
こんにちは、絵描きの京時ロメ(@kyotoki_OX)です。
普段はデジタルイラストに関する情報がメインの本ブログですが、今回はなんとワイヤレスヘッドホンのレビューになります。
なぜヘッドホンか?という理由は、音楽がお絵描きと無縁ではないと思っているからです。
頭の中で色々な想像を掻き立てられるため、音楽を聴いていると筆が乗りますし、新しいアイデアが浮かびやすいんですよね。
そんなこともあって、ワイヤレスヘッドホン『SOUNDPEATS Space』の実機レビューをお受けすることになりました。
お絵かきに限らず作業用として使いやすいヘッドホンでしたので、興味のある方はぜひ読んでいってください。
SOUNDPEATSってどんな会社?

SOUNDPEATS(サウンドピーツ)は、「中国(アジア)のシリコンバレー」と呼ばれる深センに本社を構える、2010年創立のオーディオブランドです。
日本以外にもアメリカを中心に30以上の国と地域で展開しています。
お手頃で高品質なポータブルオーディオを数多く販売しており、中でも完全ワイヤレスイヤホン(TWS)が人気です。
また、国内最大級を誇るオーディオビジュアルアワード『VGP』では、2021年から毎年のように受賞製品を輩出しています。
スペック&主な特徴

形式 | オーバーイヤー型 |
本体操作 | 物理ボタン |
重量 | 約264g |
再生周波数帯域 | 20Hz~20KHz |
対応コーデック | AAC/SBC |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
最大バッテリー時間 | 123時間 (ANCオフ) 61時間 (ANCオン) |
充電時間 | 約2時間 |
充電方法 | USB Type-C |
ハイレゾ | 対応(AUXケーブル接続時のみ) |
付属品 | 本体、Type-C充電ケーブル、 3.5mm AUXケーブル、 日本語取扱説明書 |
カラー | ブラック / ホワイト / イエロー(ベージュ) |
通常価格(執筆時点) | 6,980円 |
※クリック(タッチ)で詳細
アクティブノイズキャンセリング(ANC)を採用
ANCモード時は最大35dBのノイズ低減効果を実現。
トランスペアレント(外音取り込み)モードも搭載しており、音楽の世界に没頭することも、周りの音に気を配りながらのリスニングも自由自在です。
40mm大口径ドライバーを採用
カーボンファイバーコンポジット素材を使用した大口径の40mmドライバーを搭載。
低音から高音域までの再現性を高め、より自然で伸びのある音質を実現しています。
珍しいわけではありませんが、モニターヘッドホンや5~6万円のヘッドホンでも採用されているくらいには定評のあるサイズです。
最大123時間連続再生可能
1000mAhの大容量バッテリーや、省電力化の進んだBluetooth5.3によって最大123時間の連続使用を可能にしました。
ANCモードONで使っても最大約60時間充電いらず。

これは他のワイヤレスヘッドホンがANCなしで使用した場合と同等の持続時間です(※2024年4月現在)
ENC通話ノイズキャンセリング付き
耳に密着するように設計したことで、通話時の声の集音能力が向上。
周りの音がうるさくても正確でクリアな通話音質を実現します。
低遅延ゲームモード搭載
ゲームモードを使えば65mmの低遅延で音を聴けるように。
画面と音のズレを少なくし、ワイヤレスでも違和感のないゲームプレイが可能です。
快適な装着性
イヤーカップには柔軟性と通気性に優れた低反発ウレタン素材を採用しており、耳への圧迫感やベタつきといった不快感が少ないです。
約264gの軽量ボディに加え、アームの伸縮(3cm)・イヤーカップの角度調整(30°)も可能で、快適なフィット感へのこだわりにも余念がありません。
マルチポイント対応
SOUNDPEATS Spaceは2台のデバイスと同時接続が可能で、再ペアリングなしでスムーズに切り替えられます。
PCで音楽を聴いている時でも、スマホからの着信にハンズフリーで対応可能です。
高いコスパ
充実した機能と圧倒的なロングバッテリーを兼ね備えているSpaceは、値段以上のパフォーマンスを誇ります。
一つ一つの機能が取って付けたものではなく、ちゃんと実感できるレベルにまとまっており、総合力が高いです。
SOUNDPEATS Spaceの詳細レビュー
以上、製品の基本情報を紹介しました。ここからは使ってみての感想をお話していきます。
実物の質感
商品画像で見た通りの清潔感のあるホワイトでした。
プラスチック部はつや消しされており、露骨な安っぽさがありません。



