【要約】凡才のイラストレーターが生きのこるには

イラスト練習・上達
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久しぶりの投稿になります。京時ロメです。

今回はイラストレーターが仕事を安定して受けられるための大事なポイントについて本を読んだのでまとめてみました。

皆さんはイラストレーターがどうやって仕事をもらっているのか、どうすれば仕事をもらえるのかを考えたことはありますでしょうか?

今回要約・解説する本は、商売の考え方や新規クライアントの獲得・リピーター獲得で大事なことを教えてくれます。
イラストレーターを目指している人や、イラストレーターなったはいいけれど、中々うまくいっていないという人はぜひ。

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本書について

今回僕が読みましたのは、森健司さんの『商売が苦手なイラストレーターのための仕事のつかまえ方』という本です。

彼自身はイラストレーターではありませんが、25年にわたって個人のクリエイターと仕事をしてきた立場から、イラストレーターに必要な商売の基本を書いてくれています。

森さんについての詳しいプロフィールは本書にて。

ちなみに2020年5月現在の話ですが、Kindle Unlimitedの対象になっていますので既にサービスを利用されてる方は実際に読まれることをオススメします。

本書の大前提とする考え方

本書では細かいビジネススキルや立ち回りを教えず、あくまでも考える指針とヒントを教えるというスタンスを取っています。
というのも、一概にイラストレーターといっても商売のフィールドが広く、それぞれで求められていることが違うという事情があります。
また現在有効な手段があったとしても、それをみんながやり始めた途端に有効ではなくなってしまうためです。

本書から言葉を借りますと、「できるだけ、どのフィールドでも共通する、商売の基礎的な内容を最大公約数的に」まとめた内容になっています。

コミッションワーク想定のお話

コミッションワークを簡単に説明すると、発注者から依頼を受けて作品を作るお仕事です。

イラストレーターのビジネスには他にもストックイラストがありますが、ここでは多くが目指すであろうコミッションワークで作品を提供するイラストレーターを想定した話になります。

ついでにここで、便宜上コミッションワークに関わる人達の呼び方について定義しておきましょう。
プロジェクトのお金を握ってる事業者を「クライアント」、イラストレーターを選定し、制作指示を出すデザイン会社や制作プロダクションを「発注者」、イラストレーターの交渉代理人を「コーディネーター」と呼びます。
イラストレーターはそのまんまイラストレーターで。
そして「クライアント」のお客を「消費者」とし、イラストレーターのファンを「オーディエンス」と呼びます。

本書の目的

「売れ続けているクリエイターを参考に商売の基本を学んで自分に足りてない商売のスキルとの距離感を理解する」ことで、

  • 駆け出しのイラストレーターが商売のスタートラインに立てるようにする
  • キャリアを始めたイラストレーターが自分の商売感覚のずれを見直せるようにする
  • 人生の中で自分にとって最適なクリエイティブのあり方を選択できるようにする

のが目的です。

商売のフィールドに入る

まずは自分とクリエイティブの付き合い方について考えます。

そもそもイラスト制作で飯を食うこと、フリーのイラストレーターとしてやっていくことが本当にあなたにとっての幸せなのか?って話ですね。

著者は、多くのイラストレーターが

  • 自分の「好きな」テイストで
  • 自分の「描ける範囲」の中から
  • 自分の「オリジナルだと思い込んでいる」作品が
  • いつしかマーケットに「認められて売れっ子」になる

ことを夢見ていると指摘します。

この指摘は僕からすればまさに図星でした。
いつか絵がうまくなって有名になったら、自然と仕事を依頼されるようになる…そんな夢物語を無意識的に思い描いていました。
てか、ぶっちゃけ今でもそうなるといいなと思ってます。

ビジネスで生き残っていくには自分の描きたいものを描くだけでなく、対価を払ってくれる客に満足してもらうことを考えなければなりません。
それを苦痛と感じる人はクリエイティブを仕事にはせず趣味にしておいた方が自分のためだと筆者は述べています。

また、本業ではなく副業でイラスト制作をしていくという手段も紹介されていて、フリーのイラストレーターにこだわるべきか今一度自問してみるのがいいですね。

商売の行動指針を持つ

商売としてイラストを描いていくと決めたら、今度は自分が足を踏み入れようとしているフィールドでの目標と、やるべきことを理解する必要があります。

自分の目指す場所を知る

まず自分の目標、目指すべき場所を知るには、これから参入する商売のフィールドを理解しましょう。

ハウツー系のイラストや企業広告など、イラストレーターの仕事は多岐に渡ります。

あなたが「こんな仕事がしたい」という希望を持っているのであれば、そのフィールドで求められる能力はもちろん、発注者が喜ぶポイントや予算額などを理解する必要があります。
それを元に、発注者が「一緒に仕事をしたい」と思ってくれるような営業方法を考えましょう。

またプロのイラストレーターとしてやっていくには、「絵を描いて報酬を得る」だけでなく「仕事を選べるようになる」ように戦略を立てるべきだと述べています。

なぜか?

