン『PW600L』を見ていきましょう。

ペンにはHuionの最新技術(※2025年現在)であるPentech 4.0が採用されており、ただでさえ優秀だったPentech 3.0を超える使いやすさが期待できます。

京時
京時

実はこのペンなんですけど、Kamvas Pro 19や27に付属しているペン『PW600』とほぼ同じなんです。違いもテールイレーザー(消しゴム)の有無だけという……

付属のペン(PW600L )

ペンボタンは旧型から1つ増え、操作の幅が広がりました。

テールイレーザーは付いていませんが、個人的には使わないので問題なしです。

どうしてもペンで消しゴム機能を使いたいという場合があっても、増えたペンボタンで十分に補えます。

余談ですが、別売りのスリムペン(PW600S)にも対応しているので、細いペンが好みの方はぜひそちらをご検討ください。

京時
京時

スリムペンを一緒に買うなら公式ストアがおすすめです。液タブの商品ページで「追加のアクセサリー」から選ぶと格安で購入できます。

本製品にはペンホルダーも付属しています。縦にも横にもペンを置けるので使い方の自由度は高いです。

またペンホルダーの中には替え芯が収納されており、1つで2役をこなしてくれています。

ペンホルダーの中身(替芯10本)

個人的には、旧型のペンホルダーと比べて開けやすくなっているのと、見た目の高級感が増している点が良かったです。

ケーブルは3 in 1ケーブルと給電用の延長ケーブルの2つ。電源アダプターは付いていないので、コンセントから給電したい方は別途用意しましょう。

ケーブル類

3 in 1ケーブルの長さは、ピンと伸ばした状態で約180cm強の長さがあります。

給電用の延長ケーブルは約120cm弱あるので、給電部分に関しては3mほどの長さにできます。

パソコンとの距離が遠いとケーブルの長さが足りない場合があるため、必要に応じて延長ケーブルを用意しましょう。

ちなみに”フル機能の”USB Type-Cケーブル1本での接続も可能なので、ケーブルまわりをスッキリさせたい人や対応のAndroidデバイスで使いたい方には、そちらの方法がおすすめです。

残りはクイックガイドと手袋、クリーニングクロスになります。

クイックガイドなどの細かい付属品

グローブは伸縮性があるので、日本人男性平均の私の手でも使えましたが、指の部分の窮屈さは否めません。

組み立て

本体の接続口は2種類あり、奥まっている方(右)が3 in 1ケーブル用で、もう一つ(左)がフル機能のUSB Type-Cケーブル(別売)用です。

本体のケーブル接続口

地味な点ですが、フル機能のUSB Type-Cケーブル用の接続口が浅い場所にあることに注目してほしいです。

フル機能のUSB Type-Cケーブルで接続する際、(正式対応ではないものの)メーカーの純正品以外を使用する人もいるかと思います。

もしそういった製品を使う場合に、接続部分がどんな形でも対応できるという点で、これはかなり気の利いた作りだと思いました。

私の持っているケーブルが、まさに奥まった位置にあると挿さらない形をしているのですが、この液タブなら難なく使うことができました。

京時
京時

Amazonレビューなどで「純正以外のUSB Type-Cじゃ使えない」と書き込んでいる人を見かけますが、フル機能、いわゆる”映像出力対応の”USB Type-Cケーブルを使っていない可能性が高いです。入念に確認しましょう。

私が普段使いしているデスクトップパソコンには、3 in 1ケーブルを使って接続しました。

USB Type-C ケーブルで使いたいのですが、メインパソコンには映像出力できるUSB Type-Cポートがなくて……。

ケーブルの接続を終え、私が普段使っている場所に設置するとこのようになりました。

液タブのセットアップ

私は普段16インチの液タブを使っているので、液タブの圧迫感が軽減され、机の上に余裕ができたように感じます。

また、接続後の画面は表示倍率が高かったので、設定で150%から100%へと変更しました。

ペイントソフトのレイアウトに大きく影響するため、知らなかった方はこの機会に覚えておきましょう。

↓Windowsの場合(設定→ディスプレイ)

表示倍率の変更方法(Windows)

↓表示倍率150%と100%の比較

設定ソフトの使い勝手

液タブを使用するのに必要な設定ソフト(ドライバー)は、ダウンロードページからダウンロード後、インストールします。

インストール作業は指示どおりに進めるだけで終わるため、特に難しいと感じる部分はありませんでした。

他社のペンタブ・液タブから乗り換えた方は、使っていた設定ソフト・ドライバーのアンインストールを忘れないようにしましょう。

設定ソフトの画面はこのような感じです。

↓画面・ショートカットに関する設定

設定ソフトの画面(1/4)