地味なところですが、ケーブル類がちゃんと白色で統一されている点も評価できます。

開封時の匂いは、新築の家とか新品の本に近い感じがしました。
左右の判別はヘッドバンドとイヤーパッドの結合部以外にも、イヤーパッドの内側でも確認可能です。

装着感
イヤーパッド部の素材の感触は結構人肌に近いかも知れません。装着するとピトッと密着感があります。
反発力の強さはマシュマロくらいをイメージするとよいでしょう。
大きさについては、耳たぶの大きい私でもイヤーパッドに耳たぶが乗りはしても、はみ出さないくらいはありました。

横幅も耳を覆うには十分で、全体的にしっかりと密閉してくれています。

側圧は弱めです。ヘッドホンを広げた瞬間にすぐ分かります。
今まで使ってきたヘッドホンはティッシュ箱に挟むなどしないと側圧が強くてキツかったのですが、SOUNDPEATS Spaceは最初から快適に使えました。
メガネとの相性も良好で、2~3時間の連続使用でも装着中に痛くなることがなかったです。
とはいえメガネと接触している部分は多少なりとも圧がかかっているので、より長時間着けていたらさすがに影響が出ると思われます。
側圧が弱いヘッドホンと聞いてズレ落ちやすさを懸念する方もいるかもしれませんが、頷く程度の動きならビクともしません。
また、頭頂部が痛くならないというのもお気に入りのポイントです。

クッション部分だけでなくヘッドバンド部分にも柔軟性があるおかげか、着けていても痛くなりませんでした。
重さは「何も着けてない」と言うには無理がありますが、数値以上に軽く感じました。やっぱりフィット感が良いからでしょうね。
あとは蒸れやすさについてですが、思っていたより良かったです。
蒸れに耐えきれずに外すよりも、作業が終わって外す方がずっと早いくらいなので十分快適だと思います。
ただやっぱりメッシュ素材や開放型ヘッドホンほどではないため、過度な期待はしないように。
ボタンの操作性

音量ボタンと電源ボタン、ANCモード切り替え用ボタンの合計3つだけなので、基本操作を身につけるには1日で十分でした。
大きさや左右の違い、突起によって各ボタンを判別できるようになっている点もGood。
イコライザー関連とファームウェアのアップデート以外はヘッドホン本体で完結できるため、アプリを入れたくない人でも問題ありません。
ちなみに操作時は、効果音またはエコーの効いた女性の声でアナウンスしてくれます。
専用アプリ
SOUNDPEATSアプリをスマホに入れれば、アプリを通してヘッドホンの設定ができます。

ただし、利用にはアカウント登録が必要です。

入力が必要なのは、以下の4項目。
- メールアドレス
- アカウント用のパスワード
- 製品の購入方法(Amazonかその他か)
- 認証コード(メールアドレスに送信)
住所や電話番号を求められるようなことはなかったですね。
前述したようにほとんどの操作はアプリなしで可能なため、イコライザーを弄りたい人が利用するとよいでしょう。

紙の説明書ではファームウェアのアップデートをするように書いてありましたが、既に最新になっていました。
マルチポイント機能
マルチポイントの動作については、新しく再生した側が優先されて、元々再生されていた側が一時停止されるようになっていました。
切り替えの動作は安定していて、ストレスに感じることがなかったです。
マルチポイント機能を使うには、
- デバイスAとペアリング
- デバイスAのBluetoothをオフにして切断
- デバイスBとペアリング
- デバイスAのBluetoothをオン
といった手順が必要です。
実はこの設定なんですけど、紙の説明書では「アプリからマルチポイント接続を有効化」するよう書いてありました。

しかし、実際のアプリには該当の設定がなかったんですよね。

どうしようもないのでそのまま手順を飛ばして上記の手順に従った結果、無事に使えました。
おそらく紙の説明書が今のバージョンに対応していなかったのだと考えられます。
この誤りに関しては既に担当者へ連絡しましたので、遅かれ早かれ修正されるでしょう。
音質
初めて試聴した時の印象は、デフォルト設定・ノーマルモードだと低音は控えめで聞き疲れしにくい軽やかな音質だと感じました。
しかしANCモードの時はガラリと変わって、低音がズンズン聴こえるようになります。個人的に聴いてて楽しいのはこっちでしたね。
もちろんイコライザーも一通り試してみました。
デフォルトはSOUNDPEATSクラシックというイコライザーで、それ以外に8種類のプリセット(+手動)から選べます。

