趣味でデジタルイラストを楽しんでいる筆者は、これまでJoy-ConやTourBox Eliteといった片手デバイスを作業のお供として愛用してきました。
正直TourBox Eliteで満足してしまっているのですが、まだまだ使ったことのないデバイスが多く、もっと良いデバイスがあるかもしれないという思いもあります。
また、こうしてブログで片手デバイス関連の記事を書く以上は実際に触っておきたかったため、今回は8bitdo ZERO2を自腹で購入してレビューすることにしました。
1ヶ月間使った感想や使用方法の簡単な解説を書きましたので、興味のある方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
8bitdo ZERO2の概要・内容物
メーカー名 | 8bitdo |
製品名 | ZERO2 |
値段(Amazon、執筆時点) | 2,690円 |
寸法 | 73 × 36.5 × 14.7mm |
重量 | 20.7g |
ボタン数 | 12(十字キー・X・Y・A・B・L・R・-select・+start) |
接続方法 | 無線(Bluetooth 4.0) |
カラーバリエーション | ターコイズ・イエロー・ピンク |
対応環境 | (共通)Bluetooth接続対応であること Windows 7以降、Android 4.0以降、 macOS 10.7以降(Steam利用は10.9以降)、 Steam、ニンテンドースイッチ、 Raspberry Pi |
2Dゲーム用に作られた小型・軽量なワイヤレスコントローラーです。様々なデバイスで使用可能なほか、X-inputやD-input、キーボードモードなどのモード切替により幅広い入力方法に対応できます。
内容物は、コントローラー本体とシリコン素材のストラップ、充電用ケーブル、説明書の計4つ。

外観を見た限りでは特に粗と言える部分がなく、良好な作りだと思いました。
カラーはターコイズを選んだのですが、Amazonなどの商品画像と比べて少し色が濃いように感じます。
ケーブルに関してはかなり短いため、充電しながら使うのは厳しいです。
説明書が日本語に対応しているのは嬉しいポイント。わざわざネットで探さなくても各接続方法が分かります。

8bitdo ZERO2をクリスタで使う方法
では、本来ゲームコントローラーであるZERO2をどうやってクリスタで使うのか、軽く解説しましょう。
ここで紹介する方法は「キーボードモードで使う」「キーボード・マウス入力に変換するソフト(JoyToKey)を使う」の2つ。
私の家にはなぜかApple製品がないので、WindowsのPCとAndroidのスマホで試しました。

iPadほしいんだけどね……
なお、ここではZERO2と各デバイスのペアリング方法を取り扱っていません。説明書の手順通りに行えば問題なくできるので割愛させていただきます。
方法1: ZERO2をキーボードモードで使う
※利用確認済みデバイス: PC(Windows)・スマホ(Android)
最初に紹介するこの方法は、ZERO2に備わっているキーボードモードで接続を行います。
このモードの時、ZERO2の入力はすべてキーボード入力として扱われる、すなわちショートカットキーが使えるようになるわけです。
キーボードモード時の各ボタン入力を調べてみたところ、以下のようになっていました。

確認方法は簡単で、テキストを入力できる適当な場所で各ボタンを押してみればわかります。
あとはクリスタ側でショートカットキー設定を開き、割り当てたい操作をボタンの入力に対応させたら完了です。
※例: 取り消し(Ctrl+Z)をZERO2に割り当てる場合は、「Ctrl+Z」を上の画像にある文字のいずれかに変更する

この方法は外部の割り当てソフトを使わないため、構成がシンプルで分かりやすいのが利点です。
もちろん欠点もあって、ZERO2側の入力を変更できない関係上、ShiftキーやCtrlキーなどの修飾キーが使えません。
また、ZERO2に合わせてクリスタ側のショートカットキーを変更することになるため、他のデバイスで以前のように操作したくなった際には元に戻す作業が必要です。

例えば「ペンツールはPキー(PenのP)」といったように、ツール名と関連付いたキー設定を崩さないといけないのが私としては気になりますね
方法2: フリーソフト「JoyToKey」を導入して使う
※利用確認済みデバイス: PC(Windows)
別途用意したソフトウェア「JoyToKey」を使い、ゲームパッドの入力をキーボードやマウスの入力に置き換えることで片手デバイス化するのが2つ目の方法です。
方法1と異なる点として、ZERO2はキーボードモードではなく通常のゲームパッド用の接続方法(WindowsならX-inputモード)を使用します。
こちらの方法ではJoyToKey内でキー割り当てを設定するため、クリスタの設定に影響を与えることなく使用できますし、修飾キーの設定や長押し・同時押しといった操作にも割り当てが可能です。