↓ペンに関する設定

設定ソフトの画面(2/4)
設定ソフトの画面(3/4)

↓その他設定

設定ソフトの画面(4/4)

1つ気になる点を挙げるなら、設定の中に電源ランプの明るさを調整できる項目がほしいと思いました。

電源ランプがちょっとまぶしい
※写真は16インチモデルのレビューで撮影したものですが、13インチでも同様です。

16インチをレビューしたときも同じことを述べましたが、結構眩しいんですよね。待機状態時の明るさだけでも抑えてくれると助かるのですが……。

Kamvas 13 (Gen3)の描き心地

ペン先が画面に触れているときの感触が、旧型と比べてより乾いた感じになり、サラサラという表現がふさわしいように思いました。描いてて気持ちがいいです。

直前まで旧型の液タブを使っていた身からすると、力の入れ方と線の出方が直結している感覚も強くなり、より洗練された描き心地になっているようにも感じました。

旧型でも満足していたのですが、いざ横に並べて描き比べてみると、その違いに気付かされます。

↓筆記音

筆圧検知

様々な力の掛け方をして筆圧検知をテストしてみました。

筆圧検知のテスト結果

ON荷重が2gのおかげで、軽い力でも線が引けます。

また、筆圧検知レベルが16,384段階になったことで従来よりも細かい筆圧の変化を読み取れるようになっていますが、体感だと分かりづらいです。

京時
京時

同じ筆圧検知レベルの液タブ同士でも引ける線が微妙に違うので、「製品の個性によるもの」か「筆圧検知レベルの進化によるもの」なのか判断が難しいんですよね

強いて言えば、入り・抜きの描画が旧型と比べて安定して滑らかに表現できるように感じました。

筆圧カーブについては私はデフォルトのままで使いましたが、設定ソフトでプリセット5種類から手軽に調整できます。

もちろん手動でカーブを調整することも可能ですので、自分の好みに合わせてカスタマイズしましょう。

視差・ペン先の精度

画面中央付近と四隅のペン精度を確認してみました。

カーソルズレの検証(中央付近)

カーソルのズレは非常に少なく、端っこでも狙い通りにボタンやアイコンをタッチできます。四隅すべてがここまでズレていない製品に当たったのは初めてです。

ペン先と画面の間も目視ではわからないくらいピッタリくっついており、視差も全く気になりません。

傾き検知

ペイントソフト『CLIP STUDIO PAINT』を使い、ブラシサイズ12pxの鉛筆ツールで傾き検知の性能を確かめてみました。

傾き検知のテスト結果

縦・横・斜めの3方向を試したところ、どれも傾き検知が確かに効いていました。

同じツールでも立てるか寝かせるかでこんなに変わります。縦方向の出方が若干弱いようにも感じますが、十分実用範囲です。

最新世代の液タブは、どれも当たり前のように高水準の傾き検知を実現していて、技術の進歩を実感します。

ペン先の沈み込み・グラつき

描いていてペン先が沈み込みやグラつきを感じることはありませんでした。

指の腹で動かしてようやくグラつきを感じられるくらいで、沈み込みに関してはそれでも分からないレベルです。

ペン先の安定性は旧型の時点で優秀でしたが、新型になってより磨きがかかっています。

Kamvas 13 (Gen3)のディスプレイ性能

電源をつけて最初に目に入った印象は良好。画面全体が均一で自然な色味を出せていました。

とはいえ、目視での評価では限界があるので、この後キャリブレーションツールを使って色域のカバー率も調べてみます。

画面サイズ・解像度

Kamvas 13(Gen3)の画面サイズは13インチ、解像度はフルHD。

私の普段の環境ではより高解像度のモニター・液タブを使っているので、使い始めはWebページなどが表示される範囲に狭さを感じていました。

しかし、表示倍率を100%にしてからは十分な表示範囲となり、すぐに慣れることができました。

思うに、13インチというのは板タブに近い取り回しの良さと、窮屈に感じない程度の画面サイズを両立できる点で、唯一無二のサイズなのかもしれません。

作業面においても、16インチと比べて腕が疲れにくいというメリットがあることにも気づけました。

私は「家の中メインで使うなら大きいサイズが良い」と信じていましたが、小さい液タブもこれはこれでアリだなと思えました。

設定できる項目

電源ボタン長押し、または設定ソフトの「ディスプレイ設定」から画面に関する設定を行えます。

明るさを調整するのにも使うので覚えておきたいですね。

カラーモードが変更できるので、制作環境や仕事に応じてsRGB・AdobeRGBを切り替えて使うことができます。

色域カバー率

測定の様子

キャリブレーションツールを用いて、Kamvas 13 (Gen3)の色域カバー率を測定してみた結果を表にまとめました。

色空間公称値各カラーモード時Native設定時
sRGB99%98% (-1%)100% (+1%)
Rec.709
※sRGBと同じ色域
99%98%(-1%)100% (+1%)
AdobeRGB90%87%(-3%)88% (-2%)
DCI-P3(P3)
※参考値
88%
※(%)は公称値との差