強調・低減系のイコライザーは変化が分かりやすく、好みに合わせて使いやすい印象でした。
また、ロックも分かりやすい方だったかなと。低めのボーカルや楽器の音がより主張するようになります。
この他のイコライザーも確かに変化は感じられますが、自分の耳ではどこが変わったのかが分かりませんでした。
個人的な好みはロックでしたね。デフォルトより音に包まれている感覚があってついノリノリになってしまいます。
低音強調も迫力が出て良かったのですが、音楽によって相性の良し悪しがありました。頻繁にイコライザーの切り替えが必要になるくらいなら使わないかな。

なんならANCモードにした方が良い具合になるので、低音が欲しくなったらそっちで済ませています
また本製品は、ユーザーの聴力に応じてAIがおすすめの音響設定を作ってくれるアダプティブイコライザーに対応していました。
試してみたところ、私の場合は低音強め・それ以外は弱めに設定されました。

低音以外が小さくなった分音量を上げて聴いてみましたが、確かに適用前よりも音の情報量が増えたように感じます。
傾向からして低音強調のイコライザーで代用できそうですが、自分により合った細かい調整をしてくれている点でこちらの方が良いのは間違いなさそうです。
音質で気になる点としては、PCで高負荷なFPS(バトルフィールドシリーズなど)を遊ぶ際に音質の悪化が見られました。
PC側がヘッドホンへ高品質な音声データを送信する余裕がなくなり、安定を優先して音質を落としたのだと思われます。
このような場面においては、ワイヤレスと有線で音質にハッキリと差が出たため、素直に有線接続を頼った方がいいです。
スマホゲームでも同様の現象が起きないか試してみましたが、PUBGモバイルなどで遊んでみた限りでは大丈夫でした。
有線接続時の音質は?
ハイレゾ対応らしいので有線接続も試しに使ってみました。
方法は簡単。電源オフの状態で付属のケーブルを機器につなげば完了です。

音量ボタンや電源ボタンが使えなくなりますが、ANCボタンは使えます。
有線モードでもANCモード・トランスペアレント(外音取り込み)モードは変わらず利用可能です。
肝心の音質については、どこ(何)にケーブルを挿したかで大きく左右されます。
というのも、ワイヤレスの時はヘッドホン側がデータを音に変換していたところを、有線では接続先の機器が行います。
PCやスマホに直挿しする程度ではさほど良さを感じられないでしょう。
本領を発揮するのはUSB-DACやオーディオインターフェースにつないだ時で、それぞれの味付けで音を聴けるようになります。

有線で音質を求めるなら、それ相応に良い環境を用意してあげましょう。
あとは前述したように超低遅延で音を聞く必要がある場合に使うといいですね。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)
使い方は簡単です。ヘッドホン左側のボタンを一回押す毎にノーマル・パススルー(外音取り込み)・ANCの順で切り替わります。

環境音はどれくらい小さくなるかというと、まずデスクトップPCのファン音が聴こえなくなりました。

また、20~30m先の道路から聴こえる車の音は消えなかったものの、こちらも体感できるレベルで音が小さくなります。
全体的に高音よりも低音に対して強い印象です。無音にはなりませんが、これだけ効果があるなら実用的と言って良いと思いました。
音質への影響は前述した通りで、ANCモードにするとノーマルよりも低音が強めに聴こえます。
ベースの存在感が強まり、ドュンドュンと響く音が心地良いです。
外音取り込みの使用感
人の声や車の音みたいなはっきりした音は違和感なく聴こえるものの、細かい環境音に関してはいかにも録音らしい音でした。
駅のアナウンスなどを聴く分には問題なさそうですが、再現度という点では正直そこまで良くないです。
ゲームモードの遅延
電源ボタンを3回連続で押すとゲームモードの切り替えができます。

ヘッドホン側が頑張って遅延を減らしてくれる仕組みらしく、デバイス側での対応は不要です。
その分バッテリー消費が増加するため、必要なときだけONにしましょう。
音ゲー
ガチ勢のことは分かりませんが、素人がやる分には無設定の状態でも十分遊べました。
そもそも音ゲーは設定で遅延を補正できるので問題なく使えます。

FPS・TPS
ゲームモードオフだと明らかに銃声や足音が遅れて聴こえましたが、オンだと違和感なくプレイできるレベルに。
初めてFPSをやる人だったら遅延に気づかないかもしれません。
ただやはり有線と聴き比べると遅延を実感できるので、コンマ数秒を争うような競技色の強いゲームには不向きです。
ガチ度に応じて有線・ワイヤレスを使い分けるとよいでしょう。
通話音質
参考になればと思い、SOUNDPEATS Spaceのマイクで音声を録音してみました。
(※注意 再生すると筆者の音声が流れます)
私は問題なく聞き取れるレベルで実用的だと感じましたが、皆さんはいかがだったでしょうか。
この値段かつワイヤレスという条件でこれだけの音質なら十分かと思います。
バッテリー・充電