もしクライアントを選ぶことが出来ない状態だと、生計を立てるためにどんな内容の仕事でも引き受け続けなければならないからです。
駆け出しの頃ならマナーの悪い発注者や劣悪な条件でも「経験」や「実績」を積むためと頑張れるかもしれませんが、次第に絵を描くのが苦痛になり、イラストレーターを続けられなくなることもあります。
そうならないためにも仕事を選べるイラストレーターになることは非常に重要なんです。

参考までに本書での仕事の選択肢(ポートフォリオ)例をざっくりと紹介します。
今の仕事がそれぞれ自分にとってどういううまみがあるか考えて将来設計をしてみましょう。
1人では中々決められないときは人から話を聞いてみるのが有効です。

  • 収益になる
  • 宣伝になる
  • レギュラー(連載)
  • 好きな担当者がいる
  • やりたいジャンル
  • 将来への投資

商売の方法を考える

フリーランスでやっていくということは企業の業務すべてを一人で担うということです。

フリーのイラストレーターの場合、イラストを「生産」するだけでは不足です。
まずクライアントから仕事をもらえるようにアポ取りやプレゼンのような「営業」をしなければなりません。

また、自分を知ってもらうための「宣伝・広報」の戦略も考える必要があります。
発注者の多くはイラストレーターが信頼できるか、頼みやすい人なのかを知るためにホームページやSNSをチェックするので重要です。

このほかにも経理・法務に関する業務や、経営企画(中長期を見据えた資源配分)・研究開発(制作手法・クオリティの向上)など、考えることは多岐に渡ります。

さらには加齢で体力が落ち、40歳の壁にぶち当たった後のキャリア戦略も考える必要があります。

…ホント考えること多すぎ。

何もない所から戦略を考えるのってものすごく大変です。
そこで本書で紹介されていたヒントとして、「近所の繁盛している飲食店を研究する」という方法が紹介されていました。
飲食店は小規模事業者がそれぞれ工夫や知恵を凝らして独自のビジネスを形成しており、商売の手法を参考にするにはうってつけの場所といえます。
商売のフィールドの多様性にしてもイラスト業界と通じるものがありますし、何より手軽に利用できるのが魅力。
行きつけのラーメン屋がどういう戦略を取っているのか観察してみると何かが見えてくるかもですね。

商売の基本を知る

この章ではクリエイティブ職の商売について踏み込んだ考察をしています。

何を売って商売をするべきか、商売における信用とは何かが学べます。

商売の基本原則

商売で大事なのはとにかく「信用」です。

発注者の視点から考えると信用、実績のないイラストレーターに依頼するというのがどれだけ不安になるか想像が付くかと思います。
身近なもので置き換えると、通販のレビューが無い商品・悪い商品、知らないメーカーの商品を買いたいと思うかどうか。

著者は信用について「商品的価値」と「商売的価値」の二つから成立するとしています。

商品的価値」は制作物そのものの価値を指し、何よりも最初にこれが高くないことには仕事を得るのが厳しくなります。
商売的価値」は営業活動から納品までの商売の努力を指し、新規・リピーターの獲得に必要な要素です。

クリエイティブ商売ではこの二つの価値の合計点で競合と仕事を取り合うことになります。
信用は必須。覚えておきましょう。

しかし、信用だけでは順風満帆なイラストレーター人生を送るには不十分だと筆者は指摘しています。
というのも、現代においては若い世代の参入だけでなく、引退年齢の上昇やオンラインによる世界からの参入等の影響で競争が激しくなっており、その中で差別化を図る必要があるのです。

そこでカギとなる考えが「ポジティブサプライズ」。
すなわち「期待を上回るサービス」のことで、受注から納品までの間に発注者へ+αとなる嬉しいサプライズを提供することで競合より評価されようって話です。

サプライズと言っても大げさなものではなく、「締め切りより早く提出する」とか「多めにラフを出す」みたいなちょっとしたサプライズの積み重ねが大事だとおっしゃっています。

マーケティング(商品開発)

「クリエイターにマーケティングは必要か?」というテーマはよく議論になっているようで、「自分の作風で仕事を得る」のをよしとする風潮に対して著者は「今の作風で営業努力して仕事がこないなら仕事になる作風を模索すべき」と主張しています。

「自分のやりたいこと」と「ユーザーが求めていること」の二つに耳を傾けて選ぶセンスが生きのこるためには重要です。

その為にもインプットを増やしたり多くの人と会ったり、イベントに参加したりするなどして研究していく姿勢が大事になります。
こうした活動を通してどの商売のフィールドに参入するかを決めていきます。

仕事をしていくための戦略を考えるならシンプルな話で、自分が描けるなかで需要のある絵を描けばいいことになります。

そこから更に安定して競争に勝つため、「参入しているクリエイター1人あたりのユーザーが多いポジションを探す」ことを著者は提案しています。
魚が1000匹いる釣り堀を釣り人3000人が取り合うより、700匹の魚がいる釣り堀に500人の釣り人がいる状態の方が競争しやすいのは明らかです。

また、独自の強みを持つためにも「かけ合わせ」を考えましょう。
様々なビジネスホンでも取り上げられている「得意分野のかけ合わせの法則」はイラストレーターも同様に当てはまります。
商売のフィールドに応じたスキルのかけ合わせで競合との違いを出していきましょう。