肝心のsRGBのカバー率に関してはほぼ公称値通り。Webコンテンツ向けとして最低限必要な色をしっかり出してくれます。

一方で、AdobeRGBのカバー率は公称値に若干及ばず。

以前16インチモデルをレビューした時は90%と公称値ピッタリでしたが、今回は少し足りなかったようです。

とはいえ、これでも87%カバーしているので、エントリーレベルの液タブにしては頑張っている方だと言えます。

↓sRGB

sRGB設定時のsRGBカバー率98%

↓Rec.709

Rec.709設定時のsRGBカバー率98%

↓AdobeRGB

AdobeRGB設定時のAdobeRGBカバー率87%

↓Native設定

ネイティブ設定時のsRGBカバー率100%
ネイティブ設定時のAdobeRGBカバー率88%
ネイティブ設定時のP3カバー率88%(参考)

反射(映り込み)

部屋の照明を付け、液タブとの間を手で遮ってみて、液タブの画面にどう反射するかを見てみました。

画面の反射・映り込み

画面はパッと見ただけで分かるくらいにツヤが抑えられており、照明をつけたままの作業でも反射で見づらいと感じることはありませんでした。

発熱

ケーブルの接続口付近がほんのわずかに温かいくらいで、使っていて全く気になりませんでした。

体感ですが、だいたい人間の体温と同じくらいに感じました。

そもそも13インチはコンパクトな部類で、大型の液タブほど電力を必要としないのもあって、発熱が控えめなのだと思います。

汚れ・傷の目立ちやすさ

1日2~3時間以上の作業を7日間行った後の本製品の状態はこのようになりました。

グローブを着用して作業していましたが、画面の汚れはうっすらとだけ残っています。ボタン部分は押した跡が分かりやすいですね。

ウエットティッシュで拭き取った後がこちら。

1週間使用後の状態(拭き取り後)

ペンによる傷は見えず、使用前とほとんど変わりありません。

製品ページでは触れられていませんでしたが、旧型よりも汚れが目立ちにくくなっている気がします。

ボタン/ダイヤルのレビュー

Kamvas 13 (Gen3)では、

  • ペンのボタン 3つクイックメニューで6つ割り当て可能)
  • 本体のプレスキー 5つ
  • 3機能を割り当て可能なダイヤル 2つ

が用意されており、多くの操作を割り当てられるようになっています。16インチモデルとの違いは、本体のプレスキーが1つ少なくなっていることくらいですね。

回し心地・押し心地について言及すると、ダイヤル部分はしっかりめにカチカチと音がしていい感触です。

一方で、ボタンの押し心地は気になる部分がありました。というのも、押した場所によっては「コンッ」ではなく「ギュッ」という感覚になります。

特に両端のボタンが顕著で、ちゃんと押せているのか不安になります。

次は実用面の話に移りましょう。

これだけ豊富なので片手デバイスの代用も可能ですが、普段片手デバイスを使っている身からすると、スピードの面でどうしても差を感じてしまいます。

特にダイヤル部分は操作の切り替えを挟むせいでテンポが悪いです。

例えば、ズームを使った後にブラシサイズを調整したくなった場合、

「切り替えボタンを数回押す → ダイヤルを回す」

という操作をしなければなりません。

また、ダイヤルが今どの操作になっているのか把握が難しく「ズームするつもりがブラシサイズを調整してしまった」なんてことがよく起こります。

頭の片隅で(今のダイヤルはブラシサイズに切り替わっているから……)なんて考えながら絵に集中するなんてできるでしょうか。

そんな事情から、私はあくまでも片手デバイスの補助役に徹してもらい、ダイヤルに登録する操作をそれぞれ1~2種に減らして使うようにしています。

具体的には、下のダイヤルは「操作レイヤー切替」のみ・上のダイヤルは「液タブの操作画面切替」と「音量調節」といった構成です。

ダイヤルの設定例
ダイヤルの割り当てはまだ模索中。「レイヤーカンプ切替」も試してみたい

クリスタではスクロールの操作で「ズーム」できますし、「スクロール」と「ブラシサイズ」は片手デバイスに割り当てているので除外しました。

上のダイヤルは、普段は「液タブの操作画面切替」固定で、必要な時だけ「音量調節」に切り替えるようにしています。

京時
京時

操作タブ(アプリ)切り替えも試してみましたが、1刻みごとに「Alt+Tab」を入力する都合上、直前(+Shiftで最後尾)のアプリにしか切り替えられなくて断念しました