ワイヤレス(Qi)充電には対応しておらず、充電はUSB Type-Cケーブルで行います。Micro USBを使ってないというだけで私は満足です。

そもそもワイヤレス充電できるヘッドホンって聞いたことがないですが、あるんでしょうかね
バッテリーの持ちはというと、4月13日にレビューを開始し、12日経過した25日時点で91%も残っています。
※1日2~3時間、大体8割くらいの時間をノーマルモードで使った結果です。


レビューのためにゲームモードやANCモードを結構な時間使っていましたが、まさかここまでバッテリーが減らないとは思いもしませんでした。
このペースなら1ヶ月どころか2ヶ月先でも充電がいらないかもしれません。
総評: 気になった点と好きな点
・(気になる)外音取り込みの音質はそこまで
ハッキリと聴こえる音はともかく、細かい環境音の再現が苦手なようです。
いかにも録音を流しているかのような音質で、お世辞にも自然だとは言えません。
・(気になる)もう少し軽くできそう
今でも十分軽いのですが、ずば抜けて軽いわけではありません。
私の持ってるヘッドホン・ヘッドセットが260g前後の製品ばかりなのもあって、感動するほどの変化はなかったです。
軽量をアピールするなら、できれば250gを下回ってほしいかなと思います。
ただ、あんまり軽さにこだわりすぎると見た目が安っぽくなっちゃうジレンマもあるので、難しいところです。
・(気になる)ポーチ・ケースが欲しくなる
折り畳めるのが便利ですが、それ故に持ち運びも考えたくなります。

しかし、SOUNDPEATS Spaceの内容物は最低限といった感じで、入れ物は別途用意しなければなりません。
・(人による)ANCモードとノーマルモードとで音の傾向が違う
ANCモード時は低音が強くなり、ノーマルモードとはまた違った音を聴かせてくれます。
私は好きですが、ここまで音が違うと気になる人がいるかもしれません。
・(好き)頭が痛くならず、長時間使い続けられる
私がヘッドホンを外したくなるのは、側圧でメガネのつるが押し付けられて痛くなった時か、頭頂部が痛くなった時の2つがほとんど。
側圧は物に挟んでおけばそのうち弱くなってくれますが、頭頂部のクッションは合わなかったらずっと合わないままなんですよね。
その点SOUNDPEATS Spaceのクッション部はうまく負荷を逃してくれてますし、嬉しいことに最初から側圧が弱めで使いやすく感じました。
・(好き)圧倒的なバッテリー時間 ★イチオシ★
最大123時間というのは本当だったようで、中々バッテリーが減らないです。結局製品を受け取ってから記事を書くまで1回も充電する機会がありませんでした。
もし2ヶ月ごとに充電するとしても、1年で6回だけ。面倒くさがりな自分にとっては、まさに理想的とも言えるバッテリー持ちです。
・(好き)実用的なアクティブノイズキャンセリング
ハッキリと体感できるレベルでPCのファン音や外からの音をカットしてくれました。
ボタン1つで切り替えできるため、状況に合わせて手軽にモードを使い分けられる点も良かったです。
・(好き)ボタンだけでほとんどの操作が完結する
アプリがないPCなどに接続していても不便を感じません。
イコライザーの設定とファームウェアのアップデート以外のことはヘッドホンのボタンだけで可能です。
・(好き)安定したマルチポイント接続
マルチポイント機能の動作は分かりやすく、新しく再生が始まった方を優先してくれます。
毎回切り替わりが安定しているため、余計なストレスを受けることがありません。
・(好き)有線接続が使える
ワイヤレスが本来の使い方ですが、有線対応により使い方の幅がかなり広がっているように思いました。
USB-DACなどにつなげばより奥深いオーディオの世界を楽しめますし、超低遅延を活かして競技系のゲームに没頭することもできます。

ぜひとも今後の製品に残していってほしいですね。
SOUNDPEATS Spaceはこんな人におすすめ
基本的にヘッドホンのバッテリーはイヤホンと比べて長いものですが、本製品はヘッドホンの中でもずば抜けて長かったです。
また、機能モリモリなのにその一つ一つがちゃんと実用的になっているのも高く評価できます。
ただ外音取り込みに関しては改善の余地ありですね。
総合的な使いやすさは私の所有しているヘッドホンの中だと一番で、レビューが終わっても思わず身につけてしまいます。
値段も安いのもあって気兼ねなく使い倒せるため、作業用ヘッドホンを探している方はぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。