商売のスタート:新規獲得

コミッションワークで仕事の依頼は「新規」と「リピーター」の2つに大別されますが、リピーターのいない初期は当然新規の客が来ない以上仕事が始まりません。

リピーターがいて収入が安定していても、クライアントが1~3社に依存している場合は向こうの都合で依頼が突然止まってしまったときに仕事が無くなる恐れがあります。
新規獲得はそれだけ大事ということです。

営業する

ここでは新規獲得のための営業のポイントを紹介します。

自分の作品をみてもらうために、多くの人が出版社やデザイン事務所にポートフォリオを送っているようです。
その際に採用されるのは一握りの人間に限られるわけですが、

  • 会って作品を見てみたいと思わせるアプローチ
  • 仕事を頼みたいと思わせるプレゼン

を心掛けることによってチャンスをつかめる可能性が高まるとしています。

応募メールだと「読んでいて気持ちが良い」ことや、「あなたのビジネスの役に立てる」というアピールがされていることが非常に大事だと著者は述べています。
ポートフォリオの中身にしても、目の肥えた発注者に気に入られる内容・デザインを考えるのが重要です。
送る相手に応じた内容・順序を吟味しポートフォリオを作成しましょう。

プレゼンですと、自分の提供するサービスがいかに相手の利益になるのかをアピールすることが必須です。
そのうえで作風や実用性がマッチし、自分自身が相手に受け入れられたら晴れて仕事獲得となります。
一緒に仕事がしたいか、人柄も見られてるってことですね。

あなたと商品をセットで覚えてもらう

発注を受ける上で大事なこととして、「作風と名前をセットで覚えてもらう」ことが挙げられます。
これがないと発注が来ないまであるというのです。

デザインの中でレイアウトしたいイラストのイメージが発注者の頭の中にあったとして、そういう絵を「どこかで見たことがある」けど「誰が描いたのか思い出せない」状態では発注が来ることはありません。
相手に覚えてもらうための取り組みは本書の中でも特に重要なことで、名前や見た目をインパクトのあるものにして自分の存在を覚えてもらう取り組みだけでなく、キャッチフレーズを作って作品の特徴・商品的価値を相手にガンガンアピールしましょう。

これを読んでから僕もキャッチフレーズ作ろう!ってなったのですが、自分の強みや絵の特徴でこれといったものが思いつかなくて悩みっぱなしです…

商売の安定化:リピーター獲得

リピーターの存在が仕事を安定させてくれます。

新規の受発注は「お互いに相手の信用度を測り合っている状態」でトラブルが起きることもありますが、リピーターは信用度があるだけでなく、仕事の進め方を理解しているので少ないストレスで仕事ができます。
何よりリピーターというのが自分の仕事を気に入ってリピートしてくれている安心感がありますし、その担当者が他所で自分のことを推薦してくれる可能性も高くなります。

「あなたと仕事がしたい」と思われているか

これまでにも述べられてきたように、「一緒に仕事がしたい」と思われるかどうかが商売をやっていく上で核になります。
というのも、ほとんどの仕事は頼みやすい人に発注され、「この人じゃないと成立しない」とされる仕事はグラフィック系の仕事においては非常に限られているからです。

「この人じゃないと成立しない」仕事ってどんなのか考えたんですけど、ファイナルファンタジーシリーズのイメージイラストを手掛けてきた天野喜孝さんがまさにそれですね。

それ以外の仕事は発注者にとって「もうけさせてくれる人」に回ってきます。
いかにスピーディーかつ期待を上回るような価値を提供できるかがイラストレーターには求められている、ということです。

やっぱりコミュニケーションは大事

著者いわく、売れているクリエイターにはいくつか共通点があり、その中に

  • 不平を言わずにいつも機嫌よく仕事をしている
  • 感謝を忘れない
  • お客にファンになってもらう
  • 修正に明るく対応する

という項目が挙げられています。

クリエイターだからといってコミュニケーションをないがしろにしてよいわけではなく、相手との良好な関係を築くことで商売が回ることを忘れないようにしたいものです。

「とはいえ引く手あまたの人気クリエイターは例外では?」と思うかもしれません。

時代の波に乗って売れたものの、謙虚さが欠如していたために、作風が時代遅れになった途端、発注者から次々と見放されそのまま業界から消えていった…
著者は仕事の中でそんなクリエイターを何人も見てきたそうです。

まとめ

これで要約は全部となります。

内容が多かったので、個人的に覚えておきたいってところを厳選して紹介させていただきました。
改めて内容をまとめると、

  • 自分の目指す場所・商売の方法を考えよう
  • 商売の基本は「信用」と「ポジティブサプライズ」
  • 営業では相手の利益になるアピールが大事
  • 覚えてもらうための工夫を欠かさずに
  • リピーター獲得のカギは「あなたと仕事がしたい」と思ってもらえるか

といったところです。

ここでは書ききれなかったことがたくさんありますので、もっと具体的に知りたいという方は元の本を読んでみてはいかがでしょうか。

ではこれにて!