プレスキーに関しては、「エクスプローラー(ファイル管理ソフト)を開く」コマンドと、クリスタのレイヤー操作系を登録しました。

プレスキーの設定例
特にエクスプローラーを開くコマンドの登録はオススメ

レイヤーを複製したり統合したりといった、右クリックでメニューを開かないとできないような操作を登録しておくことで、だいぶ快適になりました。

コストパフォーマンスの評価

最後に競合製品と比較して、コストパフォーマンスを評価します。

今回は『Kamvas 16 (2021)』・『Artist 13 セカンド』・『Artist Pro 14 (Gen2)』・『Wacom One 13』の4製品を候補に挙げました。

Kamvas 13 (Gen3)Kamvas 16 (2021)Artist 13
セカンド
Artist Pro 14 (Gen2)Wacom One 12
通常価格スタンド付き:43,980円
スタンド無し:39,980円
44,999円39,980円59,800円44,880円~
画面サイズ13.3インチ15.6インチ13.3インチ14インチ11.6インチ
解像度フルHD
(1920×1080 px)
フルHD
(1920×1080 px)
フルHD
(1920×1080 px)
WUXGA
(1920×1200 px)
フルHD
(1920×1080 px)
筆圧レベル16,3848,1928,19216,3844,096
色域カバー率:
99% sRGB
99% Rec.709
90% Adobe RGB
比:
120% sRGB
比:
130% sRGB
96% Adobe RGB
カバー率:
99% sRGB
85% Adobe RGB
カバー率:
99% sRGB
色精度ΔE<1.5ΔE<2.2
ボタン
・ダイヤル
ダイヤル×2
ショートカットキー×5
ショートカットキー×10ショートカットキー×9なし(片手デバイスで補完)なし
主な付属品ペン(PW600L)、
通常芯×10、
ペンホルダー、
スタンド(オプション)
ペン(PW517)、
通常芯×10、
ペンホルダー、
USB-Cケーブル、
スタンド
X3 Eliteペン、
通常芯×10
X3 Proペン、
ペンケース、
替え芯、
片手デバイス
※モデルによる

ペンのクオリティは同価格帯の競合の中ではトップクラスです。Artist Pro 14 (Gen2)のペンと同等レベル(16インチモデルのレビューに基づく)と見ていいと思っています。

また、色精度についてもキャリブレーションを行っているほどの徹底ぶりでトップクラスです。こちらの要素に関してもArtist Pro 14 (Gen2)しか競合相手がいません。

Kamvas 13(Gen3)は付属品が最低限に抑えられていますが大きな問題ではないですし、むしろそのおかげで価格がお手頃となっています。

したがって、Kamvas 13(Gen3)のコストパフォーマンスについてまとめると、次のような評価になります。

エントリークラスでは頭一つ抜けた性能。あとは13インチというサイズをどう思うか次第。

まとめ:入門者にもコスパ重視の経験者にもおすすめ!

気になった点
  • 付属品は最低限(価格面に貢献しているならこれでOK)
  • 画面の表示倍率は必要に応じて調整を
  • 電源ランプがまぶしい
  • ボタンの押し心地が場所によっては微妙
良かった点
  • サラサラとした気持ちの良い描き心地
  • 付属のペンがプロ向けの液タブと同等
  • ペン先の精度・沈み込み/グラつきの少なさが非常に優秀
  • 2つのダイヤル・3ボタンのペンで作業効率UP
  • ほぼ表記通りの高いsRGBカバー率
  • 板タブに近い取り回しの良さ
  • 多様な形状のフル機能USB Type-Cケーブルが挿せる

レビューを始める前は、価格が4万円前後・エントリー向けのKamvasシリーズであることから、あくまでも初心者向けとして紹介する想定でいました。

しかしいざ使ってみると、その実態は「Kamvasシリーズの皮を被った新型Kamvas Pro」でした。

16インチの方は旧Kamvas Proの後継機という位置づけですし、価格の面でも納得していたのですが、まさか13インチモデルも同じ性能で出してくるとは……良い意味で期待を裏切られました。

これから液タブデビューしたい方やデジタルイラスト初心者に限らず、机のスペースに余裕がない絵描きさんや持ち運び用の液タブが欲しい方にも、強くおすすめします。

京時
京時

性能面が、1.6~2万円近く高価なArtist Pro 14 (Gen2)と競合するくらい優秀です。16インチモデルの時は価格面から★4.0としていましたが、本製品は非常に高いコスパを評価し、★4.5とさせていただきました。