欠点を挙げるとすれば、JoyToKeyの使い方を知る必要があるのと、自由度が高い分最初の設定が大変だという点でしょうか。
またJoyToKeyは無料で全機能を利用できるとはいっても、定期的にライセンスキーの購入を求められる点も人によっては気になるかもしれません。
↓JoyToKeyの設定方法はこちらの記事で解説しています。
8bitdo ZERO2を使ってみた感想
ではここからZERO2を片手デバイスとして使ってみた感想を話していきます。
良かった点
色々と良かった点を挙げますが、中でも本体のコンパクトさと価格の安さ、対応デバイスの多さの3つがこの製品を選ぶ理由になると思いました。
▶価格が安い
2,000円台で購入できるハンディタイプの片手デバイスは貴重です。
安いだけで使いにくかったらただの無駄使いでしかありませんが、ZERO2なら片手デバイスとしての役割を十分に果たしてくれます。
▶コンパクト
また持ち味であるコンパクトさを生かして、外出先で使う片手デバイスとしても有力な候補となるでしょう。余裕で服のポケットに入ります。
私も実物を初めて見たときにはそのサイズに驚きました。……いや、実物どころか箱の時点で小さかったですね。
そのサイズ感もあってどう握ればいいか戸惑うこともありましたが、しっくりくる握り方を見つけてからはどのボタンも無理なく押せるようになりました。

参考までに、筆者の手は一般的な成人男性の平均相当(手首~中指の先までが18.4cm)です。
このサイズは間違いなく人によって合う合わないがあるので、何か近いサイズのものを握ってみて大丈夫そうか確かめてからの購入をおすすめします。
▶対応デバイスが多い
本体のサイズだけでなく、対応デバイスの多さも持ち運び用としての適性を高めています。iPadのようなタブレット・スマホを持ち歩いてお絵かきしている人にはピッタリです。
これは独自の設定ソフト・アプリを必要としない製品だからこそ実現できた強みと言えますね。筆者が普段づかいしているTourBox Eliteはまさに独自の設定ソフトを使用する製品なので、アプリ版が無い現状だとPCでしか使えません。
イマイチだった点
▶回転系の入力がない
まず挙げられるのは、ノブやホイールといった回転系の入力がない点です。
デジタルイラストではキャンバスの移動、ズームやブラシサイズの変更のような操作がありますが、回転系の入力があるとそれらを直感的・スムーズに行えるようになります。
ZERO2にはボタンしかないため、そういった操作を行うには一工夫加えるか、別の方法で補うこととなるでしょう。
とはいえ、そもそもが低価格&2Dゲーム向けコントローラーである本製品ですから、付いていたら付いていたでおかしいんですけどね。ここは割り切るべきでしょう。

▶ZERO2側のキー設定を変更できない
次にイマイチだった点として挙げたいのは、キーボードモード時のキー割り当てが出来ない点ですね。
上で紹介したように、クリスタ側のショートカットキー設定を変更することで好みの操作を割り当てられるわけですが、修飾キーが使えないのも地味に痛いところ。
CtrlやShift、Alt、Spaceといったキーには、ズームやスポイトへの一時切替、手のひらツールなどといった使用頻度の高い操作が登録されています。先ほど回転系の入力がないと述べましたが、それを補えるような操作もこの中に含まれているのでなおさら惜しいです。
キーボードモードはあくまでも割り当てソフト・アプリなしで使いたいライトユーザー向けと考えた方が良いでしょう。
ZERO2に登録できなかった分の操作は、画面上のツールアイコンなどでカバーするしかありません。
▶充電端子がmicroUSB
microUSBは耐久性が高くない上、形状が台形のようになっているせいで差し込む向きに注意しなければならない点がネックです。

USB Type-Cに統一して充電ケーブルの数を減らしたいと思っていたところなので、余計に気になってしまいました。
▶有線接続できない
すぐに接続できて通信が安定している、かつ充電しながら使えるのであれば有線は不要でしょう。
実際、筆者が使ってみた限りでは接続の早さも安定性も快適だったので、このまま使い続けられるならそれが一番です。
しかしこういったデバイスというのは、個体や環境次第で接続が不安定になる可能性も0ではありません。また、最初は快適に使えていたとしても経年劣化によって問題が発生することだってあります。
そんなもしもの時の保険として有線という選択肢があれば、少なくともデバイスとしての役割は果たせるわけですが、ZERO2の接続方法は無線のみとなっています。
まとめ
以上、8bitdo ZERO2を片手デバイスとして使ってみた感想でした。
改めて良かった点とイマイチだった点をまとめると以下の通り。
やはり高価な片手デバイスには及びませんが、2,000円台という安さと、ポケットに無理なく入るコンパクトさは他にはないオンリーワンの魅力です。それでいて片手デバイスとしての仕事も十分にこなしてくれます。
今回のレビューを通して、ZERO2を使う絵描きさんがいることにも納得がいきましたね。
ただ一方で、家の中で使う想定なら競合が多いのも事実です。
特にPCでお絵かきをしている場合には、Joy-Conも片手デバイスの候補になりますし、クリスタを使用しているならもうちょっとお金を出してTABMATEを買った方が満足できるでしょう。
よって、
- iPadやスマホの相棒として一緒に持ち歩きたい
- とりあえず安いのがいい
- ハンディタイプのデバイスは軽さこそ全て
- 見た目が好き
- ゲーム用としても使いたい
といった方であれば、8bitdo ZERO2を検討しても良いかと思います。
本ブログでは他にも片手デバイスのレビューやおすすめ紹介をしていますので、興味があればぜひそちらもご覧ください。

